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2021年9 月 / ポリシー・インサイト

「一時的なインフレ」が長引く難局への対応

潜在的なインフレ・リスクに対してどのようなポジションを取るか

サマリー

  • インフレは高止まりしており、投資家はより高いインフレ・プレミアムを織り込むべきである。
  • 一部の先進国の中央銀行は何年もインフレ目標を達成できていないが、最近の物価上昇を機にインフレ期待をより高い水準にリセットできる可能性も。
  • 臨機応変なアクティブ運用がインフレの波及効果を乗り切る上で鍵を握ると考えている。

世界のインフレのピークが引き続き押し上げられ、「物価上昇の波は一時的」という見方に疑問が生じてきました。グローバル債券運用チームは直近会合で、現在のインフレ動向と中銀の対応、そして債券投資家がこの難局をどう乗り切るかについて議論しました。

より高いインフレ・プレミアムを織り込むべき
先進国ではここ数ヵ月、経済活動の再開、エネルギー価格高騰、供給制約などからインフレが軒並み大きく上昇しています。ユーロ圏や英国ではインフレ率が約10年ぶりの高水準に迫り、米国の消費者物価上昇率は2008年以降で初めて前年同月比5%を上回りました。

「今年はインフレが高止まりし、ピークを更新しており、予想外だった」とポートフォリオ・マネジャー兼グローバル債券統括責任者のArif Husainは言います。「現状を考えると、債券投資家は慎重を期してより高いインフレ・プレミアムを織り込むべきかもしれない」 (Husain)。

これまでのところ、債券市場におけるインフレ・プレミアム上昇の兆候はあまり見られず、金利は引き続き過去最低に近い水準にあります。「債券市場はインフレ上昇は一時的と信じているようだが、物価高止まりが長引くにつれ、この見通しのリスクは高まっている」
(Husain)。

先進国の中央銀行はその見通しが示すように、物価上昇は一時的なもので来年までに落ち着くと考えており、インフレ上昇に対してほとんど行動を起こしていません。例えば、欧州中央銀行(ECB)は総合インフレ率が2021年の平均2.2%から2022年は1.7%に低下すると予想しています。

中銀はインフレ期待をリセットする好機
現時点では、中銀は金融政策を危機前の水準に戻すことを単に示唆するだけで、緩和政策の解除や引き締め政策を提案するには至っていません。

中銀がインフレ対応において後手に回るリスクがありますが、意図的に行っている可能性もあります。物価押し上げへ向けた中銀の試みにも関わらず、先進国の多くは過去10年間、低インフレ環境を脱することができませんでした。「現在の物価上昇は、インフレ目標を長年達成できていない一部の先進国中銀にとってインフレ期待をより高水準にリセットする好機となる可能性がある」(Husain)。

ECBはそうした中銀の一つである可能性があり、欧州ではエネルギー高騰によりインフレが一時的に目標を上回る見込みです。「ECBがエネルギー高騰に起因する一時的なインフレ上昇に対応する可能性は低く、むしろ二次的効果を発生させるため緩和策を継続しそうだ」(Husain)。

欧州では政権交代がインフレの上振れにつながる可能性もあり、インフレ連動債の魅力が高まると考えています。例えば、ドイツの次期連立政権は歳出拡大に動く可能性が高く、その場合、インフレがさらに高まると思われます。

債券ポートフォリオの潜在的インフレ・リスクに乗じる
今年はインフレへの対応で柔軟性が鍵となっており、この傾向が続くと予想しています。この1年ですべてのインフレ緩和措置が同時に効果を発揮しないことが明らかになり、あらゆる投資機会にアクセスするには機敏な行動が必要なことを再認識しました。

例えば、2021年1-3月期はインフレ期待の高まりに伴ってイールドカーブがスティープ化したため、英国や米国など先進国のデュレーションのアンダーウェイトが功を奏しました。しかし、2021年4-6月期に入って利回りが低下し始めると、こうしたポジションはもはや機能しなくなりました。そして、6月に米連邦準備理事会(FRB)がついにインフレ・リスクを認めた後は米国の短期インフレ連動債が好パフォーマンスを上げました。

また、今年は先進国以外に目を向けることも重要な年となりました。例えば、インフレ圧力が高まったポーランドやハンガリーなど一部東欧諸国のデュレーションのアンダーウェイトも有効でした。

現在、欧州ではインフレ期待が米国ほど織り込まれていないため、ユーロ圏インフレ連動債への投資を通じてインフレ・リスクに対応できると考えています。インフレ対策として有効なもう一つの手段は、物価上昇がより構造的なものとなる可能性がある国のデュレーションのアンダーウェイトです。これには世界的なモノ不足や労働供給の逼迫により年後半に物価がさらに上昇しそうな英国が含まれます。

「一時的なはずのインフレが高止まりするこのテーマは様々な地域で異なる時期に材料視されると考えている。つまり、ある地域で物価上昇圧力が弱まっても、別の地域では高まる可能性がある。従って、物価動向を常に注視し、変化に応じてポジションを調整することが大切である」 (Husain)。
 

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