2025年11月, From the Field
市場見通し
資産別ポジショニング
市場テーマ
霧の中での運転
FRBによる直近の0.25%幅の利下げと量的引き締め終了の決定は広く予想されていましたが、FRB理事の間で意見が分かれたことで、経済の先行きに対する不透明感の高まりが浮き彫りになりました。一人の理事がより積極的な0.50%幅の利下げを提唱する一方で、別の理事は利下げ自体に反対するなど、FRBは相反するシグナルに苦慮しています。また、米国の政府機関の一部閉鎖によって経済データが限定的となり、その状況をさらに悪化させています。そのため、パウエル議長は、12月の利下げは「霧の中で保証されていない」と警告しました。これに対して、市場は利下げ期待の後退という形で反応しました(図表1)。しかし、経済の先行きは依然として不透明で、FRB内部の方向性にも懸念が高まっています。霧の中で運転するだけでも十分に困難ですが、車に乗っている全員がそれぞれ違う方向へ行きたがっていると、さらに状況は悪化する可能性があります。
落ち着かない理由
4月初旬の「解放の日」付近の安値から約40%の途切れることのない上昇を遂げた後、米国株式市場は最近やや不安定な動きを見せています。高いバリュエーションやAI支出に関する調査、さらに最近ではAIインフラ投資に備えた債務調達への注目が懸念材料となっています。これらに加えて、米国政府機関の一部閉鎖、労働市場の鈍化を示す民間データ、低迷する消費者信頼感、情報不足などによるFRBの方向性の不透明さが懸念をさらに増幅させています。一方、利益成長は依然として堅調で、M&Aは活発化しており、財政・金融政策に関する支援的な姿勢は続いています。しかし、AI支出が経済成長や業績、市場パフォーマンスの主な原動力であり、住宅、製造業、労働市場など他の分野の悪化を相殺しています(図表2)。これらの不均衡を踏まえ、リスク資産全般に対して中立的な姿勢を維持しつつ、経済の中で拡大している二極分化に留意しています。
AIバブル?
AIは実需以上の期待によって膨らんだバブルの領域にあるのではないかと警戒する声が増えています。主要なAI関連銘柄の株価バリュエーションの上昇や、「循環取引」にも似た関連企業間での提携、資金の融通、製品やサービス購入契約などを踏まえると、確かに株式市場におけるAIは既にバブルの領域に入っている可能性はあり、警戒が必要です。ただし、歴史的にみるとバブルが必ずしもすぐに破裂するわけではありません。アクセラレーター(大量・高速の計算処理を可能にする製品・サービスを提供する企業)やハイパースケーラー(クラウドサービスを通して他の企業のAI活用を支援する企業)として、多くがAI関連の代表格である超大型テクノロジー銘柄(マグニフィセント・セブン、M7*)のバリュエーション(予想PER)が割高でも、それが高い収益力(予想ROE)によって裏付けられている(図表3)限り、もうしばらくはその恩恵を享受可能とも考えています。
*マグニフィセント・セブン:エヌビディア、アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ、テスラ
アセットクラス・ポジショニング
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