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2021年1 月 / グローバル・アセット・アロケーションの視点と投資環境

グローバル・アセット・アロケーションの視点と投資環境

​1. 市場テーマ2020年12月31日時点

無邪気にユニコーンを追う​

金融・財政による大規模な景気刺激策や2020年末にかけてのワクチン開発進展の報道を受け、2020年は世界的にリスク資産が急騰、S&P500指数の騰落率は16%超となり、バリュエーションはITバブル期以来の水準まで上昇しました。また、新規株式公開(IPO)の件数・調達額ともに20年ぶりの高水準に達するなど(図表1)、数多くの企業が新規上場し、相場上昇に一段と弾みが付きました。ユニコーン(企業価値10億米ドル以上の未上場企業)の多くは上場の週に株価が80%以上も急騰しました。特に赤字上場となったAirbnbやDoorDashはその代表です。投資先が未定のままIPOにより資金調達するためブランクチェック(白紙の小切手)カンパニーと呼ばれるSPAC(特別買収目的会社)にも投資家は殺到しました。2020年は仮想通貨など暗号資産も大きな注目を集め、投機熱に拍車が掛かりました。2021年に入っても、投資家の間ではこうした過熱傾向が2000年のITバブル再来の予兆として心配する様子は見られず、上場を目指す企業の動きもすぐに衰える気配はありません。​

インフレ、本気で?​

米連邦準備理事会(FRB)は10年以上にわたり経済成長とインフレ上昇を目指し金融政策を実行してきましたが、コロナ禍からの回復が物価上昇のきっかけとなり得るのでしょうか?市場はブレークイーブン・インフレ率(BEI)—名目利回りとインフレ連動債利回りの差—が2%台に近づくと考えているようです(図表2)。繰越需要の顕在化の可能性が高く、2021年後半はそれに追いつくため生産を増やす必要に迫られ、インフレ率が高まりそうです。コロナ禍が予想外の住宅ブームをもたらした結果、消費者物価指数(CPI)の主要項目の一つである住居費は既に大きく上昇しています。2020年8月、 FRBは長期的に「平均」2%のインフレを容認する持続成長重視の新たなアプローチを発表しました。新たな政策の下、インフレ期待は2021年にかけて上昇が容認され、市場はFRBをあまり恐れなくなるかもしれません。FRBが超低金利政策を続け、インフレ率が上昇すると、実質利回りがさらに低下する可能性があります。​

菅政権下で高値回復、今後は持続性がカギ​

堅調な資金流入から日経平均株価は30年ぶりの高値を付け、2020年9月に発足した菅政権を巡る楽観的な見方から日本株に対する投資家の意欲は再度高まっています。菅政権は新型コロナウイルス対策に取り組む一方、アベノミクスで株主重視の政策や構造改革を推進した安倍前政権の政策継承を明言しました。また、日本は半導体やロボットなどの分野で技術力に定評があるものの、政府や多くの企業は生産性の低さを問題視されていることから、生産性の向上を目指して独自に「デジタル庁」を新設しました。投資家はこうした構造改革に対する取り組みを評価したほか、日本は世界経済がコロナ禍から回復する過程で恩恵を受ける輸出セクターの割合が大きい点も好感しました。こうした循環的、持続的な力が日本の成長を牽引し、夏のオリンピック開催以外にも好材料があるかもしれません。​

日本はAからGのマイナス材料を抱えるものの、米欧に比べ小粒​

足元の日本は次のようなマイナス材料を抱えています。Appreciation of JPY(日銀短観の想定為替レート対比の円高、図表4)、Bonus cuts(2020年冬季賞与の減額)、COVID infections(コロナ感染の拡大)、Decreasing Suga’s approval rating(菅首相の支持率低下)、Enough vaccinations by the Tokyo Olympics?(ワクチン接種の遅れによる東京五輪開催の危ぶまれ)、Former PM Abe’s scandal(「桜を見る会」をめぐる安倍前首相事務所の虚偽記載)、Go To campaign suspension(Go To トラベルの一時停止)。しかし、社会的分断や1日当たり数千人に上るコロナ感染死亡者といった米欧が直面している問題と比べると、これらはいずれも小粒なマイナス材料と考えられ、世界的な景気回復や金融・財政刺激策の恩恵を受けやすい産業が多い日本の株式市場には、小型株中心に、前向きな見方を維持しています。

