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2019年10 月11日 / インサイト

アジアクレジット債の質の高い分散メリット

堅調なファンダメンタルズと強力な追い風を受ける成長著しいアジアクレジット債市場はグローバル投資家にとって注目に値する

要約

  • アジアクレジット債市場は1兆米ドル近くまで規模が拡大し、新規発行の多くがアジア地域の幅広い投資家に積極的に購入されていることからスプレッドに回復力があり、益々魅力的な投資機会を提供している。
  • 企業の負債比率は改善方向にあり、倒産率は歴史的に低く、アジアクレジット債市場のファンダメンタルズを支える。当市場は、高い経済成長見通しや人口増加が追い風となるアジア地域へ直接のアクセスを提供する。
  • アジアクレジット債のクオリティは、先進国クレジット債に似た保守的な特徴を持ち、多くの主要資産クラスに較べてリスク調整後リターンに相対的な魅力がある。

アジアクレジット債が上昇余地と保守的な性質の両方を併せ持つ資産クラスであることは、2018年を振り返ることで再確認できます。昨年は大きな市場の下落があり、債券、株式、コモディティーなどの資産クラスのほとんどがその影響を受けました。その中で、アジアクレジット債の下落は相対的に少なく、他資産と一線を画しました。2019年は足元で、9.1%のリターンで、キャピタルゲインが大きく貢献しました1。資産クラスの利回りは3.9%程度であり、世界の債券の4分の一がマイナス利回りになる環境にあって、インカムの獲得機会も提供します2

中国経済の成長鈍化とそのアジアへの影響に関する悲観的な報道がある中でも、足元のアジアクレジット債市場のパフォーマンスは非常に強く、一様に悲観的な見方は、中国、インド、インドネシアという当該地域内の各々の市場の個別性に対する理解の低さも一因であると考えられます。しかし、米中貿易戦争に関するメディア報道は活発さを増しており、まるで外部圧力に対するアジア金融市場の耐久性を試すかのようです。

これらから、当市場が根拠の薄い認識によって過度にリスクが意識されているともいえるでしょう。

投資家は市場の発展を注意深く観察する必要がありますが、同時にアジアクレジット債がポートフォリオに組み入れられた場合のメリットについても客観的に検証すべきです。当資産クラスを詳細に分析すると、パフォーマンスの下落リスクを抑制する多くの要素を持つことが分かります。
 

拡大を続ける資産クラス

アジアクレジット債市場は過去10年に4倍以上に成長し、2019年6月時点で9,800億米ドルの市場規模となりました。アジア企業は成長の為の資金をキャピタル・マーケットからより積極的に調達するようになっています。2014年以来毎年、エマージング債市場の新規発行の半分以上はアジア地域の発行が占めてきました3

JPモルガン・アジアクレジット・インデックス・ダイバーシファイドは米国ドル建て債のみで構成されるベンチマークで、アジア地域(日本を除く)に広く分散した配分を行い、単一国へのリスク集中を低減しています。当インデックスは、香港やシンガポールといった先進国から、エマージング市場やフロンティア市場の銘柄も対象としています。全体としては、このベンチマークは投資適格級のプロファイルを持っており、77%の債券が投資適格で、平均格付は2019年7月31日時点でBBB+です。
 

アジアクレジット債への構造的な需要

債券の需要に関しては、アジアクレジット債の相対的に魅力的なバリュエーションと高水準の利回りという足元の環境を鑑み、新規発行債への需要に楽観的な見通しを持っています。更に、アジア地域の高水準の貯蓄率が、当地域のインカム型の投資需要を構造的に支えており、アジア地域の企業は域外資本への依存度を低下させることができます。現在、アジア社債の88%がアジア地域の投資家により保有されており、エマージング市場において外国人投資家が大きなシェアを占める状況とは異なります4

2010年以降、アジアクレジット債市場は毎年平均15%拡大し、市場が縮小する米国ハイイールド債市場やエマージング・ソブリン債市場とは対象的です5。我々は、より多くのアジア企業が足元の低金利環境を生かし、流動性の良好な当市場で資金調達を行うと考えており、市場は更に拡大するものと予想します。足元では、アジア地域(日本を除く)の上場企業の50社に1社未満しか外貨建て社債を発行しておりません6

中国企業のドル建て債の発行は減少する可能性がありますが、2018年に中国政府が負債削減推進を若干弱めて景気刺激策を実施した為、中国の国内債市場の流動性は改善しています。2019年は、複数の中国の不動産開発業者が外貨建てアジアクレジット債市場で積極的に発行を行ない、負債の満期を長期化させています。これはアジアクレジット債市場のリスクプロファイルの安定性を高めます。


