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2019年9 月 / グローバル・アセット・アロケーションの視点と投資環境

グローバル・アセット・アロケーションの視点と投資環境(2019年8月)

1. 市場テーマ


EU離脱を巡る混乱がさらに拡大

10月31日の欧州連合(EU)離脱期限まで残すところ数週間となる中、英国のジョンソン首相が「合意なき離脱」の阻止を狙う野党の動きを封じるため英議会の閉会を決めたことから、家計と企業の景況感がともに急激に悪化しました。ジョンソン氏の賭けはEUに対して圧力をかけることが狙いでしたが、これを受けて英議会もすかさず「何が何でも10月離脱」 を目指す同氏の動きを封じる行動を起こしました。短期的に合意なき離脱の確率が大きく低下しましたが、賛成派と反対派のどちらも最大の争点である英国とアイルランドの国境管理問題についてEUとの溝を埋める方策はなさそうです。一方、こうした混乱が経済的な不透明感をさらに強めるのは確実で、現状では離脱の再延期や年内の総選挙の可能性があります。


米中の対立は目先和らぐも、溝は依然として深い
8月は米国が対中制裁第4弾の発動を発表し、これに対抗して中国が人民元安の容認や米農産物の購入停止に動くなど、貿易を巡る緊張が再び高まり、リスク資産は大荒れの展開となりました。しかし、9月1日から家電や履物など主要消費財に追加関税が課せられるにもかかわらず、月末にかけては貿易に関する双方の発言がトーンダウンし、金融市場はこれを好感して反発しました。米中の対話再開により希望が生まれましたが、報復関税の応酬により生じた両国の間の溝は依然として深く、目先的に実質的な合意が成立する可能性はむしろ遠のきました。一方、貿易戦争はすでに経済成長や設備投資を圧迫していますが、今後は個人消費にも悪影響が広がる可能性があります。
 

米消費は好調を持続しているが、今後は関税引き上げの悪影響も
製造業の弱さや景気の減速が続く中でも、米国GDPの3分の2以上を占める個人消費は好調を持続しており、2014年以来の高い伸びを示しています。消費者は堅調な賃金、労働需給の逼迫、低金利、低インフレの恩恵を受けています。これまでの追加関税分は米企業によりほぼ吸収されてきたため、物価は落ち着いています。しかし、9月と12月に実施される最近発表の追加関税は主に消費財が対象となるため、家計はもはや貿易戦争と無縁ではいられないかもしれません。企業が関税引き上げ分を消費者に転嫁し、需要が鈍化すれば、リセッション(景気後退)の確率が一気に高まる可能性があります。

各国・地域の経済環境

 

2. 各国・地域の経済環境

米国
  • FRBの金融緩和と物価安定
  • 健全な個人消費、好調な雇用、賃金の改善
  • 金利低下が住宅部門を下支え
  • 長期的優位性を有する革新的な企業(クラウド・コンピューティング、ネット通販など)の割合が他の国より多い
  • 貿易協議は米中が依然として対立
  • 大型減税効果の剥落に伴う成長鈍化
  • 目先の収益期待が低下
  • 設備投資の鈍化と景況感の悪化
  • 景気サイクル終盤の懸念: 労働需給の逼迫、賃金の上昇、利益率の頭打ち
  • 高水準の企業および政府債務
欧州
  • 金融政策が一段と緩和的になっている
  • 中国の景気対策の間接的な恩恵を受ける
  • 配当利回りが依然として高い
  • 財政刺激策の観測
  • 景気が引き続き下押し圧力を受けている
  • 地政学リスクが依然として高い(ブレグジット等)
  • 輸出は弱く、貿易問題や中国経済の行方に左右される
  • ECBの対応余地は限られる
  • 銀行セクターは厳しい状況が続いている
中国
  • 景気対策の効果はまだ見られない。最近のデータはまちまちだが、成長軌道の底入れを宣言するのは時期尚早
  • プライムレート(最優遇貸出金利)に関する最近の改革は金融システムの波及効果を改善する見通し。ある程度の金融緩和が予想されるが、2015年や世界金融危機の時ほど大幅な金融緩和は期待できない
  • 人民元安が景気を下支える見込み。人民元が1ドル=7元の大台を割り込み、次に注目される水準は予定される関税引き上げを相殺する7.5元
  • 企業収益が改善する一方、バリュエーションは引き続き魅力的
  • 米中貿易戦争の影響はまだ完全に顕在化しておらず、設備投資計画、サプライチェーン、貿易は特にその傾向が強い。企業が懸念を表明する一方、現在の事業前倒しの悪影響が表れるのは今年終盤と予想される
  • 米国に対する強硬な政治スタンスは中期的に国内に好ましくない結果を招く恐れがある
  • 貿易摩擦に伴う不透明感が市場心理を圧迫しているため、アジア資産の反発は限定的
日本
  • 景気失速により景気や企業業績に対する期待が大きく低下し、ポジティブ・サプライズが生じる可能性も
  • 公共投資や国内消費がまだ景気にプラス寄与する見通し
  • 日本株は割安感が強い。一方、自社株買いや自己資本利益率(ROE)を通じたガバナンス改善、スタートアップ企業の増加などは引き続き過小評価されている
  • 企業業績は世界経済の動向に非常に敏感で、世界経済は現在せいぜい潜在成長率を下回る水準で安定している程度
  • 日銀は超緩和政策を継続しているが、景気が突然悪化した場合の追加緩和の余地は小さい
  • 日本円はバリュエーションの安さ、不安定なリスク・センチメント、対米金利差縮小などから上昇する可能性が高い。109円を超える円高・ドル安は業績に対する懸念を高める
オーストラリア
  • 景気は底堅さを見せており、企業景況感、消費者信頼感は安定し、住宅関連の下振れリスクも後退してきた
  • 低インフレや世界的な金融緩和トレンドが続いているため、オーストラリア準備銀行(RBA)は緩和サイクルを続けることができる。財政刺激策も景気を下支える見通し
  • 豪ドルは過去に比べて割安な水準にあり、これが外需主導セクターを下支えしている
  • 低金利環境では高配当株に対する需要が高まる見通し
  • RBAや新政権に対する楽観的な見通しはすでに株価に織り込まれている
  • オーストラリア株は現地通貨ベースの年初来上昇率が他の先進国株を上回っており、一段の上値余地は限定的。一方、収益見通しは安定しており、ポジティブ・サプライズは期待しにくい
  • 豪ドルは魅力的なバリュエーションや対米金利差の縮小から反発する可能性がある
  • 世界経済が減速しているため、コモディティ価格は下落する見通し
新興国
  • インフレ沈静やFRBのハト派姿勢強化により新興国の中央銀行に金融を緩和できる柔軟性が生まれた
  • 中国の景気対策の恩恵を受ける
  • 株式のバリュエーションは先進国より魅力的
  • テクノロジー・セクターの重要性が高まり、コモディティ・サイクルの影響を受けにくくなった
  • 輸出主導の経済は貿易摩擦激化の悪影響を受けやすい
  • 新興国のGDP成長率予測は引き続き低下
  • トルコやアルゼンチンなどの主要新興国は不安定な状態が続く可能性がある
  • 中国経済の長期成長軌道には依然逆風が吹いている
  • 中国の景気対策はより慎重なもので、国内に重点

 

3. アセット・アロケーション・コミッティのポジショニング

 

アセット・アロケーション・コミッティのポジショニング

 

 

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201909-950918

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