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グローバル株式:不安や不透明感が強い時こそ有望銘柄組み入れのチャンス

デイビッド・アイズワート , グローバル・フォーカス・グロース株式運用戦略ポートフォリオ・マネジャー

昨年は株式について強気の見方が支配的でしたが、今年は過去最長 に迫る米強気相場の持続性が心配されるようになり、グローバル株式 市場には依然として不安や不透明感が満ちています。その背景には、 インフレ懸念や、金融緩和終了、貿易戦争などへの警戒感があります。

 

インフレは心配すべきか?

昨年はインフレが予想に反して異例の落ち着きを見せたため、中央銀 行は金融緩和を継続できました。その結果、ボラティリティが低下し、株 式市場は久しぶりに大いに活気付きました。しかし、今年はインフレへ の警戒感から株高が終わるとの見方が台頭しています。実際、賃金、 物価、政治情勢がインフレと金利を押し上げ、最終的に株式の上昇サイ クルに終止符が打たれるとの声が強まっています。

 

インフレは投資家心理や市場ファンダメンタルズにとって重要なため、 当社はその度合いだけでなく、原因についても細かく分析しています。 インフレは久々に循環的な上昇局面にあります(図表1)が、趨勢的な 要因について議論することも極めて重要だと考えています。実際には、 今日存在する趨勢的要因の多くは、エコノミストが使いたがる伝統的な 経済学の範疇には収まらないからです。

 

図表 1: 各国のインフレ動向

2018年7月31日時点

出所: IMF 世界経済見通し、ファクトセット・リサーチ・システムズ

 

経済学の教科書では、失業率と賃金の関係を示す「フィリップス曲線」がよく使われます。失業率が低い ほど賃金の伸びが高くなる両者のトレードオフ関係は 景気循環の観点から依然重要ですが、その一方で、物価の押し上げと押し下げの両方において影響力を増している非常に強い構造的な力が働いています。

 

これをボクシングに例えると、次のような状況です。赤コーナーには、テクノロジー(Amazon、Spotifyの小 売りや音楽の価格への影響、オートメーションやロボットの導入と製造業の雇用や賃金へのその影響)、

 

人口動態、グローバル化に起因する「構造的なディス インフレ圧力」がどっしり構えています。製造業からの シフト(米国で最も顕著)や、コモディティ消費からのシフト(中国で最も顕著)も、インフレ期待の低下要因としてセコンドを務めています。

 

一方、青コーナーには、「米景気の循環的な回復」と一見超インフレ的な「景気刺激策」が陣取っています。 大型減税、原油高、米中貿易戦争などは物価の押し 上げ要因です。当社は本格的な貿易戦争に発展する リスクは低いと引き続き考えていますが、それは世界 経済に「悪い」インフレをもたらす恐れもあることから、 一応警戒すべきリスクとして注視しています。

 

米国は賃金が上昇し、失業率は低い状況ですが、物 価全般の上振れはないと思います。当社はインフレが やがてピークアウトし、安定と着実な成長をもたらすゴ ルディロックス(適温)環境が基本的に続くと考えてい ます。ただ、昨年のようなポジティブ・サプライズは期待 しにくく、ボラティリティも高まるなど、状況は多少悪化 するでしょう。しかし、それでも株式投資家に好ましい 環境であり、特に、グロース株の投資家にとって、不透 明感とボラティリティは投資機会を捉えるためのアク ティブかつ機敏な行動を可能にします(図表2)。

 

図表2: デフレ圧力が強い環境で投資家は何をすべきか?

 


出所: ティー・ロウ・プライス

 

トランプ大統領と貿易戦争

トランプ大統領の過激な発言に振り回され、政治情 勢の先行きは予断を許さず、経済格差が拡大(過去 10年の非常に低い賃金の伸びが主因)しています。 ただ、貿易戦争は誰の得にもならないため、本格的 な貿易戦争のリスクは低いと引き続き考えています。

 

これまでのところ米国、中国とも輸入関税をどう構築 すべきか良く心得ている様子です。このため、双方が 表面的には過激な言葉の応酬を繰り広げていますが、 水面下では互いの意図を察しながら、落としどころを 探っていると思われます。従って、トランプ大統領は北 朝鮮と対峙した時と同様、中国に対しても大変厳しい 態度を取りながら、最終的には態度を軟化させ、何ら かの合意に達すると思います。結局、貿易戦争に勝 者はないからです。

 

趨勢的な変化とバリュー/グロース問題

株式投資家にとって、「趨勢的な変化の時代」の顕著 な影響の一つは、低成長の世界ではグロース企業が 大きくアウトパフォームし、投資家の人気を集めること です。「成長」という貴重なコモディティの性質や、成長 が難しい環境下で株主にポジティブなリターンを提供 できる企業に対しては投資家が高い株価を許容するこ とを考えると、これは直感的に理解できます。

