お知らせ

ティー・ロウ・プライスの運用プロフェッショナルの 2020年グローバル市場見通し

金融市場の長期トレンドは続く見込みだが、リスクは高止まり 

ティー・ロウ・プライスは2019年11月19日、ニューヨーク市で記者会見を開き、2020年グローバル市場見通しを発表しました。席上、同社の専門家が2019年の主な市場変動要因を顧み、様々な資産クラスについて2020年の見通しを披露しました。会見には、米国チーフ・エコノミストのアラン・レベンソン、ポートフォリオ・マネジャー兼株式最高投資責任者 (CIO) のジョン・リネハン並びにジャスティン・トムソン、ポートフォリオ・マネジャー兼債券CIOのマーク・ヴァセリキフ、ポートフォリオ・マネジャー兼株式及びマルチアセットCIO兼投資戦略部門責任者のデイビッド・ジルーが出席しました

 

2020年見通しの主なポイント

グローバル経済

  •  最長記録を更新中の米景気は鈍化していますが、さらに長期にわたり拡大が続くシナリオも考えられます。
  •   世界的には貿易摩擦への懸念が和らぎ、製造業が安定し、目先の景気持ち直しも視野に入ってきました。
  • 貿易戦争の休戦が続いたとしても、米中経済はさらなる減速が予想されます。
  • インフレは世界的になお低く、中央銀行の目標を下回っていますが、賃金上昇などインフレの芽も見られます。 
  •  2020年については世界経済のアップサイドは限定的で、リスクはダウンサイドに傾いていると考えています。

     

米国株式

  • 景気減速や米中貿易戦争への懸念から今年は安全志向が高まりました。このため、投資家はベータ (市場全体との連動性) が低い企業に魅力を感じ、これらの銘柄は2019年の大半を通じてバリュエーションの高い状態が続きました。しかし、こうした流れは9月初めから反転し始め、金融緩和や米中貿易協議の進展への期待が広がる中、投資家はベータの高い景気敏感銘柄へ回帰しました。

  • 米国株は最高値を更新しましたが、地政学的な不透明感が強まる中、投資家は高止まりするリスクへの対処に苦慮しています。市場が消化すべき地政学的懸念には、米中貿易戦争だけではなく、英国の欧州連合 (EU) 離脱問題、中東情勢の混迷、香港の政情不安、米大統領選挙などがあります。
  • S&P 500 は2009年3月の底から2019年9月30日までに449%も上昇しましたが、企業のバリュエーションに行き過ぎの兆しはほとんど見られません。ディフェンシブ銘柄など一部の例外を除き、バリュエーションは世界的にほぼ過去の平均並みの水準にあります。
  • イノベーションやオートメーションが幅広く普及するにつれ、ヘルスケア、メディア、エネルギー、インターネットなど多くの業界で「勝ち組」と「負け組」の明暗が鮮明になっています。こうしたダイナミックな動きは今後も続くでしょう。
  • 企業ファンダメンタルズが鈍化する一方、起こり得る結果のレンジが広がっており、2020年はボラティリティが高まる半面、リターンは低下する可能性が高そうです。

     

インターナショナル株式(米国を除く外国株式)

  • 外国株は過去10年一貫して米国株に遅れを取っています。これは構造的要因、通貨要因(ドル高)、バリュエーション格差の拡大、循環的要因が組み合わさった結果です。
  • 世界経済が減速し、米中貿易摩擦の影響で米国外の企業業績が大きく悪化したため、外国株は今年も米国株をアンダーパフォームしています。
  • 設備投資が減り始めてから18ヶ月、在庫調整が始まってから8ヶ月が経ち、米中貿易戦争や英国のEU離脱など政治的逆風に直面する現状を考えると、景気やインフレ期待は底入れしたと思われます。こうした環境や通貨の過小評価を踏まえると、外国株がアウトパフォームする循環的な条件が揃っています。
  • 外国株が先進国、新興国とも構造的に有利な点としては、イノベーションの進展、コーポレート・ガバナンス・モデルの改善、人口動態の優位性 (新興国)、米国株に対する出遅れ修正余地があります。

     

グローバル債券

  • 2019年は債券にとって素晴らしい年でした。今年はあらゆる格付けの債券が健全なリターンを記録し、中でも、金利低下局面における投資適格社債のパフォーマンスは特筆に値します。
  • 世界各地の中央銀行が緩和政策を再開し、リフレに対して慎重ながら楽観的な見方が広がる中、現在のサイクルがさらに続いています。
  • 低金利/マイナス金利環境がグローバル市場のハイインカム分野の魅力を高めており、特にハイイールド債はクオリティの面でも存在感を増しています。
  • ハイイールド債や新興国債券は過去10年のリスク調整後リターンが高く、米国投資適格債等のコア債券の年間リターンがマイナスになったのは過去40年余りで3回しかなく、今年ほど高いリターンを期待できなくても、債券は資産ポートフォリオにおいて常に一定の割合を占める資格が十分あります。
  • 主な市場リスクには、貿易戦争、政治的不透明感、逆イールド発生、予想以上に急激な世界経済の減速、期待外れの企業業績、企業景況感と設備投資の悪化があります。


     

注目セクター「公益」:最も過小評価されているセクター

 

