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2022年3月 / インサイト

Matthew Lawtonに聞く

グローバル・クレジット・インパクト投資戦略 ポートフォリオ・マネジャー

10年以上にわたる投資適格社債の信用分析と債券ポートフォリオ運用の経験に加え、個人としても気候変動に取り組む熱意を持つMatt Lawtonは、グローバル・クレジット・インパクト投資戦略の運用を公私の目的をともに追求する方法ととらえています。Lawtonは、投資対象を「グリーンボンド」に限定しない当戦略の柔軟性を活用して、環境・社会面の問題解決に役立つ幅広い発行体の債券を調査分析します。当戦略には、環境や社会へのポジティブなインパクトの追求と投資リターンの達成という2つの運用目的があります。

これまでの経歴と資産運用業界でキャリアを目指すと決めた背景について教えて下さい。

大学の学士過程修了後、金融業界で働きたいと考えていましたが、どの分野が最も面白いかは分かりませんでした。ニューヨーク市のインベストメント・バンクに4年勤めた後、自分に向いていないと判断し、ビジネス・スクールに入学しました。

ジョージタウン大学でMBAの取得を目指しつつ、ティー・ロウ・プライスの債券リサーチ部門でサマー・インターンシップを修了しました。インターンとして、新興国クレジット・チームで働き、中南米の公益事業を担当しました。

幸運にもブラジルに出張し、企業経営陣、規制当局、開発銀行の担当者と面談することができたのは、インターンとして素晴らしい機会でした。サマーインターンで発行体の信用力調査に携わり、分析スキルを学んだ経験が、資産運用ビジネス、そして特にティー・ロウ・プライスに決めるきっかけとなりました。

どのように専門分野を決めましたか。また、経験や知見が当運用戦略の中核的な目的追求にどのように役立つと考えますか。

気候変動は私にとって身近で重要な課題でもあります。グローバル・クレジット・インパクト投資戦略を担当することは、仕事であるのと同時に、私個人の目的追求を両立させる理想的な職務と感じています。そう思う理由は、当運用戦略には、環境や社会へのポジティブなインパクト追求と経済的リターン達成という2つの中核的な目的があるからだと感じています。

私は当初、企業のクレジット・アナリストを6年間務め、発行体の信用力を評価するための基本的な理解とその信用力に対する相対的な価値を重視してきました。その後、セクター・ポートフォリオ・マネジャーに転じ、それまで培った信用力評価に対する基本的な理解の土台の上に、マクロ経済、セクター間の相対価値、リスク管理の視点を加味して運用に従事しました。これら2つの職務において成功できた鍵は、他のクレジット・アナリスト、ポートフォリオ・マネジャー、株式アナリストとの有効な協働だったと思います。緊密な協働は、債券投資家として成功するために必要な要素です。協働は、ティー・ロウ・プライスにおける企業文化の根幹を成すものです。グローバル・クレジット・インパクト投資戦略のポートフォリオ・マネジャーとして、責任投資アナリストチームやインパクト株式投資のポートフォリオ・マネジャーなど、協働できるネットワークをさらに広げることができました。

運用アプローチおよび顧客のためにどのように価値創出を目指しているか教えて下さい。また、ティー・ロウ・プライスのリサーチ体制や他のリソースをどのように活用して結果を追求するのか説明してください。

詳細なファンダメンタル・リサーチは、すべての資産クラスにわたりティー・ロウ・プライスの運用プロセスの根幹であり、インパクト投資戦略においては殊さら重要です。クレジット・リサーチは、当運用戦略の運用の基盤となる4本の柱のうちの一つです。

発行体の信用力が急激に低下した場合、当運用戦略のいずれかの中核的な目的を達成するする能力が損なわれる可能性があります。

ポジティブ・インパクトの重要性と測定可能性は、別々の柱としています。私たちは、社会・環境面のインパクトの成果を定量化し、将来のポジティブな変化を考慮するように努めます。これは、詳細なインパクト・リサーチを通じてこそ達成されます。

私たちはまた、サステナビリティ(持続可能性)の重要性を確信しています。すなわち、環境・社会面でポジティブなインパクトをもたらす企業には、資本調達力、競争力、そして最終的に経済的リターンの観点から優位性があると考えています。この柱では、ファンダメンタル・リサーチとインパクト・リサーチの両チームから提供される見方や視点を一つにまとめ上げます。

4本目の柱は追加性で、ティー・ロウ・プライスの規模とリソースを活用して、発行体のインパクトを前進させ、促進させます。これを実現する方法の一つが、経営陣との直接的なエンゲージメントです。

