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2021年1 月 / インサイト

グローバル株式においてまだ見出されるリターン獲得機会

ボラティリティの上昇と強弱混在するニュースが生み出す投資機会を捉える

株式市場は2020年に並外れたリターンをもたらしましたが、2021年1-3月期は、錯綜する情報に対してどう対応するかで、投資家は実力を試されることになるでしょう。追加金融・財政刺激策への期待は、ワクチンに関する明るいニュースとともに株式市場を下支えしてきました。しかしながら、変異ウイルスが医療体制に対する圧力を増大させており、再びロックダウン(都市封鎖)を実施する国が増えています。これは多くの国に経済的影響を及ぼし、投資家が想定してきたファンダメンタルズの回復を少なくともある程度遅らせると考えられます。また、政策の変更を織り込む必要もあります。米国における民主党政権への移行は、企業にとって、また特に税制と米中関係に関する政策決定にとってどのような意味を持つのでしょうか。

2021年のグローバル株式市場の期待リターンについては、引き続き楽観的な見通しです。ただし、ファクター、スタイルおよびセクター内の格差拡大を一因として、ボラティリティの上昇が見込まれます。こうした環境下で利益を得るには、より選別的にアクティブ運用を行わなければならず、場合によっては、より逆張りのアプローチを採ることが求められるでしょう。

新型コロナウイルスの感染拡大/収束の環境を乗り切る

2020年終盤に見られたように、新型コロナウイルスの感染拡大を見据えた取引とウイルス感染の収束を見据えた取引が、引き続き交互に市場を動かすと予想しています。持続成長銘柄は、適正価格で組み入れれば、引き続き高いリターンを生み出すと見ていますが、年央に向けた過渡期においては、昨年末にかけて始まったバリュー株、小型株、米国外株式へのローテーションが継続するでしょう。当然ながら、市場サイクルの観点から、現時点において利益感応度の高い銘柄の保有を増やせば、リターンを獲得する可能性があるでしょう。しかし、極端な結果が起こりやすい環境下、選別的な姿勢が引き続き不可欠です。

ワクチンに関する追加的な明るいニュースも、旅行、レジャー、エネルギー、金融などウイルスによる打撃が最も大きかったセクターの支援材料となるでしょう。

これらの分野の銘柄への追加投資に際しては極めて選別的に行っており、グローバル・リサーチ体制を活用して最良の投資候補銘柄を特定しています。

これまでグローバル・グロース株式運用戦略において金融銘柄の保有を増やしてきましたが、ゼロ金利やマイナス金利が引き続き財務内容の悪化を招いている伝統的な銀行ではなく、投資銀行、保険会社、資産運用会社などの分野に重点的に投資しています。これらの企業は低金利環境から実際に恩恵を受けると考えられます。

新たなワクチンが普及すればいずれパンデミックから脱出できるものの、過去1年間にわたり形成されてきたトレンドの多くは持続すると考えています。新型コロナウイルスはこれらのトレンドに拍車をかけてきました。デジタル決済の採用、食料の宅配、および相互接続技術の利用が増えると予想しています。

eコマースが世界各地で飛躍的に普及しており、この動きはまだ当分続くと見ています。グローバル投資家としての我々の優位性は、グローバル・リサーチ体制を活用してすべての地域を探り、最善と考える投資機会を見出すことができることです。

米国以外の地域で新たな超過収益の獲得機会を探る

米国株式が極めて堅調に推移してきたことから、米国以外の地域で魅力的な投資機会を探り、アジア太平洋と欧州の保有を増やしてきました。アジア地域は世界の中でその重要性が高まっていると考えています。アジアの金融市場は最も厚みを増しており、経済成長ペースが最も高く、現在、最も多くの億万長者が生まれています。そのためアジア市場にはいまだに変化が株価に適切に反映されていない投資機会が存在します。

中国のコロナ禍からの回復は先進国とは極めて対照的です。中国は2020年の経済成長がプラスとなる数少ない国の一つとなるでしょう。概して、新興国の先進国との成長率格差は縮小傾向にあり、全体の企業業績は予想を下回っていますが、株式から生み出される期待リターンを考慮すると、多くの新興国経済は長期的な優位性を維持しています。現在選好している市場は、インド、インドネシア、フィリピン、およびペルーですが、中国の消費関連株も高い確信度を持って保有しています。

現在では欧州の魅力も高まっていると思われます。欧州には米国や中国のように幅広い高成長機会はないものの、変化を原動力とする銘柄が多く存在します。特に2021年春以降に改善基調を示すと見られる世界においては、これらの銘柄はバリュエーションが大幅に低下して反発しやすい状況にあるか、あるいは業績のファンダメンタルズに変化が認められることから、我々の確信度が高い銘柄です。株式サイクルの現段階において重要なのは、引き続き長期的に株価を押し上げる強力な原動力である利益成長を見極める能力です。

複雑なマクロ経済環境の下、銘柄固有の要因に焦点を当てることが鍵

特にリターンが特定の銘柄に集中していることから、株式市場の回復が過度に力強くかつ急速ではないかという懸念が当然生じます。そのため、好材料が途切れなければバブルが幅広く形成される可能性があります。

バリュエーションの絶対水準にはプレミアムがあるものの、比類なき金融・財政支援がリスク資産を支えてきた面もあります。金利は世界各地で最低水準にある一方、巨額の資金が投資先を探しています。

そのため、バリュエーションが極端な水準にあるとは見ておらず、特に株式市場には他の市場と比べ、引き続き優位な投資機会があると言えます。

しかしながら、投資環境としては従来と比べて銘柄特有の要因による格差が大きくなるでしょう。2021年はボラティリティの上昇に応じて投資機会が発生すると見込まれます。状況が改善する前に悪化するようだと、ボラティリティは上昇する可能性が高く、今後数カ月にわたり市場の弱気筋が指摘するような指標が確実に出てくると見ています。

市場には、金融支援以外に、ファンダメンタルズ面でグローバル株式の「強気」見通しを向上させる要因が存在しないという明白な懸念もあります。しかしながら、このような総合的なトップダウンの見方は、我々が見出している様々な企業個別のファンダメンタルズ、特に社会や経済の変化の恩恵を受ける持続成長銘柄のファンダメンタルズを正しく反映しているとは言えません。

バリュエーションと企業業績にばらつきのある投資環境は、最終的にアクティブ運用に有利に働きます。我々はこのような投資環境を活かして収益を獲得し、お客様の資産形成に貢献できるよう目指します。

 

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