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2020年12 月 / グローバル・アセット・アロケーションの視点と投資環境

グローバル・アセット・アロケーションの視点と投資環境

1. 市場テーマ2020年11月30日時点

バリュー株に投資機会を求めて
新型コロナワクチン開発進展のニュースをきっかけに経済正常化への期待が高まり、行動制限などによる打撃が最も深刻だった景気敏感株が大きく買われました。11月は素材、エネルギー、金融、資本財などこれまで不人気だった多くのセクターが力強く反発しました。これらのセクターの比率が50%を超える新興国のバリュー株は、大幅なアンダーパフォームが続いた後、テクノロジー比率の高いグロース株からの突然のローテーションの恩恵を受けました。2021年は世界的な繰越需要の顕在化、財政支出の拡大、積極的な金融政策、エネルギー価格の上昇が予想され、新興国の景気敏感企業にとって非常に好ましい環境となる可能性があります。新興国通貨の米ドルに対する下落圧力が低下していることから、新興国通貨の反発もさらなる追い風となり得ます。投資家がバリュエーションが非常に魅力的な景気敏感銘柄を探す中、10年近く放置された新興国のバリュー株に注目が集まるかもしれません(図表1)。

脆弱な企業を一掃?
「暗黙の政府保証」が付されているとみなされていたAAAなど高格付けの中国企業が相次いでデフォルト(債務不履行)に陥ったため、ローカル市場に衝撃が走り、投資家は拡大を続ける中国債券市場のリスクを見直しています。世界金融危機以降、海外投資家への自国資本市場の開放とブルームバーグ・バークレイズ・グローバル総合インデックスに占める中国社債比率の引上げを目指す中国政府の動きを背景に、中国社債市場はこの10年ほどで大きく成長してきました。新型コロナウイルスの発生前から債券市場において弱含む兆候が見られていましたが、中国の政策当局は経済悪化を受けて信用制度改革の撤回を余儀なくされ、一時的に潜在的なソルベンシー (支払い能力) 問題が隠蔽されていました。しかし、足元で経済成長ペースの改善が見られてきたことから、政策当局は再び金融引締めを始め、その結果、返済猶予により生き延びていた財務健全性が脆弱な企業の存在が明らかになりました。中国政府は足元の景気の強さを脆弱企業を清算する機会と捉える可能性があり、その場合、長期的にみると、結果的に中国社債市場の印象が改善する可能性があります。

民主党完勝ならネガティブ・ショックも
民主党のバイデン候補が米国大統領選挙に事実上勝利し、民主党が下院で過半数を維持する一方、上院は引き続き共和党が制する可能性が高いため、株式市場は「ねじれ議会」を好感して上昇しました。しかし、来年1月5日に予定されている上院2議席を争うジョージア州の決選投票の行方はなお予断を許さず(図表3)、パワーバランスは依然不透明です。共和党が1議席を獲得すれば、上院で過半数を握りますが、民主党が2議席を獲得すると、両党ともに50議席となり、上院議長を務める副大統領が議長決裁権を行使することから、民主党が上院多数派となります。民主党が大統領と上下両院を制する「オールブルー」のシナリオが現実のものとなれば、市場は政府がより積極的に増税や規制強化に取り組む可能性を織り込み始める可能性があります。11月はワクチン開発のニュースやバランスの取れた米国の政治環境の見通しを好感して株式が急騰しただけに、オールブルーとなった場合、市場にはネガティブな影響が及ぶ可能性があります。

日本株反撃の条件整う
春先以降、回復を続けている株式市場にあって、日本株は米国や新興国に比べ、相対的な劣後が続いています(図表4)。①慎重な国民性を反映した消費や投資の低迷、②米国などに比べた「オールド・エコノミー」銘柄の株式ウェイトの高さ、③米FRBの利下げの影響や安全通貨選好としての円高の進行、④他国・地域に比べて限定的だったコロナ後の追加金融緩和など、様々な理由が考えられます。しかし、米国の大統領選挙終了で政治的不透明感が和らぎ、ワクチン開発の進展を受けて来年後半以降の世界的な景気回復の見込みが強まった現在、この先1年程度の時間軸では世界景気との連動性の高い日本株がアウトパフォームする可能性は以前よりも高まっているのではないかと考えられます。また、感染拡大とはいえ、それなりに市民生活が営めている日本と、大規模なロックダウン(都市封鎖)を実行中の欧州とで株価の回復が同水準にあるだけに、日本株には相対的な上値余地も期待されます。

