2026年4月, Ahead of the Curve
中東における紛争が本稿執筆時点で4週目に入る中、ミサイルはまだ飛び交い、ホルムズ海峡は閉鎖されたままであり、地域全体の石油・ガス施設は脅威にさらされています。ブレント原油価格が1バレルあたり100米ドルを超える水準で推移するなか、欧州の天然ガス価格も紛争勃発前の2倍に上昇しています。暗いニュースと明るいニュースが刻々と入れ替わる結果として、エネルギー価格が大きく変動しています。
紛争直前の経済状況
中東で紛争が継続する中、ほんの数週間前の世界経済がどのような状態だったかが見過ごされがちですが、そのベースラインを思い出すことは重要です。なぜなら、紛争終結後は評価すべき新たな要因が生じるものの、それらはそのベースラインの上に積み重なることになるからです。いくつかのポイントを改めて紹介します。
紛争発生後の変化
エネルギーコストは、明らかに、大幅に上昇しています。世界の一部地域でエネルギーが不足しており、中東におけるインフラの破壊による供給制限、主にホルムズ海峡の閉鎖は、紛争終結後もしばらく継続すると見込まれます。
紛争がどれだけ持続するかは不透明ですが、すべての当事者のインセンティブは、できるだけ早い終結を促す方向に働いていると考えています。物流、人的、経済的、政治的コストを強いられるにせよ、情勢は緊張緩和へ向かう可能性が高いと見ています。危機発生時の単純なルールは「早めに、大きくパニックになる」ことです。ニュースの見出しは悪い印象を与え続けるかもしれませんが、今はもうパニックになる時期を過ぎているのではないかと私は思います。
中東紛争とは別に、市場では別のタイプの破壊が生じています。値動きの多くは、単純に、密集したポジションを「探して破壊する」という動きです。コンセンサス・トレード(市場の共通認識に基づく取引)の強制的な解消が、特に為替市場と金利市場における極端な値動きの大部分を占めています。
特定の市場におけるレバレッジ解消の影響を過小評価してはいけません。いくつかの大規模な金利市場は、コロナ禍当時の2020年より流動性が低くなっており、低い流動性と密集したポジションが重なり合うことで、市場の動きを増幅する可能性があります。英国の短期国債利回りがわずか数日で100bps動いたことは、ファンダメンタルズではなく需給要因によるところが大きいと考えています。
今後の見通し:債券市場に対するアクションについて
紛争前からインフレ率が上昇していたことを踏まえると、インフレ連動債の積み増しが、初めに検討すべき最も明白なアクションだと考えています。今後数ヵ月にわたりCPIが大幅に上昇する可能性が高いなかで、インフレ連動債は割安感があります。
2つ目の注目すべき分野は、中央銀行がエネルギー価格の急騰にどのように対応するかという点です。政策ミスには2種類の可能性があります。ひとつは、本来すべきでない局面で利上げを行い、その結果経済を抑制してしまうケース、もうひとつは、エネルギー価格の急騰を看過した結果、インフレ見通し(リスク)が高まるケースです。多くの中央銀行で議長が任期の終わりに近づいている中、金融政策によって自身の評価を高めたいという動機が働くため、いずれかの政策ミスが頻発するのではないかと考えています。
そうした政策ミスのリスクに対してとるべき2通りのアクションがあります。
第1に、為替市場において、ボラティリティとキャリーの高まりが、より高い超過収益の可能性に繋がると予想しています。紛争中の米ドル高は、米ドルがリスクヘッジとして利用された結果ではありません。むしろ、米ドルのショート・ポジションが解消されたことや、原油価格が米ドル建てであることが原因だと考えています。結論として、米ドル安のトレンドは終わっていません。
第2に、中央銀行の政策ミスを活用するさらに興味深い方法は、グローバル金利市場にあります。異なる通貨間の相対価値とばらつきは、2008年~2009年の世界金融危機前以来、最も拡大しています。短期金利差を慎重に活用することによって、比較的低いボラティリティで質の高いリターンを獲得する可能性があります。過去4年間の債券市場は、利回りとイールドカーブの方向性を正しく捉えることが重要でしたが、今は異なる市場間のポジションにおいて最良の投資機会があると考えています。
リスク:債券は、信用リスク、流動性リスク、コールリスク、金利リスクの影響を受けます。金利が上昇すると、債券価格は一般的に下落します。
重要情報
当資料は、ティー・ロウ・プライス・アソシエイツ・インクおよびその関係会社が情報提供等の目的で作成したものを、ティー・ロウ・プライス・ジャパン株式会社が翻訳したものであり、特定の運用商品を勧誘するものではありません。また、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。当資料における見解等は資料作成時点のものであり、将来事前の連絡なしに変更されることがあります。当資料はティー・ロウ・プライスの書面による同意のない限り他に転載することはできません。
資料内に記載されている個別銘柄につき、売買を推奨するものでも、将来の価格の上昇または下落を示唆するものでもありません。また、当社ファンド等における保有・非保有および将来の組み入れまたは売却を示唆・保証するものでもありません。投資一任契約は、値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、お客様の資産が当初の投資元本を割り込み損失が生じることがあります。
当社の運用戦略では時価資産残高に対し、一定の金額までを区切りとして最高1.265%(消費税10%込み)の逓減的報酬料率を適用いたします。また、運用報酬の他に、組入有価証券の売買委託手数料等の費用も発生しますが、運用内容等によって変動しますので、事前に上限額または合計額を表示できません。詳しくは契約締結前交付書面をご覧ください。