著者   Matthew Lawton, CFA
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グローバル・インパクト・クレジット運用戦略 ポートフォリオ・マネジャー Matthew Lawtonに聞く

2026年8月, Fixed Income

Matthew Lawtonに聞く

Matthew Lawtonは、15年以上にわたる投資適格社債のクレジット分析と債券運用の経験に加え、気候変動問題の解決に対する熱意を有しています。グローバル・インパクト・クレジット運用戦略の運用は、自らの専門性と信念を結びつける取り組みと捉えています。

Matthewは、投資対象を「グリーンボンド」に限定しない当運用戦略の柔軟性を活用し、環境・社会面の問題解決に役立つ幅広い発行体の債券を調査・分析しています。当運用戦略には、環境や社会へのポジティブなインパクトの追求と投資リターンの追求という2つの運用目的があります。 

これまでの経歴と資産運用業界でキャリアを目指すと決めた背景について教えてください。

大学の学士号取得後、金融業界で働きたいと考えていましたが、自分の興味や強みを最も生かせる分野がどこなのかを模索していました。ニューヨークで4年間、投資銀行業務に従事しました。それはキャリアの基礎となる貴重な経験でしたが、最終的に、より長期的な分析や判断を伴う仕事に魅力を感じるようになりました。

その気づきをきっかけに、ジョージタウン大学でMBAを取得することにしました。在学中、ティー・ロウ・プライスの債券リサーチ部門のサマーインターンシップに参加し、新興国クレジットチームの一員として、中南米の公益事業セクターを担当しました。ブラジルに出張し、企業経営陣、規制当局、開発銀行の担当者と面談する機会にも恵まれ、非常に貴重な経験ができました。

サマーインターンシップを通じて、私が仕事において何を求めているのかが明確になりました。発行体の信用力を見極めるためのファンダメンタル分析にやりがいを感じるとともに、企業の事業運営や市場の変化、政策や規制が投資成果に与える影響という、より広い視点にも魅力を感じていました。また、この仕事は専門的なスキルだけでなく、知的好奇心も評価される点に惹かれました。その両方が組み合わさっていることが、資産運用業界、そして最終的にティー・ロウ・プライスで働くことを志した理由です。
 

どのように専門分野を決めましたか。また、自身の経験が当運用戦略の中核となる目標の達成にどのように役立つと考えていますか。

気候変動は私個人にとっても重要なテーマであるため、グローバル・インパクト・クレジット運用戦略に携わることは、個人の信念と専門的な経験を結びつける理想的な方法です。私は、このことが、環境や社会へのポジティブなインパクトの追求と投資リターンの追求という、当運用戦略の2つの中核的な目標にも通じるものだと考えています。

企業のクレジット・アナリストとしての6年間で、発行体の信用力や相対価値の分析における強固な基盤を培いました。その後、セクター・ポートフォリオ・マネジャーとして、マクロ経済、セクター間の相対価値、リスク管理に関する幅広い視点を身につけました。いずれの職務でも、クレジット・アナリスト、ポートフォリオ・マネジャー、株式アナリストとの密な協働が不可欠でした。こうした緊密な協働は、債券投資の成功に必要な要素であり、ティー・ロウ・プライスの企業文化の重要な一部でもあります。

グローバル・インパクト・クレジット運用戦略のポートフォリオ・マネジャーとして、責任投資アナリストや各資産クラスのインパクト投資ポートフォリオ・マネジャーなど、ネットワークをさらに広げる機会に恵まれました。
 

運用アプローチと、お客様のためにどのように付加価値を生み出そうとしているのか教えてください。また、ティー・ロウ・プライスのリサーチ体制や各種リソースをどのように活用して成果を追求するのか説明してください。

綿密なファンダメンタルズ・リサーチは、ティー・ロウ・プライスの全資産クラスにわたる運用プロセスの根幹であり、インパクト投資戦略においても特に重要です。大まかに言うと、私たちは2つの問いに同時に答えようとしています。「健全なクレジット投資か」、「発行体は環境面や社会面で測定可能なポジティブなインパクトをもたらしているか」という2つです。

クレジットリサーチは、当運用戦略を支える4本の柱のうちの1つです。信用力が急激に悪化する可能性のある発行体への投資は、当戦略の2つの中核目標のいずれを追求するうえでも支障をきたす恐れがあります。

2つ目の柱はポジティブなインパクトの「重要性(マテリアリティ)」と「測定可能性(メジャラビリティ)」です。私たちは、綿密なインパクトリサーチを通じて環境・社会面におけるインパクトを定量化し、将来のポジティブな変化を織り込むように努めます。

私たちはサステナビリティも重要であると考えています。環境・社会面でポジティブなインパクトをもたらす企業には、資本市場での評価、競争力、そして最終的には経済的リターンの面で優位性を持つ可能性があります。

4本目の柱は「追加性(アディショナリティ)」です。ティー・ロウ・プライスの規模とリソースを活用し、案件の組成や経営陣との直接対話を通じて、発行体によるインパクト創出を促進します。
 