当運用戦略を他の類似戦略との違いについて教えて下さい。

「グリーンウォッシング」、すなわち見せかけだけの環境・社会・ガバナンス(ESG)投資戦略にメディアの注目が集まっています。投資家からは、当然ながら戦略の運用プロセスの実態について質問が寄せられています。他社のESG戦略の多くは、特に債券において、除外リストや第三者のESGレーティングを用いて運用しているのではないでしょうか。当社グローバル・クレジット・インパクト投資戦略では、ポートフォリオに組み入れるすべての発行体企業は、厳格な組入れ基準によるスクリーニングを実施するとともに、その企業がもたらす環境または社会的影響を包括的に分析しています。この点が当運用戦略のアプローチを他社の運用商品と比べて差別化する優位性であると考えています。

発行体が「グリーン」としてラベルを付けている債券のみに投資するグリーンボンド戦略とは異なり、当戦略は、クレジット投資対象全体にわたる幅広い投資機会を柔軟に検討し、債券が「グリーン」か否かを問わず、環境・社会面で重要かつ測定可能なポジティブなインパクトをもたらす発行体を特定します。

ポートフォリオのポジションと今後の見通しを説明してください。

当運用戦略の現在のポジションは、3つのテーマに重点を置いています。第一に、ヘルスケア・セクターに投資機会があると見ています。景気感応度が低いディフェンシブなヘルスケア・セクターは、不透明なマクロ経済環境のなかで、投資の観点から魅力的です。さらに、治療、ワクチン、診断において新型コロナウイルス対策に貢献する企業は、投資価値の観点のみならず、社会的インパクトの観点からも魅力的と見ています。また、一部の医療保険会社、特にメディケア・アドバンテージ・プラン提供会社も、高齢化社会にポジティブなインパクトをもたらすため、選好しています。

第二に、私たちは、金融の普及を促し社会的公正を実現する一部の新興国の銀行を選好しています。多くの新興国では、多くの人々が十分な銀行サービスを受けていないか銀行口座を持っていません。この社会的問題の改善に向けて、これらの人々へ資金手段、信用供与、雇用創出、経済成長を通じてポジティブなインパクトを促す銀行に投資しています。具体的に言えば、ファンダメンタルズが健全な一部のアジアの銀行は、潜在的な投資リターンとインパクトの両面から魅力的です。

第三に、再生可能エネルギーへの長期的な転換において勝ち組と見込む公益企業の債券に投資妙味があると見ています。これらの企業は、低炭素経済への移行を促進する上で環境に大きくポジティブなインパクトをもたらすばかりでなく、企業収益力の強化が期待でき、信用力が持続的に改善すると見込まれます。

私たちは、信用リスクについては、総じて慎重な見通しを持っています。金融政策は各国の中央銀行による大規模な金融緩和から引き締めへの政策転換の初期段階にあり、財政支援も2020年および2021年より遥かに低い水準です。これらの要因は、クレジット・セクターに圧力を加える可能性があります。そのため、引き続き持続可能な競争優位性と強固なバランス・シートを有する企業への投資に重点を置いています。

個人的な興味やそれが運用業務にどう関わる(または関わらない)か教えて下さい。

成功するためには、仕事以外のバランスも大切であり、仕事でも仕事以外でもやりがいのある経験をすることが大切だと強く思っています。私には7歳の娘がいますが、それをサポートすることにやりがいを感じています。また、運動することでバランスをとり、身体だけでなく、精神的な健康維持にもやりがいを感じています。

旅行も好きで、新型コロナウイルスがパンデミックからエンデミックに移行すれば、もっと旅行できるようになることを楽しみにしています。旅行は、グローバルな発想や視野を養う優れた方法であり、その意味で、仕事であれ、個人的趣味であれ、メリットがたくさんあります。

 

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当資料は、ティー・ロウ・プライス・アソシエイツ・インクおよびその関係会社が情報提供等の目的で作成したものを、ティー・ロウ・プライス・ジャパン株式会社が翻訳・補記したものであり、特定の運用商品を勧誘するものではありません。また、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。当資料における見解等は資料作成時点のものであり、将来事前の連絡なしに変更されることがあります。当資料はティー・ロウ・プライスの書面による同意のない限り他に転載することはできません。

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当社の運用戦略では時価資産残高に対し、一定の金額までを区切りとして最高1.265%(消費税10%込み)の逓減的報酬料率を適用いたします。また、運用報酬の他に、組入有価証券の売買委託手数料等の費用も発生しますが、運用内容等によって変動しますので、事前に上限額または合計額を表示できません。詳しくは契約締結前交付書面をご覧ください。

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