2025年2 月, From the Field
市場見通し
資産別ポジショニング
市場テーマ
多額のAI投資の価値とは
デジタル広告、オンラインショッピング、電気自動車、ソフトウエアという異業種の代表企業を集めた「マグニフィセント・セブン」の時価総額は合計20兆米ドルに上ります。世界の株式市場をけん引する同グループの規模は、米国以外の株式市場の何倍にもなります。桁外れに大きな数字ですが、収益性においても高いバリュエーションを正当化できるほどの高い水準にありました(図表1)。しかし、中国のAIスタートアップ、「DeepSeek」に関するニュースが、異なる企業のグループに共通する一つのテーマを浮き彫りにしました。それは莫大な設備投資の妥当性です。このテーマが出てきたことで、同グループの株式へ多額の投資を行っている投資家は、独占的地位を維持するための巨額のAI投資の価値について、ますます厳しく精査し始めるでしょう。こうした状況を背景に、我々は物色の広がりと収益改善の恩恵を受けるとみられる銘柄にも魅力を見出しています。
ディールかノーディールか?
トランプ大統領は公約通り就任後すぐに他国を交渉の場に引き出すための道具として関税を使いました。関税は主に、より公正な貿易政策を実践し、国境の安全を確保するという前提に基づいて課されます。たいていの場合、関税導入に対する積極的な姿勢は貿易相手国の速やかな取り引き(ディール)か、少なくとも関税を先送りするための行動を促すことに成功してきました。なぜなら、経済の多くを貿易に依存する標的国にとって関税に関する取り引きは死活問題だからです(図表2)。米国は足元の景気が強く貿易面の脆弱性も低いものの、交渉が長期の貿易戦争に発展した場合は無傷では済まないでしょう。今回のようにインフレ率が高い時は特にそうです。このように不確実性が高まる状況下、現在のバリュエーションではリスクはますますダウンサイドに傾いていると考えており、株式への配分は常に注視しています。
逆イールド状態の解消が示すもの
コロナ禍収束後の物価上昇とそれに対応した各国中央銀行の利上げにより、主要国の多くで2022年から23年にかけて長短(2年と10年)金利差の逆転(逆イールド)状態が続きましたが、インフレのピークアウトを受け、各国中銀が利下げに転じた24年以降、逆イールド状態は徐々に解消されました(図表3)。今後ですが、米国などは当面の利下げ観測の後退で短期金利が低下しにくくなっているものの、足元の底堅い景気や「しつこいインフレ」にトランプ政権のリフレ的政策の影響と財政悪化への懸念が加わり、長期金利はさらなる上昇圧力にさらされる可能性がある(結果、逆イールドへの復帰は見込みにくい)とみています。加えて、海外諸国との金融政策サイクルの違いからこれまで逆イールドに至ることのなかった日本でも、当面は日銀の利上げ継続観測から長短ともに金利上昇リスクが根強い公算です。こうした中、当面は世界的にデュレーションが短く、相対的に利回りの高い資産の方が魅力的と考えています。
アセットクラス・ポジショニング
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