過去の実績は将来のパフォーマンスを保証するものではありません。
(図表1)米国グロース:ラッセル1000グロース・インデックス、米国バリュー:ラッセル1000バリュー・インデックス、EAFEグロース:MSCI EAFEグロース・インデックス、EAFEバリュー:MSCI EAFEバリュー・インデックス、新興国グロース:MSCI新興国グロース・インデックス、新興国バリュー:MSCI新興国バリュー・インデックスを使用しています。
(図表2)中国社債インデックスはブルームバーグ・バークレイズ中国アグリゲート社債インデックスを使用しています。
(図表4)米国:MSCI米国、欧州:MSCI欧州、新興国:MSCI新興国、日本:MSCI日本、いずれも税引き後、現地通貨ベースを使用しています。
出所:ロンドン・ストック・エクスチェンジ・グループ・ピーエルシー及びそのグループ企業(総称して「LSEグループ」)、MSCI、ブルームバーグ・ファイナンス L.P、ブルームバーグ・インデックス・サービス・リミテッド、サーベイUSA。FTSEラッセル及びMSCIの情報については追加ディスクロージャー参照。


2. 各国・地域の経済環境

  • 追加的な財政支援策が打ち出される可能性
  • 金融政策は引き続き非常に緩和的
  • 家計の健全なバランスシートと高い貯蓄率
  • 低金利を受けて住宅市場は活況
  • 政治的不透明感が強まる
  • 新型コロナウイルスの新規感染者数が増加
  • 高水準の企業・政府債務
  • 米ドル安
欧州
  • 景気回復の恩恵を受ける景気敏感セクターの比率が高い
  • 金融・財政政策は引き続き緩和的
  • 株式のバリュエーションは引き続き魅力的
  • 長期的にユーロ高の見通し
  • 新型コロナウイルス感染第2波により再ロックダウン
  • 追加財政刺激策の実施に向けたプロセス長期化
  • ブレグジットが貿易に悪影響を及ぼす可能性
  • 欧州中央銀行(ECB)の景気刺激余地は限られる
中国
  • 2021年もポジティブな経済成長のモメンタムは続き、国内消費の動向が注目される
  • 人民元は今後も堅調な展開が予想され、世界的な低金利環境や海外投資家の参入規制緩和を考えると、中国債券は引き続き魅力的
  • 新型コロナワクチンの開発進展の報道により世界経済正常化の期待が高まり、収益回復は持続する可能性
  • 中国は新型コロナウイルスの感染をいち早く封じ込めたことから、金融・財政政策を最初に正常化する主要国となるかもしれない
  • テクノロジー企業に対する規制強化や記録的な新規株式公開(IPO)となるはずだったAnt Groupの上場延期は市場の牽引役には逆風
  • 社債のデフォルトが増えており、連鎖倒産リスクを抑える政策当局の動きへの関心が高まっている
日本
  • 引き続き景気が回復する一方、追加の経済対策も予想されている
  • マネーサプライの増加や海外資金の流入で株高に拍車がかかっている。日本株は高値を更新したが、海外市場に比べると依然割安
  • 足元の回復は自動車など伝統的産業が中心となるだろうが、日本は社会全体がデジタル化を推し進めつつある
  • 景気回復の足取りが他の先進国より鈍い半面、新型コロナウイルスの新規感染者数が再び増加し、「Go To トラベル」など一部の需要喚起策は抑制を迫られている
  • 株式市場が高値を更新しているため、短期的には利益確定の売りが出る可能性がある
  • 市場指標は円高を示唆しており、日本企業の競争力や収益力が損なわれる可能性がある
オーストラリア
  • 繰越需要、雇用市場の改善、高い貯蓄率に支えられて個人消費は好調が続く見通し
  • 新型コロナウイルスの感染拡大を事実上封じ込め、季節要因も重なり、景気が予想以上に改善する可能性がある
  • 業績予想は豪州経済の回復ペースを過小評価しているようだ
  • 中国との緊張の高まりは実体経済に影響を与えていないが、依然として投資家心理を圧迫している
  • 財政刺激策の縮小タイミングが性急に過ぎるリスクがあり、財政支出が停止されると、その影響は長引くかもしれない
  • 中銀は将来的に豪ドル高の抑制に乗り出すかもしれない
新興国
  • 中国経済は概ね回復
  • 米ドル安
  • 景気敏感セクターの比率が高く、世界経済回復の恩恵を受ける見通し
  • 株式のバリュエーションは先進国より魅力的
  • 中国を除く新興国は財政刺激策を行う能力が限られる
  • 世界の鉱工業生産や貿易の動向に非常に敏感。生産や貿易は持ち直しているが、なお低水準にある
  • 新型コロナウイルス対策のための体制やインフラは国によって異なる


3. アセット・アロケーション・コミッティのポジショ二ング

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202012-1452715

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