他の類似戦略と比較した、当運用戦略の特徴を教えてください。

「グリーン・ウォッシング」、すなわち名ばかりの環境・社会・ガバナンス(ESG)を掲げる投資戦略にメディアの注目が集まっています。投資家が運用プロセスの実態について疑問を抱くのは当然です。私たちの見解では、多くのESG戦略、特に債券では、除外基準や第三者機関のESG評価に主に依存する、簡易的なアプローチが採られているとみています。

グローバル・インパクト・クレジット運用戦略は、よりリサーチ主導で投資対象の選定を重視するように設計されています。ポートフォリオに組み入れるすべての企業を厳格にスクリーニングし、その企業がもたらす環境的・社会的インパクトを包括的に分析しています。私たちは、単に債券に「グリーン」というラベルがついているかどうか、または発行体が第三者のESG基準をクリアしているかどうかを見るのではありません。発行体が意義のある、測定可能なインパクトをもたらせるか、クレジット・ファンダメンタルズを踏まえて、投資に値するかを確認しています。

発行体が「グリーン」とラベル付けした債券のみに投資するグリーンボンド戦略と異なり、幅広いクレジット投資ユニバースを対象に、債券自体がグリーンラベル付きかどうかを問わず、環境・社会面でポジティブなインパクトを目指す発行体を柔軟に選別します。
 

ポートフォリオのポジションと今後の見通しを説明してください。

当運用戦略は、「気候と資源へのインパクト」と「社会的公平性と生活の質へのインパクト」の2つのピラーおよび6つのサブピラー1へのインパクトを評価することで、国際連合の持続可能な開発目標(SDGs)の少なくとも1つの目標に整合するように運用しています。

当運用戦略の運用開始当初は、発行体の事業活動と測定可能なポジティブな成果との結び付きが最も明確である分野に重点を置いてきました。そのため、「気候と資源へのインパクト」のなかでは「温室効果ガス(GHG)の排出削減」のサブピラー、「社会的公平性と生活の質へのインパクト」のなかでは「健康的な生活の向上」と「社会的公平の実現」のサブピラーを重視しました。当運用戦略は、引き続きSDG目標7の「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」およびSDG目標3の「すべての人に健康と福祉を」との整合性に比重が置かれていますが、他の目標との整合性も継続的に模索しています。

「温室効果ガス(GHG)の排出削減」では、不動産会社や電力会社を保有しています。また、「循環型経済の推進」や「健全な生態系の推進」のサブピラーへも小規模ながら投資を行っています。その一例として、2024年8月に発行されたアマゾン森林再生債にアンカー投資家として参画しました。

「健康的な生活の向上」のなかでは、ヘルスケア・エコシステムにおいて、イノベーションの促進、コストの削減、患者の治療成果を改善するヘルスケア関連企業を投資対象として選定しています。「社会的公平の実現」では、教育を受ける機会、低所得者層における消費、先進国や新興国における金融包摂を支援している企業を対象としています。

ブルー・エコノミーのようなテーマを含む、深刻な資金不足にある開発目標を支える債券を組成し、アンカー投資家として参画することに積極的に取り組んでいます。
 

個人的な関心事と、それが運用業務にどう関わる(または関わらない)かを教えてください。

仕事以外のことにも興味を持ち、バランスを取るとともに視野を広げることが大切だと考えています。私にとっては、主に家族です。私には幼い娘がおり、彼女が自分の興味を広げていくなかで、その姿をサポートすることは、私自身を見つめ直す大切な時間でもあります。また、成長は必ずしも直線的ではなく、好奇心、忍耐、励ましが重要であることも思い出させてくれます。

運動も大切にしています。健康のためだけでなく、頭の整理にも役立つからです。仕事では判断、規律、長期的な視点で考えることが求められるので、集中力の維持に役立つルーティンは重要です。

旅行も、仕事と密接につながっている関心事の一つです。ここ数年は、特にヨーロッパで過ごす時間を楽しんでいます。

異なる社会、文化、インフラ、政策アプローチを自分の目で見ることは、グローバルな視野を広げることに役立ちます。環境・社会問題が地球規模であるものの、解決策は地域ごとに異なることが多いため、そうした視点はインパクト投資において重要です。

