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2019年議決権行使結果サマリー

2019年議決権行使結果サマリー(米国籍ミューチュアル・ファンド) 環境、社会、ガバナンス(ESG)

2019年議決権行使結果サマリー

このレポートは、2019年6月30日までの12ヶ月間(「報告期間」)における当社の主な運用戦略における議決権行使結果の要約です。

本レポートは、報告期間におけるコーポレート・ガバナンス上の重大な問題を取り上げ、議決権行使の意思決定において、当社が採用したアプローチについてお伝えすることを目的としています。

本レポートは、報告期間における議決権行使結果の網羅的なリストではなく、最も重要なテーマの要約です。米国籍ファンドにおける全ての議決権行使記録は、米証券取引委員会(SEC)に提出すると共に、ホームページ(troweprice.com)にて開示しています。
 

当社の目標


価値創造につながる慎重な意思決定

議決権行使は当社の運用プロセスの一部であると共に、顧客に対する受託者責任という観点からも重要です。投資先企業の議決権行使を検討する際、当社は、企業価値を高めると考えられる提案を支持し、株主の利益に反すると考えられる提案や方針に反対します。

ティー・ロウ・プライスでは、運用プロセスに基づき、投資の観点から個別企業毎にコーポレート・ガバナンスの問題を分析することが適切な枠組みであると考えています。したがって、ティー・ロウ・プライスでは、議決権行使にかかる判断を第三者へ委託することなく、自身で行っています。また、当社の議決権行使ガイドラインは、企業固有の状況を考慮するために必要な柔軟性を含んで策定しています。

以下は、株式を主な投資対象とする当社の主要運用戦略を代表する米国籍ミューチュアル・ファンドにおいて、当該報告期間における議決権行使結果の概要です。実際には、各運用戦略毎にポートフォリオ・マネジャーが各自のポートフォリオで保有する企業の株主総会議案に対する賛否を議案毎に判断しています。
 



取締役の選任


ティー・ロウ・プライスでは、事業戦略を策定および主導し、経営陣による事業戦略の執行を監督するのは取締役会の責任であると認識しています。よって、通常では取締役会の権限を侵害する可能性があると考えられる株主提案などのイニシアティブには反対します。一方、当社の議決権行使ガイドラインの根底にある基本原則の一つは説明責任です。取締役は株主利益の代弁者であるべきと考えており、議決権行使においては取締役がその義務をどれほど効果的に履行したかを考慮します。

複数国・地域を投資対象とするポートフォリオにおいて、取締役会の構成と独立性を評価する際は、各国・地域毎に異なるコーポレート・ガバナンス・コードを考慮し、市場毎に判断します。米国では、取締役会の過半数が独立取締役で占められており、これらの取締役の前年の業績に懸念がない場合には、通常、経営陣の推す取締役候補を支持します。懸念がある場合、特定の取締役、取締役委員会の重要メンバー、また場合によっては取締役全員の再任に反対します。取締役の解任に投票することが株主の利益にとって最適であると当社が考える例として、以下が挙げられます。
 

  • 前年に過半数の株主の支持を得られなかった取締役を解任していない場合
  • 前年に過半数の支持を得て承認された株主提案による方針の採用を怠っている場合
  • 株主の利益をリスクにさらす可能性がある買収防衛策または定款変更を採用している場合
  • 取締役会において重要な役割を果たす一方、社外との重大な取引関係または親族との取引関係を維持している場合
  • 妥当なサンセット条項を採用することなく、インサイダー向けの優先議決権を有するデュアルクラス株式の使用を通じて、企業の経済的持分と議決権の分離を推進する場合
  • 取締役会または委員会の定期的な会合に継続的に出席していない場合
  • 取締役会において多様性が不十分な場合
  • 良好なコーポレート・ガバナンスの基礎的な基準に反する方針または慣行を採用している場合

 

取締役の選任は、議決権行使において圧倒的に多い投票項目であり、当社が今年度行使した議決権の59%を占めました。これらの選任のほぼすべては無競争(取締役の空席1つに対し、候補者が1名)でした。当社ではグローバル市場で行使した議決権において、投資先企業の取締役会が指名した取締役候補の91%を支持しました。

