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2019年11 月 / インサイト

市場の不透明感:投資家を不安にさせるが、潜在的な収益機会を提供

不透明感が強い時こそアルファ創出の好機が生まれる

サマリー

  • 広範な市場と個別企業の両方のレベルでの様々なファクターが市場に不透明感をもたらしており、不透明感が強まると、投資家心理は悪化する。
  • しかし、米国大型グロース株の投資家にとって不透明感が強い時こそアルファ (超過収益) 創出の絶好の機会がしばしば生まれている。
  • 目先の不透明感に関係なく、米国の大企業は我々が今日市場で目にするイノベーションの多くを主導している。これが引き続き米国大型グロース株の大きな魅力である。

様々なファクターが重なり、投資家にとって市場全般や個別企業に関する不透明感が生じます。それらは現在の米中貿易摩擦、景気減速、金融政策の変更のようなマクロ経済的または地政学的な懸念である可能性があります。もしくは、破壊的な業界トレンドや業務、規制、競争的なファクターがすべて関与する銘柄固有のものである可能性もあります。いずれにしても、どんな形であれ不透明感が生じると、投資家心理が悪化し、株式市場のパフォーマンスが圧迫される可能性があります。

しかし、米国大型株のスペースは世界で最も効率的な市場の最も効率的な部分であり、不透明感が強い時こそアルファ創出の絶好の機会を提供してきました。不透明感は投資家を不安にさせますが、我々はそれを好機と考えています。

不透明感からチャンスを掴む

投資家はよく悪材料に過剰反応するので、不透明感はミスプライスに起因する潜在的な収益機会を生み出します。それが広範な市場レベルのものであれ銘柄固有のものであれ、不透明感は長期投資家にこのようなミスプライスに乗じる短期的な機会を提供します。私がポートフォリオ・マネジャーを務めるティー・ロウ・プライス米国大型グロース株式運用戦略では常に、斬新なアイデア、サービス、製品のおかげで長期的な複利成長を達成できるポテンシャルのある革新的な企業を発掘、投資するよう心掛けています。こうしたタイプの企業は業界に破壊的な影響とそれに伴う不透明感をもたらす可能性があり、 我々が捜し求めているのはこのような企業です。

こうした能力や潜在的な需要を持つ企業を発掘するには、日々の報道の裏にある事実を探るリサーチが必要です。ニュース報道は潜在的な収益機会を生みますが、大型株投資においてこのようなアプローチで大きな利益を上げるのは困難です。大きなニュースが報じられた後に投資をしても、得られるリターンはせいぜい1~2%かもしれません。

短期の「ノイズ」は、企業の長期成長または収益特性についてより深い知見を得る上で最終的に有効ですが、それから重大な事実を導き出すのは至難の業です。我々の経験上、米国大型株セクターの不透明感に継続的に乗じることのできる唯一の方法は、企業の根本的なビジネスやそれらが提供するソリューションの独自性を理解することだと思います。

短期的な市場の「ノイズ」の先を見る

Facebookは、当運用のアプローチが機能した好例です。同社はデータ保護手法に対する懸念から株価が2018年半ばの210ドルからその後6ヶ月で125ドルまで急落しました。問題発覚後の最初の事例における判断ミスとコミュニケーションに関する透明性の明らかな欠如が同社株を大きく圧迫しました。市場はこうした状況にすぐネガティブに反応しましたが、当運用ではその先を見越して当初の投資テーマを再検証し、なぜこんなに多くの企業が Facebook を使って広告をするのかや、その主たる収益源をさらに深く分析しました。全米各地の多くの企業を訪問した結果、Facebook による広告は大半の会社にとって投資収益率が1、2番に高いことが確認できました。このことを理解したことで、データ・プライバシー侵害はそれ自体、企業が実質的に最も利益率の高い成長路線を放棄する理由にならないことが明らかになりました。

Facebook の長期投資家として、我々は日次/月次平均ユーザーに関する大きな問題の潜在的な影響についても理解を深めました。データ・プライバシー問題に関しては世間の反発が大変強い状況でしたが、平均ユーザー数への悪影響は比較的小さいことが確認できました。

これら2点を踏まえ、当運用ではFacebook株の保有に不安を感じつつも、値下がり局面でポートフォリオの組入比率を高めました。

独自のファンダメンタル・リサーチが確信度の高い意思決定を支える

Boeing は、企業への不透明感が強い時期に確信を再確認したもう一つの例です。同社は新型機737MAXの墜落事故を受け危機に直面していましたが、我々は、航空機業界に関する包括的なリサーチとその知見を通して、危機の影響に耐えることができると確信していました。

当社のセクター・アナリストは、実質的に複占構造の航空機業界を深く理解しています。彼らのリサーチでは、Boeing の主要ライバルは膨大な受注残を抱え、新規に受注した航空機を2024/25年頃まで納品できそうにないことが明らかになりました。この結果、当運用では確信を持って、値下がり局面において一貫して Boeing 株をポートフォリオに組入れました。

イノベーションはなお大変魅力的なテーマ

我々は引き続き、米国大型グロース株を取り巻く環境が今投資するのに適しているかどうかについて投資家からの質問に答えています。あらゆるバイアスを除けば、米国大型グロース株の継続的な魅力の一つは、イノベーションと、米国株市場、特に膨大なデータを使い優位を強める企業がもたらす潜在的な市場破壊です。ここで述べているのはデータ・プライバシーの問題ではなく、例えば、カスタマー・エクスペリエンスの向上を目的とする蓄積された膨大なデータの分析です。

従来、一般的に市場破壊は革新的な新製品・サービスを武器とする中小企業から始まりました。 しかし、今日はデータが市場でのイノベーションの多くを主導しています。我々が目にしているような創造的破壊を主導するには膨大なデータが必要です。中小企業がこれほど膨大なデータを集めるのは難しいため、今日のイノベーションを主導しているは圧倒的に大企業です。これは過去5年に大変顕著だったトレンドで、株式の相対パフォーマンスにもそれが表れています (図表 1)。

 

どんなデータも適切かつ規制の範囲内で使用しなければなりませんが、データを有効活用する能力が広告のターゲティング効率を上げ、顧客満足度の向上や売上増に結び付いています。

市場では当面、不透明感の強い状況が続きそうです。マクロ経済/政治的リスクが潜在的な逆風となる一方、企業レベルでは破壊的イノベーションや事業、規制、競争面の試練が引き続き影響し、個別銘柄の不透明感を生んでいます。それでも、当運用では米国株を支えるのに十分な市場ドライバーが存在し、こうした環境では投資家がしばしば上下ともに過剰反応するので、ボラティリティの上昇局面は絶好の買い場になると考えています。 戦略的な長期投資家として、我々はいま有望な投資環境であると確信しています。

次の注目点


米中貿易摩擦が引き続き投資家心理や企業景況感を圧迫し、設備投資を抑制しています。貿易協議が向こう1年でどう進展するかによって、米国株市場のパフォーマンスは大きく左右されるでしょう。

上記の個別銘柄は当戦略の顧客のために購入・売却・推奨された全銘柄を表しているものではなく、また過去に利益をもたらしたか、将来的にもたらすと想定すべきではありません。


 

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