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2019年6 月 / インサイト

新元号は日本をリセットする転機に

再び前向きな評価が期待される令和時代の日本株

サマリー

  • 新元号「令和」が始まり、日本は歓迎ムードに包まれている。これは低迷の30年だった平成時代と決別し、日本がリセットされる象徴的な転機になると思われる。
  • 日本では過去10年で株式市場の構造改革が進み、これに伴い企業の収益力が改善し、投資家にとってリターンが高まっている。
  • しかしながら、日本株は依然としてバリュエーションが割安な状態にある。これは、日本の長期的なポテンシャルにアクセスする上で魅力的な参入ポイントを提供することになるだろう。

2019年5月1日、皇太子徳仁親王が天皇に即位し、日本の元号は令和に変わりました。改元の経済、市場、政治への直接的な影響は小さいでしょうが、「美しい調和」を意味する令和への改元の心理的な重要性は大きいと思います。それは低迷の30年だった平成時代と決別し、日本が白紙の状態にリセットされる象徴的な転機となるでしょう。経済や市場のポジティブな 変化が既に起きている日本には、自身やその世界における役割を世界に再認識させるポテンシャルがあります。

政策不在の歴史を克服

日本では政策当局がなかなか成長重視の政策を採りませんでしたが、安倍晋三総裁率いる自由民主党は、政策不在の長年の伝統を打破し、次々と改革を打ち出しました。その中でも、様々な分野における経済の構造的問題に対処するため、以下のような前向きな取り組みが行われました。

 


ガバナンス改善が利益成長を後押し

こうした改革について当初は懐疑的な見方が支配的でしたが、近年はビジネス慣行やガバナンス基準を転換する企業が増えています。これが企業の利益成長を支え、株主利益の改善をもたらしています。日本企業による自社株買いが増えているほか、M&Aも注目を集めています。

株式市場は現在、企業利益の力強い成長に支えられています。実際、企業利益の総額は過去10年で大幅に伸びており、日本株は低リターンの歴史から脱し、日本企業の収益力はグローバルな水準に近づいています。

 

日本株(TOPIX)のPERは現在12.9倍と長期平均の14倍* を下回っている

日本企業の質は、ガバナンス基準と株主還元の両方において引き続き急激に改善しており、欧米株式市場とのギャップが縮まっています。例えば、企業の自己資本利益率(ROE)は過去5年で2倍近く増えています。日本企業はより効率的に資本を配分するようになり、配当や自社株買いを増やしており(図表1)、こうしたリターンの改善がより多くの投資を海外から引き寄せています。

 


グローバルな成長環境はなお下支え要因

日本独自の市場要因と世界経済の状況が依然として日本株を支える主な要因です。世界経済の緩やかな成長が今後も日本企業の業績をサポートする見込みです。 しかし、米中2大経済大国間の貿易戦争の激化が主なリスクです。理想的なシナリオは貿易戦争に対する懸念が後退し、制裁が解除されることです。ただ、私がポートフォリオ・マネジャーを務める日本株式運用戦略では投資先企業の質を重視しているため、貿易を巡る状況が悪化しても、ダウンサイド・リスクはある程度抑えられると考えています。

今後は、株式リターンの分散拡大が主な特徴になりそうです。市場がマクロ環境の微妙な変化を消化し、何らかのサプライズや期待外れの出来事に反応する中、この点について適切に対応する必要があると思います。我々は、経済的な混乱を乗り切れる丈夫でファンダメンタルズが改善している企業に投資することが日本株に対する有効なアプローチであると引き続き考えています。
 

根本的な構造的変化が進行中

過去10年の日本の構造改革の範囲は、再び明るさが見える市場の見通しにとって極めて重要です。企業レベルでは、ガバナンス基準の改善や株主還元の重視が根本的な変化をもたらしています。ここでの目的は、より強固かつ世界的に競争力の強いビジネス環境を作ることです。実際、海外からの投資は1990年の全体の5%から30%強に増えています。海外投資家にとって日本企業の主な魅力は以下の通りです。

  • 記録的な利益総額—日本企業の利益は大半の先進国市場を上回っている。
  • 力強いキャッシュフロー—経営陣はキャッシュフローをより効率的に使っている。
  • 設備投資—設備投資が増えており、長年の投資不足のトレンドが反転している。
  • 株主還元—増配や自社株買いなどの株主還元を強化する企業が増えている。


グローバルな環境を大局的に見る

一方、日本経済がかつてのように輸出に大きく依存しているかは議論の余地があります。ここ数年は個人消費など内需改善が経済成長の牽引役として重要性を増しています。こうした経済体質の変化は、日本は一般的に思われているほど世界的な貿易戦争の脅威に対して脆弱ではなく、一部の他の市場より脆弱ではない可能性すらあることを意味します。より多くの投資家がこうしたマクロ動向を大局的な観点から眺め、多くの過小評価されたクオリティ企業を見直すにつれ、日本株への資金流入やポジティブな再評価が起きる可能性があると考えています。

消費税引き上げは対処可能

2019年10月1日に予定されている消費税率の8%から10%への引き上げが国内消費に悪影響を及ぼし、日本経済の復活を損ないかねないとの懸念が強まっています。確かに、消費税が5%から8%へ引き上げられた2014年は消費者心理が悪化し、緩やかな景気後退に陥りました。

増大する社会保障支出の財源を確保するため、増税は必要だと思います。しかし、こうした懸念にもかかわらず、消費者心理や個人消費への影響は前回消費税が引き上げられた2014年ほど大きくないと思われる理由がいくつかあります。まず、10月の引き上げ幅が2%と2014年の3%より小さい点です。また、政府は増税の影響を和らげるため、低所得世帯向けプレミアム付商品券や基本的食品に対する8%の軽減税率などを盛り込んだ総額2兆円の景気対策を打ち出しました。

日本のポテンシャルにアクセスする有望な参入ポイント

2019年後半の日本株市場については国内経済の安定と世界経済のプラス成長が下支えになると考えています。市場レベルでは、ガバナンス基準の改善などの構造改革と増益傾向が引き続き日本株のリターンを支える見通しです。当運用では、電子決済へのシフトや人手不足など日本で起きているファンダメンタルな変化の恩恵を直接受ける質の高い企業を引き続き投資対象としています。最後に、バリュエーションの観点から、日本株は依然として他の地域に比べて割安な水準にあります。

今後の注目点

日本企業が株主還元を強化するトレンドが強まっており、これは日本企業が資本配分の効果やそれをいかに効率的に使うかを学びつつあることを示唆しています。しかし、貿易戦争を巡る不透明感が強い中、国内経済や世界経済が鈍化すれば、かつてのように株主に優しくない保守的な姿勢にすぐ戻るとの懐疑的な見方があるのも事実です。我々はこの兆候があるかどうか引き続き注視していますが、まだその兆しは見られません。

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当社の運用戦略では時価資産残高に対し、一定の金額までを区切りとして最高1.242%(消費税8%込み、10%への変更後は1.265%)の逓減的報酬料率を適用いたします。また、運用報酬の他に、組入有価証券の売買委託手数料等の費用も発生しますが、運用内容等によって変動しますので、事前に上限額または合計額を表示できません。詳しくは契約締結前交付書面をご覧ください。

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