T. Rowe Price

2019年4 月 / Investment Insights

米国株式市場の 「静かな実力銘柄」を探せ

米国株式市場の「静かな実力銘柄」を探せ ポートフォリオの長期パフォーマンスを支える大黒柱グロース・コンパウンダー

主なポイント

  • 投資家は2ケタの利益成長を一貫して達成する企業の能力を過大評価しがちである。
  • 現実には、あらゆる市場環境において前年比でこれを達成する企業--我々はこれを「パワー・グロース・コンパウンダー(安定的に2ケタ成長を持続する銘柄)」と呼ぶ--の数は予想されるよりはるかに少ない。
  • グロース投資家にとって、1年で利益を50%も伸ばせるダイナミックな企業は刺激的かもしれないが、ポートフォリオの長期パフォーマンスを支える大黒柱は、2ケタ成長を地道に積み重ねるグロース・コンパウンダーである。

米国株式市場は大変効率的で、世界最大かつ最も流動性の高い市場です。しかし、これほど効率的な市場でも投資家が2ケタの利益成長を一貫して達成する企業の能力を過大評価しがちであることを歴史は示しています。あらゆる市場環境において前年比で実際にこれを達成する企業の数は、予想よりはるかに少ないのが現実です。従って、このレベルの成長を本当に達成できる企業を発掘できれば、極めて大きなリターンを期待できることになります。我々は、このように2ケタ成長を地道に積み重ねる「静かな実力銘柄」を「パワー・グロース・コンパウンダー」と呼びます。

2ケタの利益成長を長期にわたり一貫して積み重ねることのできる企業の重要性を過小評価することはできない

- Taymour Tamaddon

ダイナミック・グロースとパワー・グロースの違い

大半のグロース志向の投資家にとって、その興奮や功績は利益を1年で40-50%かそれ以上伸ばすダイナミック・グロース銘柄が中心になりがちです。このような銘柄は非常に大きな利益を得られる可能性があるため、グロース投資家と呼ばれる者はこぞってダイナミック・グロース銘柄の発掘に力を注ぎます。しかし、ほとんどの企業にとってこれほど圧倒的な利益成長を長年持続することが至難の業であることも事実です。このため、ダイナミック・グロース銘柄は、当初の急成長局面に陰りが見え始めると、ボラティリティや値動きが市場平均より高くなる傾向があります。

これに対し、パワー・グロース銘柄は、2ケタの利益成長を長期にわたり一貫して記録する可能性を秘めた企業です。こうした銘柄は市場のどの分野にも存在しますが、質の高いグロース・コンパウンダーには、強力なフランチャイズ、業界の高い参入障壁、優れたキャッシュフロー創出力、低い資本集約度、過度な債務を抱えていないなど、共通した特徴がいくつかあります。

質の高いグロース・コンパウンダーには、強力なフランチャイ ズ、業界の高い参入障壁、優れたキャッシュフロー創出力、低い資本集約度、過度な債務を抱えていないなど、共通した特徴がいくつかある

- Taymour Tamaddon

パワー・グロース・コンパウンダーの特徴

このような銘柄は市場のどの分野にも存在し、2ケタの利益成長を長期にわたり一貫して積み重ねるポテンシャルを有する

 

出所: ティー・ロウ・プライス

重要なのは、これらの企業は短期の成長が特別高くないため、他のグロース投資家のレーダーではしばしば捉えられないことです。これらはダイナミック・グロース銘柄の一般的な特徴とは合致しません。派手さこそないものの2ケタ成長を積み重ねる高クオリティ銘柄にはもっと退屈に見えるものもあるかもしれません。しかし、こうした銘柄は長期見通しが極めて大切です。5年-10年のスパンで見ると、静かに成長を積み重ねるグロース・コンパウンダーはまさに長期パフォーマンスの寄与度上位の常連です。しかも、これらの銘柄は長期にわたりパフォーマンスの一貫性が高く、ボラティリティが低いため、ポートフォリオの長期リターンの安定性を高める効果もあります。

「静かな実力銘柄」の特徴

私がポートフォリオ・マネジャーを務める当社の米国大型グロース株式運用戦略では、ヘルスケア・セクターにおいて病院など医療施設を運営する企業を保有しています。我々が同社に投資してから2年半の間、この銘柄はすべての四半期においてベンチマークをアウトパフォームしました。特筆すべきは、同銘柄がこの間一度も四半期ベースで寄与度上位に入ったことがないことです。それでも、株価は2年半の全期間では60%以上も上昇しています。

