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2020年7 月 / 債券

コロナ禍でも底堅さが際立つアジア・クレジット債市場

アジア・クレジット債市場は新型コロナウイルスの影響で3月に乱高下した後、上昇しています。今回、その底堅さの理由や、他地域の社債と比較した魅力を検証します。

サマリー

  • 新型コロナウイルスが世界中に蔓延する中でも、アジア・クレジット債は底堅く推移している。その背景には、アジア諸国が初期段階で感染拡大の波をうまく抑え込んだことや、ローカル投資家の存在、コモディティ産業の割合の低さなどがある。
  • アジア・クレジット債市場においてもデフォルト率の上昇が見込まれるが、最近の企業の借り換え動向や政策面のサポートを踏まえると、過去と同程度の水準にとどまるだろう。
  • アジア・クレジット債市場の中長期見通しは依然良好で、特にBB格セグメントや中国不動産セクターに投資妙味があると考えている。

 

アジア・クレジット債市場は新型コロナウイルスの影響で3月に乱高下した後、上昇しています。今回、その底堅さの理由や、他地域の社債と比較した魅力を検証します。

過去3ヶ月は金融市場が大混乱に陥って乱高下し、アジア・クレジット債も例外ではありませんでした。しかし、米ドル建てアジア・クレジット債は新興国債券全体より下値抵抗力が強く、新興国債券の中でもよりディフェンシブな資産となっています。

投資適格債に関しても、アジア・クレジット債は欧州や米国の社債より大変底堅く、これは15年続くトレンドです。また、アジアの投資適格債は、他地域の社債よりディスカウント水準で取引されることが多いため、市場混乱時でも下値抵抗力が強く、有効な分散効果を提供し、資産配分の一翼を担える実力を示しています。

 

 

足元でアジア・クレジット債が好調な要因は、アジア特有の理由もあります。ひとつは、中国や韓国などアジアの主要国が新型コロナウイルスの感染拡大抑制に成功し、世界の他の地域に先駆けて経済活動を再開したことです。ふたつめは、アジア・クレジット債市場ではコモディティ産業の割合が比較的低いため、足元の原油価格の急落の影響を免れたこともあります。最後に、アジアには購買意欲の強い投資家が存在し、域内銘柄に対して構造的需要があるからです。
 

コロナショック発生当初のアジア・クレジット債の流動性をどう評価しますか?
発行市場において改善が見られますか?

他地域と同様、急落局面では流通市場の流動性は大きく低下しました。この間、感染対策として投資家やマーケットメーカーが在宅勤務を強いられたことも、売買執行を時折難しくしました。この結果、ビッド/オファー・スプレッドが高止まりし、特にアジア・ハイイールド債はそれが顕著でした。

アジア・クレジット債市場では2020年、発行数が例年を大きく上回るスタートを切りましたが、3月は大きく落ち込みました。発行市場には最近、投資適格債を中心に改善の兆しが見られます。さらに幅広く見ると、アジア・クレジット債は引き続き、新興国社債全体の発行を牽引する原動力となっています。アジア企業は今後も借り換えや債務年限の長期化を目的に社債を発行するでしょう。
 

コロナ禍でも大規模の経済対策によって企業のファンダメンタルズは支えられていますが、こうした環境でもアジアのデフォルト率は低位にとどまるでしょうか?

先進国の政策当局が前代未聞の大規模な経済対策を打ち出しており、中でも米連邦準備理事会(FRB) は米国社債の購入により防波堤の役目を果たしています。アジアでも独自の経済対策を発表する国があり、債務負担能力に応じた適度な支援の提供や医療体制の維持と、経済活動再開の両立を目指しています。こうした状況下、アジアでは国によって異なるトレンドが見られます。

我々は2020年初、2019年に借り換えが活発だったアジア・ハイイールド債のデフォルト率について楽観的な見通しを持っていました。しかし、新型コロナウイルスにより状況が一変し、経済活動縮小が企業業績に悪影響を及ぼすため、デフォルト率の予想を低い水準から引き上げる必要があるのは確かです。

それでも、アジア・ハイイールド債のデフォルト率は依然として過去とあまり変わらない水準にとどまると予想しています。特に中国の場合、政策当局が今年に入って流動性強化策を数度発表したほか、米ドル建て債の発行残高が多い中国のハイイールド企業が中国国内債券市場への継続的アクセスを持つことも借り換えリスクを低下させる可能性があります。

現在の環境において問題が起きそうなセクターはコモディティ産業だと予想していますが、アジア・クレジット債市場では他地域に比べて当セクターのウェイトが比較的少ない特徴があります。経済の先行き不透明感が依然強いことが需要を圧迫し、特にエネルギー生産会社の業績を直撃しそうです。

アジア・クレジット債の見通しはどうですか?
現在は同資産を買う魅力的な時期でしょうか?

我々は中長期的にアジア・クレジット債に対して前向きな見通しを維持しています。JP モルガン・アジア・クレジット・インデックスで見ると、アジア・クレジット債市場は発行残高が10年で4倍に増えて1兆米ドルを突破し、経済や人口の伸びが高い当地域への直接的なアクセスを提供しています。

現時点ではBB格債が最も魅力的と考えています。このセグメントは、過度のリスクを取らずにスプレッド縮小の流れに乗れる可能性がある絶好のポジションを提供します。個別セクターでは、中国の不動産セクターを引き続き有望視しています。 

最近、大手ディベロッパーの販売契約数が伸びており、これは当セクターにとってポジティブな兆しです。

バリュエーションの観点からみると、アジア・クレジット債は足元の上昇後でもスプレッドがさらに縮小する余地があると考えています。アジア・クレジット債市場は2007年にもボラティリティが上昇し、銘柄間・セクター間格差が拡大する局面がありましたが、その後12ヶ月以内に2桁のリターンを記録しました。現在のサイクルでは、アジア・クレジット債は3月半ばに底入れし、魅力的なリスク調整後リターンを提供すると考えています。

 

 

 

 

今後3~6ヶ月で注目すべき主なリスクイベントは何ですか?

デフォルト率の上昇は確かに注目されます。このような環境下、どの企業が最もデフォルトを回避する態勢が整っているのか、突然のボラティリティの上昇に耐えられるのかを見極めるには、ファンダメンタルズを重視するボトムアップ分析が不可欠です。

もう一つの注目すべき主なトレンドは、新型コロナウイルスの感染動向です。アジア域内においても感染拡大の抑制に成功している国とそうでない国があり、各国がそれぞれの財政事情や対外的な脆弱性を考慮して、異なる景気刺激策を打ち出しています。アジア・クレジット債に各国の景気回復見通しが織り込まれるペースは国によって異なる可能性があり、投資家はパンデミックに関する最新の動向を常に把握しておく必要があります。

最後に、貿易を巡り昨年激しく争った米中の対立は一時下火になっていましたが、足元では再び激化しており、11月の米大統領選を前にネガティブなニュースが飛び出す可能性が依然高いと予想しています。

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