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2019年7 月 / ポリシー・インサイト

ポリシー・インサイト(2019年7月) 世界の金利がボトムを目指して一斉に低下

債券利回りの急低下は債券投資家の切実な事情を反映

サマリー

  • 世界的に利下げ期待が高まり、グローバル国債市場では利回りが軒並み大きく低下している。
  • ECB(欧州中央銀行)が追加緩和に動けば、東欧諸国の債券に間接的な恩恵が及ぶ可能性がある。
  • 投資適格社債はバリュエーションが割高に見えるが、欧州の場合はさらなる量的緩和への期待が下支え要因となっている。
     

主要国の中央銀行が景気を刺激するため金融緩和に動きそうなことから、世界の金利はまるで先を競うかのようにボトムを目指して低下しています。グローバル債券運用チームは直近の会合で、これが債券市場に及ぼす影響について議論しました。

発端はFRB(米連邦準備理事会)による利上げ停止でしたが、今ではほぼすべての主要国中銀が景気の先行きを懸念する状況になっています。「債券市場ではこうしたハト派転換をきっかけに新たな潮流が始まり、ECBを含むいくつかの中銀は数ヶ月以内に金融政策を緩和すると予想されている」とグローバル債券運用チーム・メンバーのQuentin Fitzsimmons は語ります。

事実、すでに行動を起こしている国もあり、例えば、オーストラリアは2012年以来初めて2会合連続の利下げを行いました。「オーストラリアやチリなどは早めに行動する意欲を見せていたため、海外投資家がこれらの国の債券市場に殺到し、債券価格を大きく押し上げた。これらの国の債券はここまで大幅に上昇してきたため、利益を一部確定すべき時期かもしれない」(Fitzsimmons)。

中銀がより緩和的なスタンスを取るとの観測が強まり、グローバル債券市場ではこれを反映して価格が大きく上昇しています。米国のような国では複数の利下げがすでに織り込まれており、一部では市場の動きが極端すぎるかどうか議論されています。「米イールドカーブの短期部分には多くのことが織り込まれているが、それでもまだ投資妙味があり、デュレーションヘッジ・ベースで長期債と比べた場合は特にそうだ」(Fitzsimmons)。

ユーロ圏に目を向けると、今年10月31日に任期満了となるドラギ総裁率いるECBはこれまでサプライズを演出してきたことから、追加緩和観測が強まっています。「インフレがユーロ導入以来の最低水準付近に低迷しているため、ドラギ総裁は置き土産として9月に利下げを行う可能性がある。また、次の総裁も金融緩和をさらに拡大する可能性がある」(Fitzsimmons)。

 

 

実際、市場は利下げと追加的量的緩和の可能性を織り込みつつあり、ユーロ圏周縁国でもその影響でファンダメンタルズに関係なく金利が軒並み低下している。「市場は追加的量的緩和のポジティブかつテクニカルな側面だけに焦点を当てている。例えば、イタリアは現在、財政状況悪化が見過ごされている。 2020年度予算審議をきっかけに投資家の関心が再び同国のファンダメンタルズの悪さに集まり、その結果、イタリア国債は売られる可能性がある」 (Fitzsimmons)。

東欧の債券市場はECBによる追加緩和の間接的な恩恵を受けると予想されています。中でも、セルビアやルーマニアなどは中期的に金利低下余地が特に大きい国として注目されています。債券投資家の間で少しでも高い利回りを求める動きが強まっているため、 ECBが追加緩和に踏み切る場合、リトアニア、ラトビア、チェコなどのユーロ建て国債も堅調に推移する可能性があります。

社債市場も力強く上昇しており、2019年に入っては債券の中でもトップクラスのパフォーマンスを上げています。しかし、社債のパフォーマンスを主導しているのは、ファンダメンタルズの改善よりも投資家による利回り追求の動きです。このため、現在の経済状況を考えると、バリュエーションには割高感があります。例えば、景気や業績の悪化にもかかわらず、米投資適格社債の平均プレミアムは12ヶ月前の水準とほぼ同じです。中には、企業の信用格付けも低下しているケースもあります。

こうした状況では、社債の見通しについて悲観的に考えたくなりますが、現在の好ましい環境がもうしばらく続く可能性があり、欧州の場合は特にそうです。「市場がECBは新たな債券購入プログラムを発表すると引き続き考えるなら、欧州の社債はより割高な水準まで買われる可能性がある」とFitzsimmons は指摘します。

過去2、3年は金利がどこまで上がるか注目されていましたが、現在は一転して金利がどこまで下がるかに関心が集まっています。

 

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