当社は、従来通り、株主の特定の権利を強化する提案には一貫して賛成しました。その一例が、取締役を選任するための過半数決議です。過半数決議には、米国の企業取締役の選任制度を大幅に改善し、取締役の株主に対する説明責任を高める効果があると考えています。たとえ対立候補がいなくとも、過半数の株主が反対した場合には、当該取締役は辞任すべきと考えます。

当社では企業が株主にプロキシーアクセスや、臨時株主総会を招集する権利など特定の保護措置を提供すべきという考えを支持しています。過去2年間において、こういった保護措置の使用基準の緩和を目的とした株主主導のイニシアチブが急増しています。プロキシーアクセスと臨時総会の招集に関し株主にとってすでに寛容的な基準を採用している企業に対する、株主主導の更なる緩和を求める動きは支持していません。これが「株主の権利/修正」のカテゴリーにおいて、株主提案に対する当社の支持率が低下した理由です。

 

株主アクティビズム


株主アクティビズムを活用する投資戦略は、過去数年で米国、欧州、日本をはじめとする市場に顕著な影響を及ぼしてきました。往々にして、株主アクティビスト活動は、議決権行使による決着ではなく、企業とアクティビストが交渉を重ね何らかの形で合意に至ります。一方、交渉が行き詰まり、アクティビストが年次総会にて取締役の対立候補を擁立し、企業の既存の取締役とアクティビストの候補者の選択を株主に迫る場合もあります。当社では、どのような取締役の組み合わせが、長い目で見て企業を主導するのに適切かを判断するために、個々の案件を慎重に検討します。対立候補のいる取締役の選任に対する議決権行使は、当社ではそれぞれのケース毎に判断しています。対立候補のいる取締役の選任において、既存の経営陣への賛成投票率は昨年37%でしたが、今年は56%に上昇しました。

株主アクティビズムに対する当社の見解の詳細な議論については、ティー・ロウ・プライスにおけるアクティビスト活動に対する考え方 をご覧ください。

 

役員報酬


拘束力はないものの、取締役の報酬について株主総会での株主から賛否の意思表示をする、通称「セイ・オン・ペイ」は世界的に広く知られた慣行です。役員報酬に関する事項は、企業と株主の間の対話において引き続き中心的な事項となっています。年次総会資料における企業開示は毎年改善していることから、当社の見解では、企業の取締役は役員陣に支払った内容に加え、その理由も説明するように努めているものと評価しています。

ティー・ロウ・プライスでは、今年度「セイ・オン・ペイ」の決議に14%の反対票を投じました。一般的に、当社が報酬プログラムに関する懸念を表明する可能性が高い例は、複数年にわたって事業の業績と役員の報酬との間に乖離が見られる場合です。一方、顧客ポートフォリオの投資先企業にフィードバックを提供する機会は、年次株主総会に限りません。当社では、常に取締役会メンバーや経営陣との建設的な対話に取り組んでおり、報酬に関する慣行は特に重点的に取りあげています。
 

株式報酬制度


ティー・ロウ・プライスは、企業の役員、従業員および取締役向けのインセンティブ・プログラムが、株主の長期的な利益に沿ったものであるべきだと考えています。適切な条件に基づいていれば、株式報酬制度は株主の長期的な利益と一貫性を促します。企業の戦略目標と整合的なインセンティブを提供する制度が理想です。当社では報酬制度の採用または修正の約77%を支持しました。

少数の上級役員に不相応な報酬を提供する報酬制度や、既存株主の持分を過度に希薄化する可能性がある報酬制度には反対します。また、自動更新を行う「エバーグリーン」条項を含む制度や、アウト・オブ・ザ・マネーの株式オプションの行使価格を株主の承認なく変更できる権限を取締役会に付与する制度にも反対します。これらの慣行は、役員報酬と業績の連動を損なうものであると考えています。
 

