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2020年6 月 / ポリシー・インサイト

新興国債券に関する新たな視点からの考察

最近のイベントがもたらす新興国債券のチャンスとリスク

サマリー

  • 多くの新興国で量的緩和 (QE) が実験的に行われている。
  • 原油価格の急落により、債券投資家にとって新たな投資機会が生まれた。
  • 一部の新興国社債はバリュエーションが魅力的になったが、銘柄選択がカギを握る。


新興国債券については、原油価格急落や多くの新興国でのQEプログラムの採用など最近の大きな出来事が2020年はもちろんそれ以降も影響を及ぼすと予想されます。グローバル債券運用チームは直近の会合で、それらが新興国債券の見通しにどう影響するのか見極めるため最近のイベントを分析しました。
 

新興国が量的緩和を実験的に導入

QEが再び流行しています。しかしながら、10年前とは異なり、今回は先進国にとどまらず、インドネシア、南アフリカ、チリなどの新興国も債券購入プログラムを発表しています。

「新興国がQEに踏み切る理由は先進国と異なる」とポートフォリオ・マネジャー兼グローバル債券運用チーム・メンバーのAndrew  Keirleは指摘します。「先進国ではQEは資金調達コスト低減やリスク・センチメント改善に寄与するのに対し、新興国では未曾有の資金流出やボラティリティに直面した際に、市場を安定させるダメージ軽減措置としてQEが導入されている。国内投資家による自国債券の保有を増やすことも、新興国がQEを導入した重要な狙いと考えられる」 (Keirle)。

QE導入の理由は国によって違うかもしれませんが、成功が確実というわけではありません。QEは新興国にとって壮大な実験であり、すべての国が成功するとは限りません。QEは財政余力がある国において効果を発揮する可能性が高く、市場が財政政策に信頼を置く国はQEが必要なくなれば金融政策の正常化に動くでしょう。この点について有力な候補としてイスラエル、韓国、タイなどが挙げられます。

一方、財政政策への信頼が低く財政余力の乏しい国は、投資家がQEの規模や実施期間が長期化しないと納得しない限り、QEはより難しいかもしれません。例えば、南アフリカは財政状態が芳しくないものの、投資家がQEは一時的な緊急措置と考えているため、QEをこれまで概ね好感しています。

こうした状況が変わると、現地通貨建て債券と通貨は売り圧力を受ける可能性があります。

「一部の新興国は通貨安リスクがあり、これを避けるには財政規律を維持することがより重要になる」とKeirleは言います。
 

ドル建てソブリン債の投資機会が広がる

原油急落で財政が悪化した中東諸国が相次いで国際債券市場に参加しています。「カタールやサウジアラビアなど起債が少なかった国が国際債券市場に戻っており、投資家にとってチャンスが広がっている。こうした動きは投資家により多くの選択肢を与え、ポートフォリオの分散に役立つ可能性がある」 (Keirle)。

ハイイールド債を発行する一部の新興国もここ数週間は発行市場に戻っています。バーレーンとエジプトはドル建て債を新たに発行し、心強いことに募集枠を上回る買いが集まりました。

原油急落で最終的には勝者と敗者の明暗が分かれるでしょう。石油収入が減るナイジェリアやベネズエラなどの産油国は特に脆弱で、これらの国の債券はボラティリティが高まり、しばらく軟調に推移する可能性があります。一方、石油輸入国であるインドの債券市場は引き続きアウトパフォームする可能性があります。
 

新興国社債は魅力的な投資機会が存在するものの、リスクも高まる

新興国社債は危機の最中に全面安となり、ファンダメンタルズと完全に乖離した水準まで売り込まれた銘柄もあります。これは非常に大きな投資機会を提供する半面、すべての企業が今回の危機を乗り切れるわけではなく、注意が必要です。

「石油などデフォルト・リスクの高いセクターは避け、アナリストが高い確信を持つセクターの割安銘柄に集中することが大切だ。銘柄選択に注力し、危機を乗り切り、今後も繁栄しそうな企業を発掘すると同時に避けるべき企業を特定することがこれまで以上に重要となる」 (Keirle)。

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