 

しかし、グロース株は絶対ベース、相対ベースのボラ ティリティの観点から変化していることも明らかです。 図表3はこの点を明確に示しており、高PER株は従来 よりベータが低下しているのに対し、低PER株は世界 金融危機以降、ベータが大きく上昇しています。これ はバリュー株の循環的な性質が強まったことが一因 だと思います。特に、その傾向は金融、エネルギー、 素材セクターにおいて顕著です。レバレッジがこのボ ラティリティの変化を増幅しており、イノベーションで 成功を収めた多くのグロース企業が膨大な手元資金 を溜め込む一方で、バリュー企業は現在の低金利で 資金調達を行い、負債を増やしています。

 

図表 3: このような状況はこれまでなかった !

2018年4月時点

出所: コーナーストーン

 

バリュエーションは?

ファンダメンタルズが絶対的、相対的に優れている資 産クラスにしては、バリュエーション面のプレミアムは 小幅にとどまっています。堅調な経済成長が続く環境 では、そのプレミアムは当分継続すると思われます。 それはシラーPER(CAPEレシオ)やテールリスクを引き 合いに出す弱気派や弱気のセルサイド・ストラテジスト があまり話したがらないことです。近年はテクノロジー 株、特に「FAANG」が株価上昇を牽引しており、これら の銘柄についてはバブルの懸念が強まっています。し かし、当社は多くのテクノロジー株について「今回は本 当に従来と違う」と考えています。

 

現在のテクノロジー株の強さについて、2000年にピー クをつけたITバブル時ほどバリュエーションや収益面 のリスクが高くないと考えるのは次の理由からです。 インターネットの土台とインフラや、革新的企業がこう したインフラの収益化に成功したことが大きな変化を 生みました。特に重要なのは、こうした変化から利益を 生み出す企業の能力も劇的に変わったことです。

 

この結果、テクノロジーが世の中を一変させており、 消費者や、本当に収益性の高い産業から市場シェア を奪った革新的な企業にとっては特にそうです。

古い業界を根底から覆し、そのトップ企業を駆逐して、 全く新しい業界を自ら作り上げた企業もあります。その 結果、 目の前の変化について想像力を働かせて将来 のバリュエーションや市場シェアをイメージできる忍耐 強い投資家には、本当にチャンスの多い環境が生まれ ました。

 

テクノロジー株はバブルになるのか?

バブルの可能性は否定できませんが、現在でもバリュ エーション、ファンダメンタルズ、収益の持続性など様 々な ファクターを分析することにより、アルファを獲得 できる銘柄固有の投資機会はまだたくさんあります。 当社は引き続き利益成長が過小評価されている銘柄 の発掘に注力しており、現状を必死にバブルと呼びた がる向きとは逆の見方をしています。バブルについて は我々も常にその証拠を探していますが、現時点では まだその兆候は見当たりません。

 

グローバル株式はまだ上昇が見込めるか?

当運用では引き続き企業が変革の波に乗っているか に注目しており、低成長環境においても成長できる企 業に投資しています。我々はこの点を何度も繰り返し てきましたが、低成長環境だからとって変化や進歩が ないというわけではありません。多くの意味で、業界の

 

成長に伴って変化のペースが凄まじく速くなっている ように感じられ、勝者が圧倒的な勝利を収める一方、 敗者は不確かな未来に直面するという二極化が鮮明 になっています。

 

こうした環境において、当運用ではよりバランスの取 れたアプローチを心掛けています。構造的に低迷して いる景気敏感セクター(金融や資本財)の多くは最近、 世界経済への期待の高まりを背景に反発しています。 一方、変革の恩恵を享受してきたITなど一部セクター は少数銘柄への人気集中が問題視されており、難し い局面を迎えています。

 

このため、当運用では保有する銘柄を非常に慎重に 選んでおり、将来の資本収益率について我々が独自 の見識を有する優良企業の発掘に注力する投資フレ ームワークを引き続き大切にしています。これまで市 場のボラティリティが高まった場合、マクロ的不安から 株価が必要以上に下落した有望銘柄を割安な価格で ポートフォリオに組み入れる好機となってきました。

 

大局的な観点から見て、変革の波に乗っている企業に ついては長期的な見通しが引き続き明るいと確信して います。当運用では今後もリスクを注意深く見守る一 方、状況の変化に柔軟に対応していく方針です。

重要情報

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当社の運用戦略では時価資産残高に対し、一定の金額までを区切りとして最高1.242%(消費税8%込み)の逓減的報酬料率を適用いたします。また、運用報酬の他に、組入有価証券の売買委託手数料等の費用も発生しますが、運用内容等によって変動しますので、事前に上限額または合計額を表示できません。詳しくは契約締結前交付書面をご覧ください。

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