2025年10 月, From the Field
市場見通し
資産別ポジショニング
市場テーマ
小型株のアウトパフォームに持続力はあるか?
ここ数年、金利低下への期待から米国小型株の上昇相場が幾度か訪れたものの、いずれも短命でした。今回もFRBの利下げ期待により小型株が優位となっていますが、過去とは異なり9月末時点でも大型株をアウトパフォームし続けています(図表1)。今回、小型株がアウトパフォームする環境が続いている背景には、FRBによる利下げ再開だけでなく、最近成立した大型減税法案、M&Aの活発化、政府の規制緩和推進、貿易摩擦の緩和といった他の要因も寄与していると考えられます。ただし、大型株と比較して依然割安な水準にあるバリュエーションや改善傾向にある業績予想といったポジティブな要素がある一方、インフレ・リスクによる金利の高止まりや、経済成長の減速を示唆する足元の労働市場の鈍化には警戒が必要です。そのため、足元では大型・小型のどちらかに偏るのではなくバランスの取れた投資スタンスが賢明と言えるでしょう。
民間データの重要性
米国では一部政府機関の閉鎖が長引くことで、経済への直接的な悪影響が懸念されています。また、経済指標の公表が見送られているため、金融政策の判断材料が不足し、FRBの適切な政策運営への不安も広がっています。2024年12月以来見送られていた利下げが9月に再開されたことで、労働市場の先行きへの関心が高まっています。特に8月の雇用統計では、雇用の伸びが急落し、失業率が4年ぶりの高水準となるなかで、過去の統計データが下方修正されたことも重なり、投資家は発表が遅れている9月の統計に対して不安を抱きながらも待ち望んでいます。公的データがない中、民間市場のデータが重要視されており、ADPによる9月分の発表では民間セクターの雇用が3万2,000件減少したことが示され、労働市場の冷え込みへの懸念がさらに強まりました。FRBが状況を把握できない中、データの空白期間が長引くほど、望ましくないデータが突然発表されるリスクが高まります。
株価は割高か
主要国の株価指数は過去最高値圏で推移しています。バリュエーション(12ヵ月先予想EPSに基づく株価収益率)も上昇傾向にあり、特に米国は、コロナ禍による急変を除くと過去20年間で最も割高に近い水準です(図表3)。人工知能(AI)への期待が市場をけん引する一方、関税による企業業績への影響懸念や米国の雇用環境の悪化が続く中で株価が最高値を更新し、「AIバブルではないか」との声もあります。しかし、今年7月に米国で成立した減税法(略称「OBBB」)の景気刺激効果は予想以上に大きく、インフレ率が目標超過の中でも利下げが続く見通しです。欧州では国防費を含む財政出動が進み、世界的に財政・金融両政策のサポートが見込まれるほか、規制緩和やM&A環境の改善も追い風となり、関税等による業績未達リスクは低いと見込まれます。そのような背景から、現在の株価水準は(少なくとも債券と比べて)許容できるとの見方もあります。
アセットクラス・ポジショニング
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