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2020年8 月 / インサイト

コロナ後により強い地位を確保する米国企業を探す

不透明感が強い中で、最も重要なものは企業のファンダメンタルの質

サマリー

  • 3月の安値から力強く反発している米国株式の回復力は歓迎すべきものだが、依然として不透明感が強い。
  • 投資家は新型コロナウイルス危機からの比較的早い回復を想定し、米国株式について楽観的な見通しを織り込んでいるようだ。
  • 我々は、米国景気の回復には市場参加者の多くが想定している以上の時間を要する可能性があり、短期的には市場のボラティリティが高まりうると考えている。

Q.米国株式市場について現在どのような見方をしていますか?

新型コロナウイルスが米国経済に及ぼした甚大な影響を考えると、ここ数ヶ月の株価の底堅さには驚いています。市場の回復は歓迎すべきものですが、不透明感が依然として非常に強く、不確定要素が多い状況に変わりありません。従って、米国株式について基本的に前向きな見方ながら、慎重な姿勢を維持しています。

3月の急落の特徴は、バリュエーションが高いグロース株が、下げ幅が市場全体より小さく、最も下値が底堅かった点です。これらの銘柄は足元も力強く回復しており、全般的に米国市場をアウトパフォームしています。その結果、パフォーマンス上位の銘柄に、バリュエーションが極めて割高な銘柄が含まれます。通常、下落局面、特に今回のような急落局面で下げを主導するのは、バリュエーションやベータが高い銘柄であることが多いですが、今回は明らかに違います。

米国株式は力強い回復を見せていますが、引続き不透明感が強いため、企業や消費者がコロナ禍による深刻な経済的影響に直面する中、市場のボラティリティが高まる可能性があります。米国では失業率が13%を超え、多くの企業がまだ苦境にあえいでおり、これらは無視できないシグナルです。経済活動の停滞が長期化するにつれ、その影響はますます大きくなるでしょう。

 

Q.米国政府による景気支援策は十分だと考えますか?

米国政府と米連邦準備理事会(FRB)はコロナ危機の経済的影響に対処するため迅速に行動し、前代未聞の大規模な財政出動と金融支援に乗り出しました。当局がこうした経済的な防波堤の構築に迷わず踏み切ったのは、危機を乗り越え、その後の回復のために「手段を選ばない」という明確な決意の表れであり、これだけでも先行きに対して前向きになれる材料です。

今回各国の政府と中央銀行が深刻な金融・経済危機への対処を検討する上で、世界金融危機時の対策が教訓として役立ちました。今回のコロナ危機に対する対応は、実施内容とその効果の両面で世界金融危機の教訓を見事に活かしたものでした。

新型コロナウイルスの感染者数が再び増えているため、米国議会は追加の景気刺激策で合意する可能性があり、一部の措置は実現の確度が高いといえます。同時に、財政による刺激策が不在の中で個人消費の改善が持続可能か検討する必要もあります。

 

Q.ここ数ヶ月の市場ボラティリティの高まりをうまく活かすことができましたか?

はい。株価が安値圏にあった2月下旬から3月初旬にかけて、強固なバランスシート、潤沢な流動性、資本への良好なアクセスなど、健全で、ディフェンシブ・グロース特性を持つ企業に焦点を当てました。その後、財政・金融政策による大型景気対策を受けて市場心理が改善するにつれ、投資判断の焦点を危機後により強力な地位を築く可能性がある企業に移しました。

ボラティリティの上昇は不安を誘い、さらなるリスクをもたらす一方で、同時にそれを活用する機会も提供します。アクティブ運用を身上とする当社は常に、こうした市場の混乱を捉え、お客様のために潜在的なアルファを創出することを目指しています。

 

Q.企業収益はいつ頃から回復し始めると予想していますか?

コロナ禍により先行き不透明感が非常に強く、大きな打撃を受けた旅行業界やレジャー業界の企業の収益が2019年と同水準まで回復するのは、2022年後半かそれ以降になる可能性があります。より強固なビジネスモデルを有する他業界の収益は、もっと早く回復するかもしれませんが、この点において、米国株式市場の力強い回復と、比較的慎重な企業経営陣の収益見通しの間の乖離が鮮明です。

米国の景気回復は現在多くの人が予想しているよりも時間がかかり、V字型やW字型のような急回復ではなく、より緩やかで「ナイキのロゴ(✓)」型になる可能性が高いと考えています。

貿易の観点から見ると、新型コロナウイルスはグローバルなサプライチェーン(供給網)に壊滅的な影響を与え、貿易ネットワークの脆弱性を浮き彫りにしました。一方、米中貿易関係の悪化は世界的な供給体制に一段の圧力をかける結果となっています。

サプライチェーンについてはグローバル型から地域に密着した生産や供給網へのシフトが考えられます。米国内でのこうしたシフトの進展は、工場での自動化の普及を意味します。

 

Q.現在の市場のバリュエーションについてどのように考えていますか?

当社はバリュエーションについて多くの企業と少し異なる考え方をしています。標準的なバリュエーション比率や尺度は大切ですが、それらが最も重要であるとは考えていません。なぜなら、我々は長期的な優位性を備えていると考える企業の発掘と投資を目指しているからです。このような企業はグロース株とバリュー株の双方に存在しており、我々はこれらの企業が有する独自の優位性を考慮してバリュエーションを判断します。この点は一般的な市場の見方と大きく異なる場合もあります。

例えば、新型コロナウイルスは消費行動と同様に、企業や社員間のコミュニケーションや行動を事実上変えており、多くのグロース企業にとって追い風となっています。このため、これらの企業、特に巨大プラットフォーム企業はバリュエーションが高く見えても、一段高を期待できる正当な理由があります。とはいえ、バリュエーションが永遠に上昇し続けることは有り得ず、景気がどこかの時点で循環的な回復に転じると、グロース株からバリュー株へのローテーションが起こり、バリュー株が復活すると予想しています。

 

Q.米国株式の見通しを教えて下さい。

市場が極端に混乱すると、アクティブ投資家に好機が生まれる半面、その分、リスクも高まることに留意しています。そうした環境においては、危機を乗り切り、危機後により強力な地位を築くだけの財務力、競争力、経営の質を兼ね備えたクオリティ企業を発掘するために入念な分析が必要になります。

長期的には、コロナ危機が収束し、正常な日々が戻るにつれ、株式市場は安定を取り戻すと考えています。しかし、新型コロナウイルスがもたらした一部の変化は永続的なものとなると考えています。例えば、新型コロナウイルスの感染拡大が今秋の米大統領選挙に影響を及ぼすのはほぼ確実です。また、特定の企業や業界はファンダメンタルズが変化することが予想されます。

私たちの投資アプローチとポートフォリオの焦点はコロナ危機以前と変わりません。自社の運命を自ら切り開き、長期の持続的なトレンドの恩恵を享受し、イノベーションを通じて効率性の劣るビジネスモデルを駆逐し、業界を塗り替えていく企業に今後も投資したいと考えています。

 

今後の注目点

足元では新型コロナウイルスが世間の関心を集めているため、米大統領選の注目度が相対的に薄れています。しかし、11月の投票日が近づくにつれ、選挙戦を巡って米国株式市場や経済の不透明感が一段と強まる可能性があります。大統領選のみならず、どちらの党が上院を制するかも、市場や経済の見通しに大きな影響を及ぼすと考えています。

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