合併・買収

個別の案件毎に慎重に精査を行い、保有株式に対する十分な代償を得られる合併・買収には通常賛成します。合併または買収について検討するに当たり、長期的な視点で保有銘柄の価値を評価し、投資先企業の本源的価値を過小評価していると考えられる場合には反対票を投じます。


買収防衛条項


ティー・ロウ・プライスは、一貫して投資先企業の買収防衛手段の削減または廃止には賛成票を投じ、株主の権利に関する制度(いわゆる「ポイズンピル」)の導入に反対します。なぜなら、この制度には、株主が本源的価値を享受することを妨げたり、取締役と取締役が代表すべき株主との間に利益相反を引き起こす可能性があるためです。当社は通常、株主の承認を得ることなくポイズンピルによる防衛条項を採用する取締役には、反対票を投じます。

過去数年、米国では企業が株主の強い要求に応じ、長年採用していた買収防衛条項を廃止する前向きな変化が見られます。こうした条項(例えば、圧倒的多数決の要件)が会社定款に定められている場合、これを廃止するには株主投票が必要です。ティー・ロウ・プライスは、経営陣による買収防衛条項廃止の取り組みを強く支持します。
 

会長とCEOの分離


多くの市場ではすでに取締役会の構造において、取締役会長と企業の最高経営責任者(CEO)の役割を分離するのが一般的です。米国の委任状規則では、企業は最も適していると思われる取締役会構造(独立した取締役会長、分離されているが独立していない会長、または会長とCEOの兼職)とその理由について議論することとなっています。当社は独立した取締役会長が必要かどうかは企業毎に判断します。多くの場合、独立した取締役会長と代表取締役の組み合わせが株主の利益を十分に保護すると判断しています。その他の状況では、役割の分離が株主の利益に資すると結論付けています。ティー・ロウ・プライスでは、今年度独立した取締役会長を選任する株主提案の53%に賛成票を投じました。

 

社会および環境に関する提案

ティー・ロウ・プライスは社会および環境に関するすべての株主提案を個別に評価します。また、経営陣による対処が不十分とみなした潜在的に重大な投資リスクについて、こうしたリスクに対処する決議を支持します。一般的に、企業による環境および社会に関する問題(長期的に見て当該問題が事業にもたらす可能性がある潜在的なリスクと機会を含む)の開示は大幅に改善しています。

このカテゴリーにおける株主提案の多くは、特定の関連問題に的を絞った報告書ではなく、かわりに企業が詳細な一連の報告ガイドラインにて報告するよう規定するものです。現時点では、当社は、企業が特定の開示規定を他の規定より優先して採用すべきであるとは考えていません。また、投資家にとって特に重要なリスクが特定の領域に限定される企業の場合、環境、人的資本、社会および労働に関するすべての問題を網羅する幅広いサステナビリティー報告書の作成は不要であると考えています。その代わり、企業は自社の事業における特に重要な利益のけん引要因やリスク要因に合わせて、報告内容をカスタマイズすべきです。環境に関する開示は全体的に改善しており、この領域における株主提案に対し当社が賛成票を投じる割合は比較的低位に留まります。

今年度、環境問題に関する株主提案の13%に賛成しました。また、社会的課題に関する株主提案(特に、雇用の機会均等に関する方針の支持や企業の取締役会の多様性を強化する提案)の9%に賛成票を投じました。当社は通常、企業の政治的活動に関する株主提案を支持しませんが、当該活動が株主にとって重大なリスクをもたらすと考えられる場合には、当該提案を支持する場合があります。

本資料は情報提供が目的であり、投資アドバイスや特定の投資行動を勧誘するものではありません。

本資料に記載される見解は、2019年6月30日時点の見解であり、予告なく変更される可能性があります。これらの見解はティー・ロウ・プライスのその他の従業員の見解とは異なる場合があります。

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ティー・ロウ・プライス・インベストメント・サービシーズ・インクは、ティー・ロウ・プライスのミューチュアル・ファンドの販売会社です。ティー・ロウ・プライス・アソシエイツ・インクは投資アドバイザーです。

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