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2020年12 月 / インサイト

バリューvs.グロース論議より大切なもの

不透明な環境ではアクティブな投資判断が重要

サマリー

  • 新型コロナウイルスのワクチン開発のニュースに対する市場の過度に楽観的な反応が短期的なリスクにつながっている。コロナ後の世界への道のりは平たんではなく、紆余曲折が予想されるため、幅広い銘柄に投資するポートフォリオを維持することが大切である。
  • 今はバリュー株とグロース株のどちらかがアウトパフォームすることに賭けるのではなく、リスク管理やアクティブな銘柄選択に注力すべきである。
  • 創造的破壊が加速する世界において企業の持続可能性が大切であるのと同様に低成長の世界では真の利益創出が投資家にとって引き続き重要である。

世界的な新型コロナウイルスの感染再拡大とワクチン開発の見込みに対する期待とが交錯する中、グローバル株式は急上昇しています。しかし、市場心理がここまで楽観的になると、ポートフォリオ構築においては慎重姿勢が望ましいと考えています。誤解のないよう言うと、今後1、2年に関し、我々は楽観的な見方をしていますが、足元では感染第2波が広がっており、多くの国で第1波より長期化しています。ワクチン開発は明らかにポジティブな材料ですが、コロナ後の見通しに対する市場の反応があまりに楽観的なことから、短期的には不確実性やリスクが高いと見ています。

バリューとグロースのバランスを取る

投資家の間ではバリュー対グロース論議が盛んです。コロナ収束後の世界を考えると、「割安な」 景気敏感株が人気を集めるのは理解できますが、景気回復が長期に亘り阻害される場合は、コロナ禍の恩恵を受けるグロース株が好まれるかもしれません。

我々にとって、それはスタイル・サイクルのタイミングの問題ではありません。回復への道のりは平たんではなく、紆余曲折が予想されるため、今はバリュー株とグロース株のどちらが有利かという見通しに立ってポートフォリオを構築するより、幅広い銘柄に投資する分散したポートフォリオを維持し、リスク管理やアクティブな銘柄選択に注力すべきだと考えています。バリュエーションは重要であり、米国の政策決定に関する不透明感を考慮して、過度な楽観視は慎む必要があります。

すべての投資家にとって大切なのは、投資哲学に関わらず、コロナの収束が予想される2021年後半から2022年にかけてどの銘柄が勝ち組となりそうかを検討することです。これは難しいことですが、こうした複雑さに向き合うことは我々にとって真新しいことではありません。

グロース株は割高か?

新型コロナウイルスへの懸念が最も強かった時と比べ、グロース株への一極集中は明らかに緩和されました。創造的破壊の加速が認識され、一時はその恩恵を受ける銘柄が軒並み急騰しました。サイクルの現段階で大事なことは、個別銘柄のテーマを検証し、そのコンセプトが引き続き有効で、コロナ収束後でも事業執行や収益化が順調に行われるか確認することです。

また、長期的に複利で高いリターンを期待できる株式を保有する際、十分長い時間軸を維持することが大切です。破壊的技術で市場に君臨するグロース企業はたとえ足元のPER (株価収益率) が高くても、まだ力強い成長が見込めるので、2、3年先を見据えると、バリュエーションはより魅力的になったと考えています。しかし、現段階では、特定の銘柄に集中的に投資したり、まったく保有しないのではなく、ポジション・サイズの管理が極めて重要です。

一歩下がって全体を俯瞰し、市場の牽引役であるグロース株の顔ぶれが我々の生活するデジタル時代の今と1990年代末のITバブル期とでは異なることを理解することが大切です。Alphabet や Facebook などのテクノロジー・プラットフォーム企業がいま政治的摩擦を経験している理由の一つは、それらの企業が圧倒的な存在になったからです。ITバブル期はまだインターネット・インフラの発展初期だったので、ほとんどの企業がそこから利益を上げていなくても、収益性は問題視されませんでした。

本当の問題は、市場を牽引するグロース株をどのくらいの値段で購入するかです。これはその時点での個別銘柄それぞれの問題であり、全般的には今日の市場ではグロース株バブルは見られません。

グロース株投資の優位性

グロース株の投資家として、我々は世界的に多様な投資先があることの恩恵を引き続き受けています。2020年に特に意識したのは、ポートフォリオの構築に際し、特定の銘柄に集中しないよう心掛けながら、ボトムアップの企業リサーチから生じる投資機会を受け入れることでした。

金融市場の風景は過去10年で劇変しました。この構造的変化の多くは経済成長やインフレを高める方向には働かず、従って、バリュー株に追い風が吹くことはありませんでした。「正常な」成長/インフレ・サイクルは、バリュー株インデックスを構成する天然資源など主要業種の利益成長や株価リターンを高める傾向があります。しかし、「正常な」サイクルがリターンを高める展開とはならず、平均回帰に代わって創造的破壊が市場の支配的なテーマとしてなったため、「バリュー」ファクターは低迷しました。

低成長・低インフレのこの時代に、長期にわたり高いリターンをもたらす企業を発掘することができる、すなわち力強い利益成長の可能性にアクセスできることは、大きなアドバンテージです。

結局、持続可能な成長志向の企業を適切な価格で購入することが引き続き大切だと考えています。また、投資家には、人気が一時的に衰えても、そのビジネスの本源的価値が変わらない銘柄を発掘できる機会はたくさんあります。しかし、割安なバリエーションだけに着目して株式を購入すると、過去10年はほぼ失敗に終わりました。

新たな環境への対応が遅いか適応できない企業が淘汰されるなか、イノベーションでデジタル時代を切り開く企業に資金を投入することが近年の成功のカギとなっています。テクノロジー全盛の今日、多くの企業が以前は考えられない方法で利益を上げられるようになりました。

低成長の世界では、真の利益創出が重要であり、そうした利益を上げられる企業を見つけることがグロース株投資で成功する必要条件です。
 

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