Matthew Lawton, CFA 債券インパクト投資部門責任者

個別リスク

以下の個別リスクは、ポートフォリオに重大な影響を及ぼす可能性があります。
信用リスク:発行体の財務健全性が悪化する場合や、発行体がポートフォリオに対する財務上の義務を履行しない場合があります。
デリバティブ・リスク:デリバティブはレバレッジを作り出すために用いられ、ボラティリティが高くなったり、デリバティブ費用を大きく上回る損失が生じたりする場合があります。
ヘッジ・リスク:ヘッジにはコストがかかり、その効果が不完全、不適切、または全く効果を発揮しない可能性があります。
金利リスク:予期せぬ金利変動により、投資債券に損失が生じる場合があります。
地理的集中リスク:ポートフォリオの資産が集中する国や地域に影響を及ぼす社会、政治、経済、環境、市場情勢により、運用実績がより大きな影響を受ける場合があります。
偶発転換社債リスク:偶発転換社債は、資本構成上の優先順位の逆転、トリガー水準、利払いの停止、期限前償還の延期、利回りおよび評価、株式への転換、元本の削減、業種集中ならびに流動性などに関連する追加的なリスクを伴う場合があります。
デフォルト・リスク:債券の発行体が債券を償還できない場合や、発行体にその意思がない場合があります。
エマージング市場リスク:エマージング市場は先進国市場ほど確立されていないため、リスクが高くなります。
ハイイールド債券リスク:ハイイールド債は一般的に、発行体の債務再編リスクやデフォルト・リスク、流動性リスク、市場環境への感応度が高くなります。
流動性リスク:有価証券は、望ましい時期および価格で評価または売却することが困難となる場合があります。
資産担保証券および住宅ローン担保証券リスク:資産担保証券(ABS)および住宅ローン担保証券(MBS)は、その他の債券と比較して、流動性リスク、信用リスク、デフォルト・リスクおよび金利リスクが高い場合があります。
サステナビリティ・アラインメント・プロダクトリスク:持続可能な投資目標を掲げるポートフォリオ、または環境および/もしくは社会的特性の促進を目指すポートフォリオには、従来型の運用戦略とは異なる固有のリスクや留意事項を伴います。また、こうした目標または特性を有しないポートフォリオとは異なる運用成果となる場合があります。

一般的なポートフォリオリスク

以下の一般的なリスクについては、上記の個別リスクと併せてご確認ください。
利益相反リスク:運用会社がポートフォリオに対して負う義務は、同社が運用する他の投資ポートフォリオに対して負う義務と利益相反が生じる可能性があります。
保管リスク:預託機関および保管機関が支払不能となった場合、またはその他の理由により債務を履行できなくなった場合、ポートフォリオの一部の資産について、損失が生じる、または返還が遅延するリスクがあります。
サイバーセキュリティリスク:ポートフォリオまたはその第三者サービス提供会社のデジタル情報システムにおけるサイバーセキュリティ侵害により、ポートフォリオはオペレーショナル・リスクおよび情報セキュリティ・リスクにさらされる可能性があります。
インフレリスク:インフレにより、ファンドおよびその投資資産の実質的な価値が低下する可能性があります。
カウンターパーティ・リスク:ファンドが取引を行う相手が、ポートフォリオに対する義務を履行する意思を失った場合、または履行できなくなった場合、カウンターパーティ・リスクが顕在化する可能性があります。
ESGリスク:環境、社会、ガバナンスに関する事象または状況が発生し、投資資産の価値およびポートフォリオの運用実績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
投資ポートフォリオ・リスク:ポートフォリオに投資する場合は、市場に直接投資する場合とは異なる特定のリスクが生じます。
市場リスク:市場に関する様々な要素の予期せぬ変更により、ファンドが損失を被る場合があります。
オペレーショナル・リスク:担当者、システム、プロセスなどによって生じるオペレーション上の事象により、損失が生じる場合があります。
市場流動性リスク:極端な市場環境下では、ポートフォリオが保有する有価証券の売却が困難となり、短期間での受益権の換金に応じられない可能性があります。
サステナビリティ・リスク:環境および(または)社会的な特性を促進することを目的とするポートフォリオは、その目的を達成できない場合や、一部しか達成できない場合があります。

当資料における見解等は資料作成時点のものであり、将来事前の連絡なしに変更されることがあります。

1インパクト・ピラーとサブピラーは、ティー・ロウ・プライス独自の分類に基づくものです。
当資料に記載されているピラーにおけるポジショニングは、2026年5月31日時点のものであり、今後変更される場合があります。

重要情報

当資料は、ティー・ロウ・プライス・アソシエイツ・インクおよびその関係会社が情報提供等の目的で作成したものを、ティー・ロウ・プライス・ジャパン株式会社が翻訳・補記したものであり、特定の運用商品を勧誘するものではありません。また、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。当資料における見解等は資料作成時点のものであり、将来事前の連絡なしに変更されることがあります。これらの見解はティー・ロウ・プライス・アソシエイツ・インク及びその関係会社の見解とは異なる場合があります。
資料内に記載されている個別銘柄につき、売買を推奨するものでも、将来の価格の上昇または下落を示唆するものでもありません。また、当社ファンド等における保有・非保有および将来の組入れまたは売却を示唆・保証するものでもありません。投資一任契約は、値動きのある有価証券等(外貨建て資産には為替変動リスクもあります)を投資対象としているため、お客様の資産が当初の投資元本を割り込み損失が生じることがあります。
当社の運用戦略では時価資産残高に対し、一定の金額までを区切りとして最高1.265%(消費税10%込み)の逓減的報酬料率を適用いたします。また、運用報酬の他に、組入有価証券の売買委託手数料等の費用も発生しますが、運用内容等によって変動しますので、事前に上限額または合計額を表示できません。詳しくは契約締結前交付書面をご覧ください。
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