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2019年6 月 / インサイト

イールドカーブのフラット化が進んでも米景気後退の可能性は低い

重要シグナルは早期のリセッションではなく、最長景気の拡大継続を示唆

サマリー

  • 米国債イールドカーブはフラット化(長短金利差の縮小)が進んでいるが、目先的なリセッション(景気後退)のリスクは大きくは高まっていない。
  • これまで長短金利差の縮小は、大抵、短期金利の上昇が主因だったが、今回は過去のフラット化局面ほど金融は引き締められていない。また、循環的な指標からも、経済の脆弱性が蓄積されている兆しは見られない。
  • 最後に、現在はターム・プレミアム(期間に応じた上乗せ利回り)が非常に低いため、イールドカーブのフラット化もしくは逆イールド(長短金利逆転)が米国史上最も起きやすい環境にある。

米国債イールドカーブはフラット化が進んでいますが、目先的なリセッションのリスクは大きくは高まっていません。フラット化はリセッションの前兆と広く認識されおり、過去7回のリセッションはいずれもその前にフラット化が起きています。しかし、現在のフラット化は短期的な景気後退のリスクを強く示唆するものではないと考えています。

そう考えるのは、フラット化の経済的な意味合いは、①カーブ形状の変化の要因と、② 循環的不均衡の台頭によりショックに対する経済の脆弱性が高まる度合いの2つによって決まるからです。どちらの点からも、現在のフラット化が示唆する12ヶ月以内のリセッションの確率は比較的低いと判断しています。

フラット化しても、金融は従来ほど引き締められていない


これまでのフラット化局面は金利がすべての年限で上昇するのが特徴で、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策を反映する短期金利が長期金利よりも上昇しました(図表1)。これは2つのルートを通じて景気を圧迫します。まず、借入金利の上昇が資金需要の減退を招き、次に、長短金利差の縮小が短期で借り長期で貸す金融機関の収益性を圧迫し、ひいては資金供給の減少につながります。

 

Short-term rates usually rise more than long-term rates before an inversion.

 

イールドカーブ短期部分の金利上昇を促すため、 FRBはこれまでインフレ調整後の実質FFレートが潜在GDPの実質成長率を上回る水準まで金融を引き締めてきました。ところが、実質FFレートは今年4月時点でまだ潜在成長率より130ベーシスポイント(bps)低い水準にあります。完全雇用と2%のインフレの持続と整合的な「中立」政策金利の現在の水準については様々な意見がありますが、足元の政策金利は過去に景気後退を招いた水準を大きく下回っているため、FRBの政策スタンスが「引き締め寄り」である可能性は低いと思われます。

最近の政策金利引き上げサイクルではFRBのバランスシート縮小が同時に行われており、政策緩和の累積的削減について評価する場合、この点を考慮する必要があります。しかし、FRBのバランスシート調整の影響は全体的には小さいと思われます。FRB関係者による2015年の試算では、中央銀行のバランスシートを使った景気刺激策の10年ターム・プレミアムへの累積的効果は約 -110bps1 と推計されます(国債利回りは、①短期国債金利の将来の軌道の市場予想を表す「リスクフリー・レート」と、②短期金利が予想通り動かないリスクを取ることの見返りに投資家が要求する「国債ターム・プレミアム」に分解できます2)。

FRBは2017年9月から保有資産を合計5,720億ドル減らしましたが、10年ターム・プレミアムへの影響は15bpsと推定され3、これはおそらく 0.25% の追加利上げに相当します。この推計が正しければ、バランスシート調整後の政策スタンスは、米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者による中立金利予想の中央値に近いことになります。

現在のサイクルはイールドカーブ長期部分の動きが特徴的で、10年国債利回りがFRBの利上げ開始以降に大きく低下し、ターム・プレミアムの低下がリスク中立金利の上昇より大きい点で従来のパターンとは異なります(図表2)。この背景には、インフレの低位安定見通し、長期インフレ見通しに関する意見の乖離が小さいこと、ユーロ圏と日本における量的緩和などの要因があります。

 

The 10-year Treasury yield has fallen since the Fed began raising rates. As of December 31, 2018

実際、認識される長期金利リスクがこのように低下した結果、米国債イールドカーブのターム・プレミアム部分が逆転しました。これは52年前に遡る過去7回のリセッションに該当するアノマリー(合理的に説明できないが、経験則的に起こりやすい特異な事象)です。同じくらい特異なのは、ターム・プレミアムが逆転しても、リスク中立利回りスプレッドがなおプラスである点です。将来の金利の予想軌道はイールドカーブ全体の傾斜が示唆するほど債券にとって強気ではなく、カーブのこの部分はリセッションのシグナルを強めるために逆転せざるを得なかったのかもしれません(図表3)。
 

The expected path of future interest rates is not as bullish as the overall yield curve may suggest. As of June 14, 2019

 

より広範な循環的視点からの考察


フラットなイールドカーブは金融緩和の解除を反映するという意味で、それは丸10年に及ぶ米景気拡大の実年齢ではなく、実質的な年齢を表してます。従って、過去最長に肩を並べる景気拡大がさらに続く場合は、今年2月から始まった雇用の伸びの漸減傾向から勢いの鈍化がすぐに確認できる可能性があります。


これは必ずしも悪いことではないでしょう。もし米経済が完全雇用状態で「ソフト・ランディング」を達成し、その長期ポテンシャルと整合的な成長を持続するのであれば、雇用の伸びは生産年齢人口の伸びに見合うペースまで鈍化せざるを得ないでしょう。ただ、そうした絵に描いたような理想的展開が起きたことはこれまでありません。なぜなら、その前に不均衡が常に積み重なり、突然の需要減少に対する経済の脆弱性が高まるからです。例えば、1980年代は賃金と物価の連鎖的上昇、1990年代と2000年代は負債による資産バブルと投資ブームの崩壊により景気拡大に終止符が打たれました。

現在、賃金と物価の伸びはサイクル終盤でのFRBの対応(引き締め)が必要になる水準を大きく下回っています。実際、たとえ労働市場が完全雇用をオーバーシュートしても、FRBは予想インフレ率や実際のインフレ率を押し上げるための方策を検討しています。景気拡大に終止符を打つような実体経済や金融セクターの不均衡にも対処できると思います。企業利益率は拡大が止まりましたが、まだ高水準にあります。家計や企業の債務返済負担は低く、民間セクターの財務バランスは健全です。貯蓄が投資を一貫して上回っていることが困難な状況に対するクッションの役割を果たすと思われます。これは、貯蓄減少がイールドカーブのフラット化時に経済の循環的な脆弱性を増幅した従来のパターンとは異なります。

全体的に見て、最近のイールドカーブのフラット化がリセッションを示唆している可能性は従来より低いと思われる理由はたくさんあります。まず、これまで長短金利差の縮小はたいてい短期金利の上昇が主因でしたが、今回は過去のフラット化局面ほど金融は引き締められていません。また、循環的な指標にも、経済の脆弱性が積み重なっている兆しは見られません。最後に、インフレ鎮静見通しや日欧の量的緩和などが原因で、現在はターム・プレミアムが非常に低く、イールドカーブのフラット化もしくは逆イールドが米国史上最も起きやすい環境にあります。以上の点から、我々は現在のイールドカーブのフラット化/逆イールドについて差し迫ったリセッションのシグナルとしての信頼性は従来ほど高くないと考えています。

 

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