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2020年8 月 / グローバル・アセット・アロケーションの視点と投資環境

グローバル・アセット・アロケーションの視点と投資環境

1. 市場テーマ 2020年7月31日時点


存在感を強めるFAANG

グロース株はバリュー株を年初来30%以上もアウトパフォームしており、下落局面でディフェンシブ特性を発揮しただけでなく、上昇局面においても優位性を見ることができます(図表1)。この10年余り、グロース株は趨勢的なトレンドや資産を極力保有しないビジネスモデルへの移行、景気循環との低相関の恩恵を受けてきました。足元では、コロナ禍による外出制限がeコマース、動画配信、クラウド・コンピューティングなどの普及を加速させたことで、多くのグロース企業が恩恵を受けています。S&P500インデックス構成企業は4-6月期に35%近い減益が見込まれていますが、FAANG (Facebook、Amazon、Apple、Netflix、Google) は平均で20%の増益見通しです。グロース株のバリュエーションは割高に見えますが、ファンダメンタルズは引き続き強固で、多くの人は歴史的にグロース株に有利に働いた低成長・低金利環境が続くと予想しています。バリュー株には厳しい環境が続きますが、ワクチン開発の進展や世界経済回復の兆しが見られれば、バリュー株が反発局面を迎えることも考えられます。しかし、それが新たなバリュー・サイクルのスタートとなる可能性は低そうです。

遠ざかる経済のV字回復

2020年4-6月期の米国GDP成長率は33%近く、ユーロ圏が40%以上(前期比、年率)のマイナス成長となり、世界のGDP成長率は記録的な低成長となりました。低位なGDP成長率はある程度予想されていましたが、足元の雇用データが強弱まちまちであることから、5月、6月の急回復が今年いっぱい継続するか疑問視されています。新規失業保険申請件数は7月最終週には若干減少しましたが、それ以前は2週連続で増加し、雇用市場が回復したとはまだ言えない状況です(図表2)。今後もこうした混乱状態が続き、米国連邦政府が失業者に対する追加支援を削減すると、それが危機後に多くのアメリカ人を支えてきただけに、株式市場が期待する2020年後半でのV字回復への期待がしぼむ可能性があります。

米ドル安は新興国に対する安心感につながらず

新型コロナウイルスの感染再拡大と米連邦準備理事会(FRB)が緩和政策の継続を示唆したことを受けて、7月に米ドルと米国債利回りはともに数年ぶりの低水準に下落しました。通常であれば、低金利環境下のこうした状況は、利回りが相対的に高い新興国市場や新興国通貨には追い風となるはずです。しかし、コロナ危機の経済的影響の継続と中国以外の新興国において財政・金融政策の余力が乏しいことが、米ドル安という状況にも関わらず新興国通貨に対するセンチメントを悪化させています。これはコロナ危機による急落時と反発局面における新興国通貨のパフォーマンスの差からも明白です(図表3)。一部の中南米通貨は金融面の不安定さなど固有の問題が響き、より安定したアジア通貨を大きくアンダーパフォームしています。米ドル安は新興国の金融資産に対する強い逆風を取り除くものの、新興国全体はコロナ危機を乗り切る上でより大きなリスクに直面しています。

日本の小型株には米国と異なる妙味

米国では小型株が大型株にアウトパフォームする局面が終盤に差し掛かったと見ていますが、日本で必ずしも同じような状況がみられるとは限りません。米国では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて実施されたロックダウン(都市封鎖)が解除され始めた4月後半以降、景気回復を先取りする形で小型株が持ち直しています。一方、日本株の場合、そうした米国の景気回復の恩恵を受けやすいのは輸出企業をはじめとする景気敏感の大型株であることが多いため、6月以降の国内株式では大型株がリードしています。財政支援策の実施に時間がかかっていることもあり、また米国の景気回復の変調の恐れもあるため、日本の小型株の追い上げ局面はむしろこれからと想定できます。

 

