2019年10 月 / インサイト

超過収益の持続可能な源泉を探す

真にグローバルなアプローチを採用し、徹底した深掘りのリサーチを行い、 高い確信を持つことが大切

サマリー

  • 潜在的なチャンスの大きい新興国などを含むあらゆる投資機会を追求することが超過収益の獲得に役立つ。
  • 世界各国、特に新興国は国ごとのファンダメンタルズ格差が大きいため、最も強力かつ持続性の高い収益力を持つクオリティ企業に焦点を当てることが極めて重要である。
  • 企業の経済的ポテンシャル、製品、サービスを見極め、魅力的な業界構造にも焦点を当てる。高い確信を持ち、バリュエーション的に大きなアップサイドを期待できる時に投資する。
     

2008年の世界金融危機以降、株式投資は驚くべき成果を挙げており、ボラティリティと収益機会ともに未曾有の水準にあります。私がポートフォリオ・マネジャーを務めるグローバル・グロース株式運用戦略の運用開始以降、資本市場では様々な出来事が起き、歴史的にも特筆すべき一時代を形成しています。当運用では銘柄選択とポートフォリオ構築に対する思慮深いアプローチを基本としており、この投資原則は近年の異常な環境によって試され、この間、我々はこうした不安定な環境を乗り切ることができました。

私がティー・ロウ・プライスで得られたリソースなしに、これは実現できなかったでしょう。当運用は幅広く一貫した成果を上げていることから、私は当社のグローバル・リサーチ・プラットフォームが真の優位性を提供してくれたと確信しています。独自のリサーチプラットフォームが我々が本質的にグローバルであることを可能にし、様々なセクターや地域にわたる分散を図ることができます。それはまたより掘り下げたリサーチを行い、新興国の優良企業などに投資することを可能にします。持続的かつ再現可能な超過収益の追求においてはこれが役に立ちます。我々は以下の理由からこれが長期にわたり持続可能であると考えています。
 

真にグローバルなアプローチ


グローバル株式ポートフォリオの運用担当者の多くはその配分を主に先進国に限定しているため、目の前にある投資機会群の全体像を見失いがちです。我々はインデックスの先にあるものを思い描く能力こそが、より広範かつ潜在的に大きなリターンを期待できる投資機会を捉える上で極めて重要であると考えています。私は新たな投資アイデアを求めて過去数年の間に60ヶ国近くを訪問しました。

その結果、グローバル・グロース株式運用戦略は29の異なる国に投資しており、うち14ヶ国は新興国です(2019年6月30日時点)。 投資機会の対象をできるだけ広げ、そしてティー・ロウ・プライスのリサーチ力を最大限に活用することにより、厳しいポートフォリオ組入条件を満たせる企業をもっと発掘できると考えています。


長期的な視点に立ち、深く掘り下げる


投資において「幅広い投網」を使うことには極めて大きなメリットがあります。新興国には先進国では得られない幅広い成長特性があることから、特定セクターのクオリティ企業は世界平均より格段に高い持続可能な利益成長を実現できると考えています。その最たる例が銀行であり、新興国の銀行のROE(自己資本利益率)は先進国の銀行のROEをはるかに上回っています(図表1)。

インド、フィリピン、インドネシア、ペルーなどの成長特性も大きな投資機会を提供します。インドは若年人口の多さ、1人当たりGDP(国内総生産)の伸び代の大きさ、労働力人口の凄まじい伸びの恩恵を受けており、高い経済成長が続いています。都市化の進展や中間層の成長もダイナミックな成長セクターと共に投資家に大きなポテンシャルを提供しています。モディ首相の再選がこうした動きに一層弾みをつける一方、インドの実質金利は4%強と世界有数の高さにあり、世界的に利下げが続けば、投資妙味がさらに高まると思われます。
 

グローバル株式の投資家が新興国に対して誤った考えを持っている点にも注目すべきです。新興国は国によって経済、政治、地理的に大きく異なるにもかかわらず、投資家はその資産クラスを画一的なものとみなしがちです。この結果、新興国の資本市場は全体的に先進国を上回る時期や下回る時期があり、熱狂と絶望の時期を交互に繰り返してきました。当運用では常に新興国に対して銘柄を厳選しながら比較的高めの配分を維持しており、我々の新興国への非伝統的な配分はMSCI エマージング市場(EM)インデックスとほとんど重複していません。当運用で保有する新興国株式のアクティブ・シェアは MSCI EMインデックス対比で82%です(2019年6月30日時点)。

