POLICY INSIGHTS

債券市場は過熱のリスクがあるのか?

アリフ・フセイン , グローバル債券統括責任者
アンドリュー・カール , ポートフォリオ・マネジャー

ここ数年は中央銀行による利下げが圧倒的に多い状況でしたが、2018年は利上げと利下げがほぼ同数で、かなり拮抗しています。グローバル債券運用チームは今月の会合で、これが債券市場の一部における調整につながるかどうかや、その後生まれる可能性のある潜在的な投資機会について議論しました。

 

「超緩和的な金融政策の時代は終わった」とArif Husain(ポートフォリオ・マネジャー/グローバル債券統括責任者)は語ります。「現在のトレンドは世界的な金利上昇であり、今年後半はさらなる金融引き締めが予想される」(Husain)。

 

先進国では、年内にあと2回の追加利上げを行うと予想される米連邦準備理事会(FRB)を筆頭に、カナダ銀行が今年3度目の利上げに踏み切る可能性があるほか、イングランド銀行(BOE)も約10年ぶりに行った昨年11月の利上げの効果を見極めた後、利上げを再開するでしょう。インフレ圧力が高まっているスウェーデンも、利上げ候補国として浮上してきました。

 

こうした金融状況の全体的な引き締まりの影響は新興国にも波及し、通貨安と国内のインフレ圧力の高まりに対応して数ヶ国が利上げに踏み切りました。メキシコ、トルコ、インド 、フィリピン、チェコ、インドネシアが6月に利上げをしましたが、年後半はさらに多くの新興国が追随しそうです。「これは債券投資家にとって厳しい環境であるが、中央銀行が利上げをする時でも、まだ投資機会を見つけることができる」(Husain)。

現在のトレンドは世界的な金利上昇であり、今年後半はさらなる金融引き締めが予想される
- Arif Husain, Global Fixed Income Portfolio Manager

投資妙味では、ルーマニアが突出しています。ルーマニア中央銀行は1月以降に合計75bpの利上げを実施し、市場ではさらなる利上げも織り込み済みで、同国の5年国債利回りは現在5%前後と魅力的な水準にあります。中東欧では各国が金利サイクルの異なる段階にあります。例えば、チェコは昨年半ばから金融引き締めを始めましたが、ハンガリーとポーランドは景気が堅調で、インフレ率が高まっているにもかかわらず、今のところチェコに追随することには消極的です。

 

中国は年初に利上げをしましたが、中央銀行はそれ以降、景気減速の兆しが見られる中、緩和的なスタンスへ転じました。こうした動きを背景に、上海銀行間取引金利(SHIBOR)は1月のピークから1%近く低下しています。「今年後半はインフレ低下とインフラ投資の減速が中国の現地通貨建て債券の支援材料になる」とHusainは考えています。

 

図表 1: 中央銀行による利下げと利上げ

2018年6月30日時点

金融政策の変更は、世界中の中央銀行による利下げと利上げの回数を示します。

出所: 各国中央銀行。 分析はティー・ロウ・プライス。

これは債券投資家にとって厳しい環境であるが、中央銀行が利上げをする時でも、まだ投資機会を見つけることができる
- Arif Husain, Global Fixed Income Portfolio Manager

クレジット市場においても過熱の兆しが見られます。M&A が再び活発になっており、2018年は米国で過去最高を更新しそうです。これは、大量発行に伴う荷もたれ感と過大なバリュエーションへの懸念が投資適格社債の価格を圧迫している時に起きています。「新発債のコンセッション(既発債に対する上乗せ利回り)が示すように、社債に対する投資家の購入意欲は明らかに弱まっている」(Husain)。

 

それより意外なのは、今年はA格債がBBB格債をアンダーパフォームしていることです。グローバル債券運用チームはこれについて、信用力の高い銘柄により魅力的な価格で乗り換える好機と考えています。社債の信用リスクを、過熱の兆しがほとんど見られないエージェンシーMBSにスイッチする好機もあります。米国の住宅価格は過去2年、所得の伸びを着実に上回っていますが、家計の平均債務返済比率が金融危機以降の最低水準にあるなど、比較的健全な状況が続いています。「現在の金利スワップカーブの形状では、相対的にクーポンが高く、デュレーションが短いエージェンシーMBSは投資適格社債よりもリスク/リターン特性が魅力的である」 (Husain)。

 

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