 

堅調なマクロ・ファンダメンタルズ

アジア地域(日本を除く)の力強い経済成長は、域内の企業にとって追い風であり、国内や海外の新しい商圏への投資を後押しします。

たった10年の間に、中国の経済規模は2倍を超え、日本を抜き世界第2位の経済規模となりました。アジア地域全体では世界経済の27%を占め、2000年の10%から大きく増加しました。力強い経済成長はアジア各国の所得を増加させ、2020年までにアジア地域の一人当たりの収入は6千米ドルを超えると予想されています。富の増加は世界の5人に2人はアジア人という巨大な人口にも支えられています。また、インド、インドネシア、バングラデシュ、フィリピンなどのように若い世代の人口が多いことも特徴的です7

我々は、当地域の政策担当者たちが、輸出に依存した成長を減少させ、開かれた競争力のある信頼ある金融市場を確立するなど、継続的な発展を続けるために必要な施策を実行するものと信じています。アジア金融危機後、ほとんどの国で約束された、外貨準備金の増加とインフレ率の抑制にも良好な兆しが見られます。信用格付けは上昇傾向にあり、域内の主要国において顕著な改善がみられます。

アジア企業は近年ファンダメンタルズを改善させています。広範囲なエマージング市場との比較では、アジア・ハイイールド社債の発行体のデフォルト率は2002年から継続的に低い傾向があります8。さらに、アジア企業はレバレッジの改善を進めています。しかし、これによって収益率が落ちている訳ではなく、2020年の利益成長も2桁台が予想されています9。これらの指標は債券投資家に対して、アジア企業が負債の支払い能力を改善させながら成長も達成するという、ポジティブなシグナルを発しています。


 

アジアクレジット債の質の高い分散メリット

アジア企業のユニークな特徴は、特にコア債券市場に大きな配分を行っている投資家に対して、アジアクレジット債による分散メリットの提供に貢献しています。当資産クラスが今後更に規模とスケールを拡大するにつれて、その特徴はより恒久的なものになると考えています。また、アジアクレジット債市場はアジア株式市場(日本を除く)との相関が高いものの、リターンはより安定的であることから、経済発展・成長の著しい当該地域への投資を比較的低いリスクで提供することができます。

アジアクレジット債市場に高い利回りを求める投資家がいる一方、当市場では保守的なポジションを構築することも可能です。2018年、アジア投資適格社債市場は、米国投資適格社債市場よりも優れた、回復力の高いパフォーマンスを示しました。これによってアジアクレジット債市場は、エマージング社債やエマージング・ソブリン債のベンチマークを超えるパフォーマンスを示しました。このパフォーマンスの傾向は、過去10年において再三繰り返されており、世界でスプレッドが拡大する局面において、アジア投資適格社債は欧米の投資適格社債と似た保守的なパフォーマンスを示しています。アジア債のスプレッドがより拡大した時期もいくつかありますが、これらは2013年の「テーパー・タントラム」で世界中の投資家が金融市場から資金を引き上げたときなどです。市場は当地域のマクロ・ファンダメンタルズの改善を再認識し、下落は短期間で収束しています。

アジア・クレジットの良好なパフォーマンスは最近だけのことではありません。他の資産クラスに比べて魅力的なリスクとリターンの関係性は長期間に渡り示されています。また、アジア投資適格債市場は欧米投資適格債市場に比べてデュレーションが低い特徴がある為、より高い利回りをより短い満期の証券で達成していることになります。

投資家は足元の低金利環境において、イールドの獲得を目指しています。アジアクレジットは魅力的なリスクとリターンを提供すると共に、他の資産クラスに比べてイールドが高い特徴があります。最近では、米中貿易戦争がアジア地域経済の成長を妨げるのではないかという懸念により、アジアクレジット債のスプレッドのボラティリティが上昇しています。

この環境は戦術的な投資家にとっては、価格の混乱を利用する投資機会であり、より深く、広く成長するこの資産クラスの中で、確かな銘柄選択をすることによって達成されるでしょう。


 

図表 3:下落局面で保守的なパフォーマンス

我々の次の注目点

アジア地域の力強い経済成長とこれを支える金融環境はリスク資産とアジアクレジット債にとって追い風となると考える。増加する米中貿易戦争に関する不透明感は、短期的に市場に圧力をかけるだろう。

しかし、長期的には、当資産クラスの投資機会は継続的にその深さと広さにおいて発展するものと考える。確信ある銘柄選択を通じて市場価格のミスプライスを利用する戦術的な投資家にとって魅力的な市場である

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