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2020年2 月 / 債券

リバース·ヤンキー債の増加

米国企業によるユーロ債発行が新たなアルファ創出機会を創出

サマリー

  • 米国企業が発行するユーロ建て債券(リバース·ヤンキー債)が急増している。米国は現在、ユーロ建て社債残高が最大となっている国の1つである。
  • リバース·ヤンキー債の供給が増加する要因は、欧州において利回りが超低水準で、社債スプレッドが低下していることであり、これは今後も継続する見通しである。
  • この成長している市場セクターは、投資家がポートフォリオを分散し、魅力的なバリュエーションに乗じる機会を提供すると我々は考えている。


米国を拠点とする企業によるユーロ建て債券発行が急増しています。米国企業が発行したユーロ建て社債の金額は、2019年12月中旬までに約930億ユーロに達しました。「リバース·ヤンキー債」と呼ばれるこうした新発債は、2019年の全発行高の約30%を占めました。これを短期的かつ例外的な事象とみなすのではなく、投資家はリバース·ヤンキー債の増加をユーロの社債市場の成長セグメントにおけるポートフォリオの分散とアルファ創出の機会と捉えることができると考えます。
 


2018年の一時的な減少局面を除き、2019年は、リバース·ヤンキー債の供給増加という長期的なトレンドの一部であるようです。従って、米国企業がユーロ建て債券発行残高に占める割合はますます高まっています。2019年の第3四半期末現在、ブルームバーグ·バークレイズ·ユーロ社債インデックスの18%を米国企業が占めています。フランスは、総発行残高に占める割合が米国を上回る唯一の国です。米国企業が新規発行額の首位としての地位を維持するならば、ユーロ社債の発行残高において米国が最大の割合を占めるようになるのもそれほど先のことではないでしょう。

 

この傾向を加速する要因は継続の見通し

広範なユーロ社債市場の成長と成熟に伴い、資金調達源と投資家層の分散を目指し、米国企業は、欧州に進出しています。その他にも、リバース·ヤンキー債の存在感が高まっている理由があります:

  • 超低水準の利回り。ユーロ建て社債利回りは、近年の低インフレと成長懸念を考慮した欧州中央銀行(ECB)の緩和政策を受けて、低位にとどまっています。中核国の国債利回りが低水準で、多くの場合マイナスであるため、社債利回りも押し下げられ、ユーロ市場における企業の資金調達レートの平均は米国を大きく下回っています。つまり、米国企業は米国にとどまってドル市場で債券を発行するよりも低いクーポンで、欧州で債券を発行することができます。

  • スプレッドの縮小。11月に、ECBが量的緩和政策による月次債券購入プログラムを再開し、市場では需要が増加しています。このため、社債スプレッドが縮小し、外国企業にとってユーロ債券発行の意義が高まっています。更に、多くの米国企業は欧州の子会社を通じて債券を発行することができます。これらの債券は、ECBの量的緩和政策の一部として同様に再開された社債購入プログラム(CSPP)の適格債券となります。

  • ユーロからドルのスワップレートが低下。通貨スワップとは、企業が債券発行から得た資金をある通貨から別の通貨に転換できる金融商品です。ユーロからドルのスワップ・レートは2019年に低下し、特にユーロの資金調達を必ずしも必要としない企業にとって、ユーロ市場の低金利を活用する魅力が更に高まっています。
    こうしたトレンドはおそらく今後も継続するでしょう。ECBは、緩和的な金融政策を長期にわたって継続することを表明しています。それとは対照的に、米国のFRB(米連邦準備理事会)の政策見通しはやや複雑です。FRBは2019年に利下げを実施しましたが、利下げサイクルの持続を確約することには消極的であり、むしろ、概ね中立のスタンスを維持しています。ユーロ圏の利回りは直近の過去最低水準からは上昇し続ける可能性がありますが、予見できる将来、依然として米国の利回りを下回るものと予想しています。

 


投資家は新規機会を見つけられる可能性

我々は、投資家がリバース·ヤンキー債の増加を投資機会として捉えるべきであると考えています。この市場セクターは、欧州の投資家にとって、米ドルの債券投資に伴う為替リスクをとることなく、米国銘柄へのエクスポージャーを確保する機会になります。これにより、投資家はポートフォリオを分散し、アルファの源泉を増やせる可能性があります。

また、リバース·ヤンキー債のスプレッドは、発行体のファンダメンタルズと比較して、高い傾向にある点も投資家にとって魅力的です。欧州の投資家にとって、多くの米国銘柄はあまり馴染みがなく、発行体のファンダメンタルズと比較して、あるいは同等の格付けの欧州銘柄と比較して、流通市場における債券のプライシングや取引が魅力的なスプレッドで行われている場合があります。これは、ボトムアップのアクティブ運用を行う投資家にとってアルファ創出の機会となります。


次の注目点

今後もボトムアップのファンダメンタルズに基づいたクレジットリサーチを活用して、相対的に魅力的な投資機会の発掘に努めます。ユーロ建て債券市場に参入している大多数の米国企業について、我々は多くの場合、同じ企業が発行する米ドル建ての債券および株式に既に投資していることから、それらの企業を熟知しています。そのため、それらの企業が欧州市場で初の債券発行を行う場合、改めてリサーチする必要はなく、相対価値に焦点を当てた銘柄選択を行うことが可能です。

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