当運用が保有する質の高いグロース・コンパウンダーの例としては、他にも公益セクターの2銘柄があります。同セクターはディフェンシブかつ低成長の投資スタイルと馴染み深いため、グロース志向の運用戦略としてはこれは特に異例の選択です。ここで極めて重要な役割を果たすのが当社のグローバル・リサーチ・プラットフォームです。銘柄選択は主として、各セクターの専門家であるアナリストのリサーチに基づいて行われます。彼らは、広範な市場ではしばしば見過ごされたり過小評価される知見や独自の見解を提供します。

当運用が公益セクターで保有する銘柄の一つが水道事業会社で、利益成長は年率9%前後で、配当利回りは3%です。投資テーマはシンプルです。米国では地方自治体が全国的に水道インフラを補修・修繕する必要に迫られています。米国の水道インフラは新規もしくは改修投資がほとんど行われず、過去数十年にわたりメンテナンスが不十分でした。ミシガン州フリント市に焦点を当てた最近のドキュメンタリー映画によってこの問題が一躍注目されるようになり、早急な対応が必要なことが浮き彫りになりました。2014年、フリント川からの水について基準を満たさない処理がされた結果、老朽化した水道管から漏れた鉛が市の水道施設に流れ込み、10万人以上のフリント市民が危険レベルの鉛に晒されました。

我々が保有する水道事業会社は、米国地方自治体の水道インフラを補修・修繕する喫緊の課題の最前線にあります。これには手っ取り早い解決策はなく、米国の水道システムをアップグレードするには1兆ドルの巨額の資金と40年もの時間が必要と推計されます。従って、同社はこの壮大な水道システム更新・近代化計画の恩恵を最も受ける立場にあり、よって利益と資本を長年にわたり一貫して伸ばすことができると思われます。

図表1: 米国のLNG生産ブームにより関連インフラ需要が急増
米国LNG輸出の急増により新たなインフラに対する膨大な需要が生まれている2018年12月31日時点 

 

出所: 米国エネルギー情報局

当運用が保有するもう一つの公益企業はエネルギー会社です。水圧破砕法によって膨大なシェール埋蔵量の扉が開かれ、米国はエネルギーの純輸入国から純輸出国へと変貌を遂げました。同社はそれに伴う液化天然ガス(LNG)生産ブームの恩恵を直接受けます。

しかし、計画に何年も費やしたにもかかわらず、新LNGターミナルの試運転は遅れています。天然ガス処理設備ブームの結果、加工設備を含む新たなインフラや、LNG輸出ターミナル、LNG輸送用の新たな鉄道網に対する膨大な需要が生まれました。実際、こうした供給と需要両方のスケールは、長期にわたり巨額の設備投資が必要であることを意味しています。

図表1には、新たなLNG関連インフラに対する需要が急激に増えた経過を示しました。2018年は米国の液化ターミナルから1兆立方フィート以上のLNGが 輸出され、2016年の水準から500%近くも増加しました。1

我々が保有するエネルギー会社は、LNGターミナル・インフラの提供者として、このLNG生産ブームの恩恵を直接受けます。

すべてのグロース投資家は、年50%の利益成長の可能性を秘めた革新的で破壊的影響力を持つダイナミックな企業の発掘を目指します。こうした銘柄はエキサイティングで、短期パフォーマンスに大きく寄与します。しかし、2ケタの利益成長を長期にわたり一貫して積み重ねることができる企業の重要性を過小評価することはできません。これらの銘柄は短期的には注目度は高くないかもしれませんが、ポートフォリオの長期パフォーマンスを支える大黒柱となる傾向があります。このような銘柄は、株主の富を持続的に増やす効果があるだけでなく、多くのグロース投資家が見過ごしがちなダウンサイドを抑制する効果もあります。このため、こうした「静かな実力銘柄」はもっと注目する価値があると思います。

1 出所: 米国エネルギー情報局、2018年12月31日時点

201904-805156

上記の銘柄は実際に購入、売却、推奨されたものとは限らず、過去に利益をもたらしたか、将来的にもたらすと想定すべきではありません。

主なリスク - 本資料で紹介する運用戦略に大きく関連するリスクは以下の通りです。

外貨建て証券の取引は為替レートの変動による影響を受けます。当運用戦略は株式取引特有のボラティリティの影響を受け、投資金額は債券志向の証券に投資する戦略より変動が激しくなる可能性があります。

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当社の運用戦略では時価資産残高に対し、一定の金額までを区切りとして最高1.242%(消費税8%込み)の逓減的報酬料率を適用いたします。また、運用報酬の他に、組入有価証券の売買委託手数料等の費用も発生しますが、運用内容等によって変動しますので、事前に上限額または合計額を表示できません。詳しくは契約締結前交付書面をご覧ください。

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