2025年9月, From the Field
市場見通し
資産別ポジショニング
市場テーマ
時期尚早か?
8月のジャクソンホール会議におけるパウエルFRB議長の、バランスが取れているものの米労働市場の鈍化を従前よりも重視する講演を受けて、市場は9月の利下げをほぼ全面的に織り込みました(その後、9月17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが決定)。これはFRBがインフレよりも労働市場を優先する姿勢に転じた2024年と同様の政策転換です。ただし、当時の債券市場はこの政策転換を時期尚早とみなし、FRBがFFレートを1.00%引き下げたにもかかわらず、米国債利回りは1.00%近く上昇しました(図表1)。追加の財政刺激策が見込まれ、米国債の発行が増加し、関税がインフレの脅威となり続けている現在、債券市場が利下げのタイミングを時期尚早かつインフレを招くものと再び判断し、利回りが上昇するようであれば、それは、インフレを誘発することなく労働市場を安定化させようと微妙なバランスを模索しているFRBにとって、政策の失敗といえるかもしれません。
求められているのは完璧な成果
株式市場が最高値に近い水準で推移し、バリュエーションが再び上昇するなかで、けん引役となる銘柄の集中、特に米国における人工知能(AI)投資への依存に対する懸念が高まっています(図表2)。市場は、現在のAIに対する投資ペースが今後も続き、AI技術に多額の投資を行っている企業が高収益を上げる可能性を強く織り込んでいます。AI技術が多くの産業に変革をもたらし、長期的に効率性の向上に繋がることには疑問の余地がありません。しかし、投資家にとって足元のリスクは、AI以外の経済分野が依然として高金利や関税を巡る不確実性、労働市場からの圧力を受けていることです。市場が成長の原動力として焦点を絞るAI投資に関する各データやAI関連企業の業績見通しが期待外れとなった場合のリスクが高まっています。完璧な成果を達成することがほぼ必要条件になっているような環境には注意が必要です。
欧州株に相対的投資妙味
1-3月期に他地域をアウトパフォームした欧州株が7月以降はアンダーパフォームしています(図表3)。米国株については、4月2日にトランプ大統領が発表した相互関税によるスタグフレーション懸念が、その後の各国・地域との交渉進展や税率引き下げを受けて和らぎました。加えて①規制緩和やM&A環境の改善、②AI成長の長期化、③FRBによる利下げ再開への期待などが支援材料となり、日本株や新興国株の一部にも恩恵が及んでいます。一方、欧州株は、①相対的なテクノロジー銘柄比率の低さ、②欧州中央銀行(ECB)の利下げが一巡したとの観測、③引き下げられたとはいえ依然として高い米国の関税、④ロシア・ウクライナ戦争終結期待の後退、⑤フランスなどでの政治不安(極右の台頭)などが足かせとなっています。しかし、米国では成長株だけでなくバリュー株でさえ過去の水準より割高となっているため、バリュエーション面での相対的割安感や、ドイツなどの財政政策の歴史的転換(支出拡大)の恩恵を考慮すると、出遅れの目立つ欧州株には相対的に妙味があると考えています。
アセットクラス・ポジショニング
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