過去の実績は将来のパフォーマンスを保証するものではありません。
出所:日経、ブルームバーグ・ファイナンスL.P.、ファクトセット、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」のデータをもとにティー・ロウ・プライスが分析、作成。
追加ディスクロージャー参照。

 

2. 各国・地域の経済環境 

  • 追加的な財政支援策が見込まれる
  • 金融政策は引き続き非常に緩和的
  • 家計の健全なバランスシートと高い貯蓄率
  • 低金利を受けて住宅市場は活況
  • 新型コロナウイルスの新規感染者数が増加
  • 割高な株式と債券のバリュエーション
  • 高水準の企業・政府債務
  • 米ドル安
欧州
  • 景気回復の恩恵を受ける景気敏感セクターの比率が高い​
  • 金融・財政政策は引き続き緩和的​
  • 株式のバリュエーションは引き続き魅力的​
  • 長期的にユーロ高の見通し​
  • 新型コロナウイルス感染第2波の最中、新たなロックダウン
  • 追加財政刺激策の実施に向けたプロセス長期化
  • ブレグジットが貿易に悪影響を及ぼす可能性
  • 欧州中央銀行(ECB)の景気刺激余地は限定的
  • 長期的な成長要因は限られる
中国
  • 2021年もポジティブな経済成長のモメンタムは続き、国内消費の動向が注目される
  • 人民元は今後も堅調な展開が予想され、世界的な低金利環境や海外投資家の参入規制緩和を考えると、中国債券は引き続き魅力的
  • 世界経済の正常化に伴い、中国資産のリスクプレミアムが低下する可能性
     
  • 景気の勢いが頭打ちとなりつつある一方、2021年後半には政策引き締めが行われる可能性
  • テクノロジー株のウェイトが高く、新たな規制の導入やバリュエーションの高さが逆風になる可能性
  • 社債のデフォルトが増えており、政策当局は連鎖倒産リスク抑制に焦点
日本
  • 追加の経済対策が発表され、景気は引き続き緩やかに回復
  • 日本株は数十年ぶりの高値を付けたが、バリュエーションは他の先進国に比べてなお妥当な水準にあり、世界経済回復の恩恵を受ける可能性
  • 足元の回復は自動車など伝統的産業が中心となるだろうが、日本は社会全体がデジタル化とカバナンス改善に取り組んでいる
  • 景気回復の足取りが他の先進国より緩やかな中、新型コロナウイルスの新規感染者数が再び急増し、一部の都道府県に緊急事態宣言発令に至った
  • 株式市場が高値を更新しているため、短期的には利益確定の売りが出る可能性がある
  • 市場指標は円高を示唆しており、日本企業の競争力や収益力が損なわれる可能性がある
     
オーストラリア
  • 繰越需要、雇用市場の改善、高い貯蓄率に支えられて個人消費は好調が続く見通し
  • 新型コロナウイルスの感染拡大を事実上封じ込め、季節要因も重なり、景気が予想以上に改善する可能性がある
  • 業績予想は豪州経済の回復ペースを過小評価している様子
  • 中国との対立やコモディティ価格の上昇が輸出企業には逆風となるかもしれない
  • 財政刺激策が早すぎるタイミングで縮小されるリスクがあり、財政支出が停止されると、その影響は長引くかもしれない
  • 中央銀行が一段高の抑制に乗り出す可能性のある水準まで豪ドル高が進んだ
     
新興国
  • 中国経済は概ね回復
  • 米ドル安
  • 景気敏感セクターの比率が高く、世界経済回復の恩恵を受ける見通し
  • 株式のバリュエーションは先進国より魅力的
  • 中国を除く新興国は財政刺激策を行う能力が限られる
  • 新型コロナウイルス対策のための体制やインフラは国によって異なる
  • 中国の景気刺激策による恩恵が薄れる可能性


3. アセット・アロケーション・コミッティのポジショ二ング

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グローバル株式においてまだ見出されるリターン獲得機会
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