当運用はまた多くの特化型エマージング株式ポートフォリオと比べ新興国へのエクスポージャーの補完という面で優位に立ちます。なぜなら、我々のポートフォリオにはエマージング市場よりもポテンシャルの大きいフロンティア市場が含まれることが多く、当運用は金融や消費関連などの分野における長期の趨勢的な成長機会に焦点を当てているため、特化型エマージング株式ポートフォリオよりセクター配分の分散度が低いからです。最近はこれが特に功を奏し、超過収益の大半がこうした分野からのものでした。

また、当運用のエマージング株式部分のパフォーマンスはMSCI EMインデックスとの連動性が高い多くの特化型エマージング株式戦略を上回っています。我々は同インデックスには企業のクオリティが低い分野が含まれていると考えており、そうした分野への配分を明確に避けています。クオリティの問題は、経営の拙さ、ガバナンスの欠如(環境、社会、企業統治慣行)、ポジティブな成長要因の欠如(創造的破壊に直面するセクター)など幅広いファクターに起因し、一部の国有企業はこうしたカテゴリーに該当します。

 

 

高い確信が極めて重要


超過収益の獲得には集中度の高いポートフォリオが必要という意見もありますが、我々は集中度の高さと確信度の高さは同じではないと考えています。当社の広範かつ充実したリサーチ体制により保有するすべての個別銘柄に対して行動可能な知見を持つことが可能になり、その結果、各銘柄が株価目標を達成する可能性について高い確信を持ちやすくなります。

しかし、その場合、銘柄厳選がカギとなります。ファンダメンタルズは世界各国、特に新興国の間では格差が大きいことから、当運用では最も強力かつ持続性の高い収益力を持つクオリティ企業に焦点を当てています。バリュエーションも運用プロセスの重要な部分です。我々は個別銘柄の株価について、絶対バリュエーションおよび過去の水準、市場、業界と比較した相対バリュエーションを考慮する一貫した規律を遵守しています。

強力なキャッシュフローと将来における持続的な収益を示しながらも、市場によって適切に評価されていない企業にも注目しています。市場シェアの拡大や参入障壁の高さを示す分野など持続可能な成長を期待できる「肥沃な」業界もこのカテゴリーに当てはまります。最終的には、リターンを左右する企業にとっての市場シェア拡大のメカニズムや源泉に対する理解が不可欠な要素です。

確信は投資テーマにも該当します。私が有望なテーマを特定する時、しばしばそのアイデアに沿った銘柄をいくつか保有します。例えば、特定の企業は新興国の中間層拡大というトレンドに乗じる可能性に着目して選ばれます。当運用では、新興国へのエクスポージャーを持つ多国籍企業に投資するのではなく、現地のニーズに応える製品やサービスを提供する新興国企業にはっきり照準を定めています。

間接的なエクスポージャーは直接的な新興国投資の完全な代替とはなり得ず、ポートフォリオ・マネジャーが意図するリスクやリターンのテーマを捉えることができない場合もあります。公益、一般消費財、金融、通信などの統合があまり進んでいない新興国のセクターでは、直接的な投資が素晴らしい成長ストーリーを捉える上で極めて重要です。

 

 

ボトムアップのファンダメンタルなアクティブ運用を結び付ける糸


我々はボトムアップのファンダメンタル・リサーチ主導のアクティブ運用こそが株式市場のアノマリーを発見し、それに乗じる最高の手段と考えています。当運用の投資哲学の中核を成す信条は、市場は長期的な収益力の持続性を過小評価するため、質の高いグロース株がしばしば過小評価される、というものです。人口動態的および趨勢的な成長要因が本質的に非常に長期的なものである新興国においては特にそうです。もう一つの基本的な信条は、銘柄固有の要因が長期的には株価を左右する最大の要因である、というものです。究極的には、我々は有力な業界において質の高い成長ビジネスを提供する企業に、バリュエーション面から大きなアップサイドを確信できる時に投資することを目指しています。それはアクティブ運用の核心に迫るもので、難しい選択を行い、体系的に正しい判断を長期にわたり行うことが求められます。そのカギは、コスト削減や業績下振れ回避の圧力が強まる時に、持続可能な超過収益(報酬控除後)の源泉を見つけることです。我々は、主として自らが長期的に得意とすること、すなわち市場に認識および適切に評価されていないキャッシュフローや持続可能な収益力に関する知見を活用して銘柄を発掘し、最高クラスの収益機会を捉えることを目指します。
 


 

 

 

 

 

 

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