  • 2020年を迎えようとする現在、長期的に最も高いリスク調整後リターンを期待できるのが公益セクターです。同セクターへの最高の投資時期は昨年でしたが、長期的にはなお非常に魅力的なチャンスがあると考えています。
  • 1986年から1998年までにS&P500のEPS (1株当たり利益) が159%伸びる一方、公益セクターの利益成長はゼロでした。その原因は、厳しい規制環境、インフレ上昇、天然ガス価格の上昇、大型プロジェクトの予算超過、値上げをしたい電気・ガス会社と家計への負担を抑制したい規制当局の絶え間ない戦いなどです。
  • 天然ガス価格の下落、石炭発電から天然ガス発電への転換、再生可能エネルギーのコスト低下により、電気・ガス会社は家計への負担増を招かずに事業資産や利益を増やせるようになりました。
  • S&P500企業の成長が鈍化する一方、公益セクターの成長が加速し、両者の利益成長率は肩を並べました。 公益株はS&P500より配当利回りが高く、現在は両者のトータルリターンがほぼ拮抗しています。このため、公益株は経済・為替リスク等にさらされずに、しかもS&P500の約4分の1のボラティリティ (リスク)で、S&P500並みのリターンを得る機会を投資家に提供します。
  • このテーマに関する潜在的なリスクには、天然ガス価格の上昇や家計負担の増加につながるフラッキング (シェールガス採掘時の水圧破砕法) の禁止、規制強化、インフレや金利の大幅上昇、許容されるROE (自己資本利益率) の低下があります。


     

発言要旨


アラン・レベンソン (米国チーフ・エコノミスト)
「来年は財政政策の影響は概ね中立と予想されますが、世界各国で追加利下げが行われる可能性があります。インフレは全般に相変わらず低く、金融緩和バイアスが持続される見込みです。欧州は主要国経済が循環的な逆風を受ける一方、米経済は2020年が進むにつれ減速すると予想されます。貿易戦争が解決しても、中国経済は都市化の鈍化に伴い減速が続くでしょう。中国政府は債務拡大ペースを抑えるため、景気刺激策も一定程度にとどめる見通しです」
 

ジョン・リネハン (ポートフォリオ・マネジャー兼株式CIO)
「現在の強気相場は近年の歴史において最長ですが、最強ではありません。強気相場は通常、寿命が来て幕を閉じるのではなく、景気減速、FRBの政策ミス、規制・政治的不透明感、過度なバリュエーションなど様々な要因が重なり終焉を迎えます。2020年もリスクが高止まりする見通しで、起こり得る結果のレンジが広い状況ですが、配当利回りの高い非ディフェンシブ企業や価格が魅力的なプラットフォーム企業に投資妙味があり、全体としてはプラスのリターンが見込まれます」
 

ジャスティン・トムソン (ポートフォリオ・マネジャー兼株式CIO)
「外国株がアウトパフォームする循環的な条件が揃っています。過去10年は外国株が様々な要因からアンダーパフォームしてきましたが、その流れが今変わろうとしているのかもしれません。米中貿易戦争や英国のEU離脱など政治的逆風の影響は外国株市場でより強く感じられました。これらの要因に代わり、先進国と新興国でのイノベーション進展、コーポレート・ガバナンス・モデルの改善、新興国の人口動態面の優位性などが注目され、潮流が変わりつつある可能性があります。外国株にはバリュエーションが米国株と肩を並べる水準に上昇する余地もあります」
 

マーク・ヴァセリキフ (ポートフォリオ・マネジャー兼債券CIO)
「2020年は債券に今年ほど高いリターンは期待できないかもしれませんが、コア債券は引き続き資産ポートフォリオにおいて重要な役割を果たすでしょう。デフォルト率の低さや年限の長期化は社債にとって好材料ですが、投資家はハイイールド債市場の大部分を占めるエネルギー企業などビジネスが脆弱な発行体には厳しい目を向けています。デュレーションは諸刃の剣です。大幅な金利上昇はないと思いますが、金利が少し上がっただけでも債券のパフォーマンスに悪影響が出ます」
 

デイビッド・ジルー (ポートフォリオ・マネジャー兼株式及びマルチアセットCIO兼投資戦略部門責任者)
「公益企業の命運は利益成長ではなく金利の方向性次第」という常識はもはや通用しません。この業界の力学は多くの要因から急速に変わっており、利益がかつてないペースで伸びています。公益セクターは趨勢的な創造的破壊リスクがない唯一のディフェンシブ・セクターです。公益企業は再生可能エネルギーに巨額投資をしており、これがすべての人に恩恵をもたらす好循環を生み出しています。企業は利益成長が高まり、当局との関係を改善でき、国民や政治家は家計への悪影響なしによりクリーンなエネルギーを手に入れることができます」

以上

 

 

 

 


 

メディアお問い合わせ
フィンズベリー 岡本 080-9898-5591 TRowePriceJapan@finsbury.com

当資料は、ティー・ロウ・プライス・アソシエイツ・インクおよびその関係会社が情報提供等の目的で作成したものを、ティー・ロウ・プライス・ジャパン株式会社が翻訳したものであり、特定の運用商品を勧誘するものではありません。また、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。当資料における見解等は資料作成時点のものであり、将来事前の連絡なしに変更されることがあります。当資料はティー・ロウ・プライスの書面による同意のない限り他に転載することはできません。「T. ROWE PRICE, INVEST WITH CONFIDENCE」および大角羊のデザインは、ティー・ ロウ・プライス・グループ、インクの商標または登録商標です。

 

201911-1014559