2025年7 月, From the Field
市場見通し
資産別ポジショニング
市場テーマ
バラ色の眼鏡
貿易紛争の継続、地政学的緊張の高まり、膨らむ財政赤字、金利上昇といった材料から、リスク資産に陰りが見えるのが普通でしょう。ところが、実際には株式市場は現在、最高値付近で推移しており、4月2日の「解放の日」に底値を付けて以降、上昇基調が続いています。この背景には、投資家がこうしたリスクの多くはインパクトを残さず姿を消すか、複数の好材料の中に埋もれてしまうと考えているようです。楽観派にとっては、AI投資に関する懸念が後退し、業績は概ね底堅く推移し、インフレにはまだ関税の影響は見られず、財政支出は拡大傾向と好材料が目白押しです。さらに、貿易政策に対するより実用的なアプローチもこれまでのところポジティブと受け止められる可能性があります。ただし、ダウンサイド・リスクが消えたわけではなく、株式市場のバリュエーションはバラ色の見通しを反映する水準に戻っているため、見通しが期待外れに終わる場合に備えて警戒が必要です。
独立記念日?
トランプ大統領はインフレが低下しても利下げをしないパウエルFRB議長を度々公然と批判した後、2026年5月の任期切れを待たずに議長の後任を指名すると脅しています。パウエル議長の退任よりも前に後任が指名されることになれば、市場に混乱が生じかねません。そうした事態になると、パウエル議長の影響力は低下し、市場は次期議長の意見を重視し始めるでしょう。FRBが必ずしも正しい政策を行うとは限りませんが、その独立性は米国の金融市場や資産の信用を維持する上で極めて重要です。現に、米国債や米ドルが下落した理由としてFRBの将来の独立性に対する懸念を挙げる向きもあります。米国が7月4日に独立を祝う時、「影のFRB議長」が経済政策よりも政治主導で選ばれたとの認識が広がれば、投資家は将来的により大きな不透明感に直面する可能性があります。
不確実な環境下でのセキュラートレンド
債券市場で超長期ゾーンにかけてのイールドカーブのスティープ化が進んでいます。各国の財政リスクを示す5年と30年の国債利回り格差は、トランプ氏が米大統領選に勝利した昨年11月以降、足並みを揃えて拡大の方向にあります。その背景には①地政学リスクの高まりを受けた防衛予算増額、②ポピュリスト政党の勢力拡大とそれに対抗するための既存政党の財政規律の緩和、③関税、物価高、景気減速への対策として期待される財政支出拡大、④金利上昇による既存債務の利払い増加(の悪循環)、⑤投資家不在(国債買い入れを縮小(テーパリング)する中央銀行と投資に二の足を踏む民間投資家)などが考えられます。この世界的な超長期ゾーンのイールドカーブのスティープ化は、不確実なことの多い現在の金融市場環境における数少ないセキュラー(中長期的に安定した)トレンドのひとつとの見方が強まっています。
アセットクラス・ポジショニング
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