2.        各国・地域の経済環境   

 ポジティブネガティブ
米国
  • 金融・財政政策による未曾有の緊急経済対策
  • 長期的優位性を有する企業(クラウド・コンピューティング、eコマースなど)の割合が他の国より多い
  • 危機前は家計のバランスシートは健全
  • 米国は国土が広く、移動も自由で、州ごとに政策が異なることから、新型コロナウイルスの感染が続く可能性が比較的高い
  • 政治的緊張の高まり
  • 危機前から企業債務は高水準
  • 高水準の政府債務
  • 米ドル高圧力が弱まる
欧州
  • ウイルス感染の抑制や経済再開戦略は概ね成功
  • 欧州復興基金は追加的な財政刺激効果を生みだすと共に財政統合への最初の一歩
  • 金融政策が引き続き非常に緩和的
  • 欧州株のバリュエーションは割安
  • ユーロ高の見通し
  • 趨勢的に優位な企業の割合が低い
  • 危機前から銀行セクターは厳しい状況が続いていた
  • 危機前から景気の足取りが弱かった
  • 欧州中央銀行(ECB)の景気刺激余地は限られる
中国
  • 経済指標や利回り上昇は、世界的な経済活動の再開に伴うV字回復を示唆
  • 政策対応は引き続き照準を絞ったもので、規模も抑え気味。今年の経済目標は成長と投資から雇用と暮らしに代わった
  • 投機色が強かった2015年の株高に比べて、現在の上昇局面は個人投資家の割合が比較的少ない
     
  • 様々な方面での地政学的緊張の高まりが中国への投資に対する外国人のセンチメントを圧迫する可能性がある
  • 足元の経済指標は回復ペースの鈍化を示唆しており、小売売上高の弱さが懸念される
  • 政策に関するシグナルはまちまちで、家計部門では引き締めも
  • 他の国との金利差がプラスであるため、米ドル安傾向の中、人民元は上昇する可能性がある
     
日本
  • 大規模な経済対策と日本銀行の緩和スタンスが景気回復へのしっかりした足場を提供
  • 経済指標は5月に底入れした可能性があり、人の移動データは他国より依然として高水準
  • 日本株式は引き続き相対的に割安で、企業は潤沢な手元資金を保有しているため、世界経済の回復局面における選択肢が多い
     
  • 高い流動性と貯蓄率から、リスク回避志向が依然強い
  • 日本株式が他の先進国市場をアウトパフォームするには、世界経済が予想以上に回復する必要がある
  • 幅広い通貨に対する米ドル安に照らすと、為替が円高に振れ、日本企業の競争力と収益力が損なわれる可能性がある
     
オーストラリア
  • オーストラリア準備銀行(RBA)は政策金利を据え置き、必要に応じてFRBや他の中銀に追随する準備がある
  • 高い貯蓄率、繰越需要、底堅い雇用データから個人消費は上振れの可能性がある
  • PMI指数の改善が示すように、経済指標は記録的な低水準から回復している
     
  • 新型コロナウイルスの感染が拡大しており、ビクトリア州のロックダウン(都市封鎖)は他州にとって悪い兆し
  • 財政刺激策が早期に縮小されるリスク
  • 現在の株価水準では、収益回復期待は行き過ぎの感があり、株式市場は失望売りで反落する可能性がある
  • 豪ドルは割高感が見え始め、輸出企業に影響を与える可能性がある
     
新興国
  • 中国からの需要は総じて回復している
  • 米ドル高圧力が弱まる
  • FRBの緩和で新興国の中銀は利下げに動きやすくなった
  • 株式のバリュエーションは先進国より魅力的
     
  • 多くの地域で医療体制が脆弱
  • 中国以外の新興国は財政刺激策を行う能力が限られる
  • 貿易摩擦の再燃
  • 世界の鉱工業生産や貿易の動向に非常に敏感
  • コモディティ価格に引き続き下押し圧力


3.        アセット・アロケーション・コミッティのポジショ二ング

 

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