2025年8 月, From the Field
インパクト投資市場は、過去数年にわたり、その複雑さや幅広さ、そして定義さえも大きく進化してしてきました。そのため、この分野におけるアクティブ運用者は、これらの変化に応じて迅速に行動し、適応するとともに、インパクト評価フレームワークの妥当性を維持する必要があります。
ティー・ロウ・プライスは、強固なフレームワークの必要性を早くから認識しており、2020年にサステナブルボンド・フレームワークを導入しました。当フレームワークは、インパクトの観点からサステナブルボンドのインテンショナリティ(意図)、アディショナリティ(追加性)、メジャラビリティ(測定可能性) を正確に評価するために、4つの主要な要素を採用しています。具体的には、「発行体のESGプロファイル」、「基準とガバナンス」、「調達資金の使途」、「起債後の報告」です。当フレームワークは、これら4つの側面のスコアを加重平均して総合評価を行います。スコアは信号機になぞらえ3色で表示され、銘柄選定プロセスに組み込まれます。
このフレームワークによって、発行前および発行後のあらゆるタイミングにおいて、財務戦略・サステナビリティ戦略両面について企業とエンゲージメントする機会に活用され、各ラベル付き債券の有効性をより明確に把握できます。また、ラベル付き債券の予想パフォーマンスを評価するのにも役立ちます。なぜなら、信頼性のある構造を持つラベル付き債券は、影響力が潜在的に欠ける債券よりも、良好なパフォーマンスを示すと考えるからです。
インパクト投資の進化
過去数年にわたり、インパクト投資市場には、いくつかの変化が見られます。
フレームワークの微調整
当社は、これらの変化等に照らして、急速に変化している現在の市場動向により良く適合するため、既存のサステナブルボンドのフレームワークを強化しています。具体的には、フレームワークにおける比重が大きい(それぞれ45%と25%)「調達資金の使途」と「起債後の報告」の側面に焦点を当てています。
ラベル付き債券への積極的なアプローチ
ラベル付き債券市場が成熟し拡大し続けるなかで、投資家は、独自の評価フレームワークを用いて債券を評価するばかりでなく、市場の進歩に応じてフレームワークを調整・向上させる姿勢が求められます。
今回の更新は、新たな市場ガイドラインおよび調達資金の使途や発行後の報告動向に関する経験を踏まえ、当社フレームワークを現在のサステナブル市場に適応させることを目指すものです。これにより、取引のライフサイクルを通して発行体へのエンゲージメントを促進する手段を提供するというフレームワークの既存のメリットを補完・強化します。当社は引き続き、市場の変化に応じてフレームワークを継続的に見直していきます。
1 EY 2024年 機関投資家調査、EY、2024年12月10日。
2 サステナビリティ・シグナル、モルガン・スタンレー、2024年12月3日。
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