T. Rowe Price

2019年7 月 / ASSET ALLOCATION VIEWPOINT

グローバル・アセット・アロケーションの視点と投資環境(2019年6月)

1. 市場テーマ

中央銀行に逆らうな ?

米中貿易戦争の長期化に伴う不透明感の企業マインドへの悪影響が一段と鮮明になり、世界の製造業データは経済成長の見通しに依然として疑問を投げかけています。6月のグローバル製造業PMI(購買担当者景気指数)が好不況を判断する節目の50を割り込み、2016年2月以来の低水準になるなど、今年前半は経済指標の悪化が続いています。PMIは総合指数や新規受注指数がすべての地域で低下しており、幅広い分野で弱さが見られます。このように世界の経済環境が悪化している兆しが継続的に見られますが、マーケットは「いざとなったら、中央銀行が何とかしてくれる」と信じているようです。これまでのところ、利下げに前向きな中央銀行首脳の発言が市場を支えていますが、実際にそれが必要になった時、中央銀行は経済トレンドを反転させるのに十分な対応を取れるでしょうか?

世界同時緩和

貿易面の不透明感が企業景況感や世界の設備投資に悪影響を及ぼし、マクロ的なリスクが依然下方に傾いているため、各国中央銀行による同時緩和の観測が広がっています。米連邦準備理事会(FRB)が早期利下げに前向きな姿勢に転じたのに続き、ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁の最近の発言を受けて「ユーロ圏でも追加緩和がある」との観測が強まったほか、オーストラリア準備銀行(RBA)は実際に利下げに踏み切りました。先進国中央銀行のハト派姿勢や、ドル高がピークアウトした兆しは、低インフレ下での利下げを援護射撃することになるので、これは新興国にとって朗報となる可能性があります。


米中休戦でも実質的な進展なし 
 


G20大阪サミットの際に開催された米中首脳会談に対する期待は高くありませんでしたが、両国間の緊張が数ヶ月高まった後だけに、米中の一時休戦はポジティブな展開です。しかし、それだけでこれから市場を支えるのに十分でしょうか? FRBやECBのハト派発言を背景にリスク資産はすでに年初から大幅に上昇しており、とりわけ米国株は上半期としては1997年以来の高い上昇率を記録しました。しかし、金や国債などの安全資産の最近の強さはやや気掛かりです。一時休戦により貿易戦争のエスカレートは回避されましたが、知的財産などの重大な問題は依然解決されていません。市場は米中休戦を素直に好感しましたが、貿易戦争が終わることを示す明確な兆しは見られません。
 

Global Asset Allocation Japanese three charts July 2019

 


2. 各国・地域の経済環境

 ポジティブ
ネガティブ
米国      
  • FRBのハト派姿勢と物価安定
  • 健全な個人消費、好調な雇用、賃金の改善
  • 金利低下を受け、住宅部門が持ち直し
  • 貿易戦争の激化一服
  • 長期的優位性を有する企業(クラウド・コンピューティング、ネット通販など)の割合が他の国より多い

  • 2020年の大統領選挙
  • 大型減税効果の剥落に伴う成長鈍化
  • 目先の収益期待が低下
  • 設備投資の鈍化と企業景況感の悪化
  • 景気サイクル終盤の懸念: 労働需給の逼迫、賃金の上昇、利益率の頭打ち
  • 高水準の企業および政府債務
欧州
  • 金融政策が引き続き非常に緩和的
  • 中国の景気対策の間接的な恩恵を受ける
  • 景気改善の兆しが見られる
  • 配当利回りが依然として高い
  • ユーロ圏経済は低迷
  • ECBの対応余地は限られる
  • 輸出は弱く、貿易問題や中国経済の行方に左右される
  • 銀行セクターは厳しい状況が続いている
  • 欧州議会選挙で欧州連合(EU)懐疑派が勢力を伸ばし、今後の議会運営が難しくなる
中国
  • 景気対策の効果はまだ見られない。最近のデータはまちまちだが、成長軌道の底入れを宣言するのは早すぎる
  • 金融政策は慎重な対応と言えるが、中小企業や銀行向けなど特定の問題を抱えている分野に対処するため、新たな予防的措置が講じられる可能性がある
  • 人民元安が目先的に景気を下支える見込みで、1ドル=7元の大台を切ると、特にその効果が大きい
  • 米中貿易交渉を巡る不透明感が大きなリスク。設備投資、サプライチェーン、貿易活動への影響は完全に評価するのが難しい
  • 米国に対する強硬な政治スタンスは中期的に好ましくない結果を招く恐れがある
  • 食品やコモディティ価格の上昇によるインフレ・リスクが一段の利回り上昇を招き、景気対策の効果を損ないかねない
日本
  • 景気失速により景気や企業業績に対する期待が大きく低下し、ポジティブ・サプライズが生じる可能性も
  • 最近のデータは成長鈍化が底入れした可能性を示唆
  • 日本株は割安感が強い。一方、自社株買いや自己資本利益率(ROE)を通じたガバナンス改善、スタートアップ企業の増加などは引き続き過小評価されている
  • 企業業績は世界経済の動向に非常に敏感で、世界経済は現在せいぜい潜在成長率を下回る水準で安定している程度
  • 日本は世界的な金融緩和トレンドから取り残されている。日銀は超緩和政策にコミットしているが、追加緩和の余地は小さい
  • 日本円はバリュエーションの安さ、不安定なリスク・センチメント、対米金利差縮小などから上昇する可能性が高い。109円を超える円高・ドル安は業績に対する懸念を高める
オーストラリア     
  • 景気は底堅さを見せており、企業景況感は安定し、住宅関連の下振れリスクも後退してきた
  • RBA は予想通り最初の利下げに踏み切った。インフレ非加速的失業率(NAIRU)にはっきり関心が集まっているため、さらなる利下げが予想される
  • 豪ドルは過去に比べて割安な水準にあり、これが外需主導セクターを下支えしている
  • 最近の堅調な株価は潜在成長率より低い経済成長と違和感があり、RBAや先の総選挙で勝利した政権に対する過度な期待を反映している可能性がある
  • 世界経済が減速し、特定分野の供給障害も着実に解消されているため、コモディティ価格は頭打ちになりそうだ
  • 豪ドルは対米金利差の縮小から目先反発することも考えられるが、中期的には弱含む可能性がある
新興国
  • インフレ沈静とFRBのハト派転換により新興国の中央銀行に金融を緩和できる柔軟性が生まれた
  • 中国の景気対策の恩恵を受ける
  • 株式のバリュエーションは先進国より魅力的
  • テクノロジー・セクターの重要性が高まり、コモディティ・サイクルの影響を受けにくくなった
  • 輸出主導の経済は貿易摩擦激化による悪影響を受けやすい
  • トルコ、アルゼンチン、ブラジルなどの主要新興国は不安定な状態が続く可能性がある
  • 中国経済の長期成長軌道は依然逆風
  • 中国の景気対策はより慎重なもので、国内に重点

 

3. アセット・アロケーション・コミッティのポジショニング

Global Asset Allocation Chart Japanese July 2019

 

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