2020年5 月 / インサイト

急落局面での逆張りの有効性

相場の底入れ時期を読めなくても、逆張り投資で好結果を残せる

サマリー

  • 投資家はしばしば市場の動きをパーフェクトに予測することに躍起になり、強気相場が天井を打つ正確な時期や弱気相場が底入れするタイミングを見極めようする。
  • 1928年以降の90年余りの期間において米国株が15%以上急落したことは今回を除き17回あり、そうした局面での逆張り投資の有効性を調べたところ、底入れ時期を読み違えても、大きな利益を得られたことが分かった。
  • 我々の分析は、底入れの前後1ヶ月に株式への配分を増やすと、1年後には大幅なリターンを獲得できたことを示している。

強気相場が天井を打ったり、弱気相場が底入れする正確なタイミングが分かれば成功は間違いなく、早期リタイアも夢ではありません。しかし、過去90年余りの株価急落局面について調べたところ、底入れ時期を正確に予測できなくても、成功できることが分かりました。株価急落時にポートフォリオの株式比率を高めれば、底入れ時期を多少間違えても、かなりのリターンを得られました。つまり、相場の底をパーフェクトに予測できるかどうかに関わらず、急落局面での逆張り投資は好結果をもたらすということです。
 

過去からの教訓

新型コロナウイルスが引き起こした現在の危機は、ショックの性質 (パンデミック)、株価急落のスピード、信用市場からの流動性消失の速度、実体経済の突然の停止、経済対策の規模など、多くの点において歴史的なものです。今回の危機はまだ続いており、世界中の投資家は資産をいつ、どのように配分するかという問題に取り組んでいます。分散投資や長期投資を心掛けることは大切ですが、短期的な相対バリューの投資機会を捉えるため、リスク資産をオーバーウェイトやアンダーウェイトにする戦術的配分によりアルファ (超過リターン) を増やすことは可能です。こうした戦術的な決定は、株式や債券の比率を0%から100%へ一気に変更する極端なものではなく、長期的な戦略的配分を踏まえて行われるべきです。

現在の環境において、割安な時にリスク資産をポートフォリオに組み入れることの恩恵は明らかですが、それを行う正しい時期を選ぶのは至難の業です。このジレンマの核心にあるのは、行動が早過ぎたり遅過ぎたりすることの代償は何かというシンプルな問題です。

この問題の答えを求め、1928年以降の90年余りの期間においてS&P 500が15%以上急落した17回の事例を検証しました。図表1ではこうした急落時期を青い楕円で示しました。最後の緑の楕円は現在の急落を示しており、これは今回の分析には含まれていません。

 

 

架空の投資家が相場の底と判断した時に株式60%/債券40%の資産配分を株式70%/債券30%へ戦術的に変更するケースを想定し、これら17回の急落時点における平均リターンを計算しました。

この分析では、投資家が相場の底を完璧に予測できた場合、平均アルファがかなり高くなることが分かりました。ポートフォリオの10%を債券から株式へシフトした1年後、架空の投資家は平均500bps前後のアルファを獲得できました。

特に意外だったのは、底入れ前後3ヶ月以内に株式への配分を増やした投資家でも1年後にアルファを獲得でき、底入れ前後6ヶ月に株式比率を高めた投資家でさえ最終的に利益を得られたという事実です。つまり、底入れ時期をかなり読み違えても、危機時に株式への配分を増やせば、利益を得られるということです。

図表2にその結果をより詳細に示しました。底入れ1ヶ月前に株式比率を10%高めた場合、12ヶ月後の平均リターンは株式60/債券40のベンチマークを274bps上回りました。底入れ1ヶ月後に株式比率を高めた場合は、最初のケースよりも良好な結果となり、投資のタイミングは早いより遅い方がいいことを示唆してます。

 

 

しかし、最も重要な発見は、1928年以降の17回の急落局面において株式への配分を増やすことによってリターンを高められたことです。つまり、約90年分のデータから、急落後に株式の比率を高めることが正しい判断であることが分かります。

こうした結果を確認するため、別の角度から分析を再度行い、今度は「底からの時間」の代わりに「底からの反発率」 を測定しました。その結果は最初の分析とほぼ同じでした。17回の急落局面において買値が底値から10–15%離れていても、1年後には平均200bps以上のアルファを得られました。

さらに、リターンを比較することにより日次リバランスがポートフォリオに及ぼすインパクトを測定しました。この結果、リバランスはリターンにほとんど影響しないことが分かりました。
 

逆張り投資は賢明な戦略になり得る

現在の急落局面においてS&P500は3月23日に安値を付け、2月19日に記録した史上最高値からの下落率は33%に達しました。株価はその後18日間で25%以上も反発しました。これは分析対象である過去17回の急落局面での反発よりはるかに速いペースです。過去17回のケースでは底値から20%回復するのに平均65日かかっています。

現時点で、現在の急落局面の底が3月23日なのか、それとも数ヶ月中に再びその安値を試すのかは明確に分かりません。しかし、我々の分析が示すように、深刻な急落時に株式配分を増やすことは、タイミングの正確さに関係なく、これまで必ず長期的には有効でした。時として直感とは相いれないかもしれませんが、過去のパターンは、市場が底入れしたかどうか明確に分からない時でさえ、株式への配分を増やすことは有効な投資戦略であることを示しています

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