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2021年6 月 / VIDEO

クレジット市場の見通し

トランスクリプト日本語翻訳版

最初に、2020年12月のプレゼンテーションでお話しした内容を簡単に振り返りたいと思います。社債については全般的に強気の見方をしており、スプレッド縮小余地とインカム獲得の機会があると考えていました。新興国債券は安定したファンダメンタルズと良好な需給を兼ね備え、投資環境は良好でした。また、新興国債券への投資はリスク分散効果が期待できる上に、スプレッドは他の資産を上回っていました。特にアジア社債のリスク調整後リターンは魅力的でした。投資適格債は需給が堅調でファンダメンタルズが安定しているものの、バリュエーションは良くても適正水準でした。こうした状況で望ましいアプローチは、独自の投資機会を見つけるために特定の業種や格付に焦点を当てることであると考えていました。

ハイイールド債の中では、景気敏感セクターや、足元では人気がなくてもコロナ収束に伴う経済正常化の恩恵が見込まれる業種に対して非常に前向きな見方をしていました。また、リスク調整後の投資妙味が最も大きいバンク・ローンにも注目していました。

それでは、現状を見てみましょう。
この表は、我々の社債市場に対する見方を示しています。バリュエーションの魅力度は依然と比べて低下しているものの、投資機会はまだ存在します。ただし、その数は限られます。社債市場で有望なのはハイイールド債と新興国社債で、どちらもファンダメンタルズは引き続き良好です。

一方、投資適格債には様々な方面から逆風が吹いています。過去最高水準のバリュエーションに、供給増加、デュレーション長期化、ファンダメンタルズ悪化という要素を考慮すると、当面、楽観的な見通しを抱くのは難しい状況です。

投資適格債の状況を見てみましょう。
まず、一番左のグラフが示しているように、純レバレッジが示す信用力は悪化傾向です。その結果、投資適格債インデックスに占めるBBB格債の割合は50%近くまで上昇しました。当社アナリストが300社超の企業に対して行った調査によると、企業が保有する現金は2021年末までに2020年末の水準から約80%低下すると予想されます。企業が保有する現金の減少は、自社株買いや一番右のグラフが示すM&Aの増加等、様々な理由によりもたらされると見込まれます。

バリュエーションが魅力的であればこうした行動も許容できますが、中央のグラフが示すように、バリュエーションはすでに高水準にあり、特にBBB格債のA格債に対するスプレッドを見ると、バリュエーションの高さが明らかです。そうした中、どのように対処すべきでしょうか? 我々が投資対象として望ましいと考えるのは、格付けが高く、年限の長い銘柄です。従って、A格債を中心に、A格債の中では年限が長めの銘柄を選好しています。中期債ではキャリーを維持するべきですが、全体のデュレーションはアンダーウェイトに保っています。

我々が関心のあるセクターは銀行、通信、メディア、テクノロジーです。ファンダメンタルズとテクニカルの両面から着目しており、テクニカル面では特に流動性の観点から注目しています。

新型コロナの影響で投資適格から投機的格付けに格下げされた「フォールン・エンジェル」の数が記録的な水準に達し、格上げ/格下げ比率も極端に落ち込みました。
しかし、世界経済が正常化するにつれ、ハイイールド債の投資家には格上げに加え、非常に高いリターン獲得の機会や投機的格付けから投資適格に昇格する「ライジング・スター」を狙う好機が訪れます。フォールン・ エンジェルが多いのは、エネルギー、エンターテインメント、レジャー、運輸などコロナにより大きな打撃を受けたセクターで、これらの発行体の75%は最近格下げされました。しかし、これらの業界は業績が回復しており、格上げが今後増える見通しです。

また、当社アナリストは今後数年で投資適格に復活する可能性のある銘柄の発掘に注力しています。その際に注目するのが、持続的トレンド、循環的な業績の改善、債務返済状況、資本構造の改善、フリーキャッシュフローの水準などです。我々が注目する銘柄は、Netflix、T Mobile、HCA、Ford などです。これらの企業は、上記の条件を複数満たしており、フォールン・ エンジェルからライジング・スターに移行する過程で、スプレッドの大幅な縮小を提供するでしょう。

 

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